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令和七年十二月十二日提出質問第一八六号
超大企業への不公平な優遇税制に関する質問主意書
提出者 江田憲司
超大企業への不公平な優遇税制に関する質問主意書
一 企業の内部留保は直近で六三七・五兆円で、数十兆円レベルで増加している。この現状を政府としてどう分析しているか。
二 資本金一〇億円以上の企業(対一九九七年比)をみると、株主配当金は九・七倍、経常利益は六倍、内部留保は四倍、役員給与一・六倍である。一方、従業員給与は横ばい、設備投資〇・九倍となっている。ここまで来ると、日本の経営者側に問題があるのではないか。
三 二に関連して、経営者が従業員給与も上げない、設備投資もしないのは、法人税の減税を続けてきた結果でもあるのではないか。企業にとってはコストとなる給与や設備投資を抑えて、その分、利益を出しても、この程度の税率なら税金を納めた方が良いとの判断でもあるのではないか。
四 三に関連して、法人税を増税すると賃上げの足を引っぱるとの論があるが、政府の見解如何。むしろ、法人税が増税されると、利益を税金で取られるよりも、自社のために、従業員の賃上げをしたり、会社の将来の発展のための設備投資をしようとなるのではないか。または、少なくとも、法人税の増税と賃上げとの相関関係は中立ではないか。
五 財務省資料によれば、担税能力の一番高い超大企業(資本金一〇〇億円以上)が、各種減税措置(租税特別措置)の適用により、実際上、一番、法人税を負担していない。中小企業(同一〇〇〇万円以下)よりも負担していないのは、税の基本原則(担税能力の高い者ほど相応の税負担)に違背し、国民感情から言っても理解できないし、不公平の極致だと考えるが如何。
(参考)
(実際の法人税負担率(国税二三・二%/財務省/二〇二三年度。))
・超大企業(資本金一〇〇億円以上)一一・九%。
・中堅企業(同一億〜一〇億円)一八・〇%。
・中小企業(同一〇〇〇万円以下)一四・六%。
六 五の不公平な法人課税を是正するため、法人税に所得税と同じように、累進税率を導入すべきではないか。他国をみると、韓国や第一次トランプ政権以前の米国、そして、スナク政権下で導入された例がある。
(参考)
・韓国=九・九%、二〇・九%、二三・一%、二六・四%の累進税率。
・米国=トランプ政権以前は一五%、二五%、三四%、三五%等の累進税率。
・英国=利益額に応じて一九〜二五%までの税率。
七 法人税の増税の議論を提起すると、日本では途端に「アンチビジネス批判」が起こる。しかし、国際的には法人税下げ競争はとっくに終わり、むしろ法人増税の流れである。いわゆる「防衛増税」の一環としての法人税増税も含め、基本的に今後は、法人税の減税ではなく、担税能力に応じた応分の負担増を求める法人税改革に取り組むべきではないか。
(参考)
(OECD)グローバル・ミニマム課税の導入。
(英国)コロナ後の借金の制御に大企業に貢献を。半世紀振りに増税。
(米国)大企業へのミニマム課税一五%に。
右質問する。

