質問本文情報
令和八年一月二十三日提出質問第二号
カンボジアにおける日本人関与の特殊詐欺問題に関する質問主意書
提出者 阪口直人
カンボジアにおける日本人関与の特殊詐欺問題に関する質問主意書
警視庁及び神奈川県警の合同捜査本部は一月十四日までに、カンボジアを拠点に、警察官等をかたる特殊詐欺に関与したとして、同国から移送した日本人男女十三名を詐欺容疑で逮捕したと発表した。報道によれば、これは氷山の一角にすぎず、現在、カンボジア国内には多数の日本人が滞在し、高額報酬をうたう誘いに応じて、いわゆる「かけ子」として特殊詐欺に関与している実態があるとされている。
これら現地の詐欺組織は米司法省によって、百五十億米ドル(約二兆二千億円)のビットコイン(暗号資産)が没収されるなど、強大な広がりを持つ地下経済とも密接に繋がっており、日本人を含む多数の外国人が監視下に置かれ、暴力や脅迫を受け、自由を奪われたまま詐欺行為に従事させられている事例も報告されている。すなわち、本件は単なる犯罪の国外化にとどまらず、人身取引、強制労働、現代版奴隷とも言うべき深刻な人権侵害の側面を有している。
衆議院議員・阪口直人は、昨年十二月、カンボジアを訪問し、現地関係者から、こうした特殊詐欺の実態についてヒアリングを行った。その過程で、日本の若者が経済的困窮や将来不安の中で海外に活路を求め、結果として犯罪組織に取り込まれていく構造が浮かび上がった。また、自発的に渡航した後で、実質的に拘束され、逃げることも帰国することもできない状態に陥る日本人が存在することも明らかとなった。
この問題は、日本国内の治安の問題であると同時に、海外における日本人の人権及び安全をいかに守るかという、我が国の外交責任の根幹に関わる課題である。
したがって、次の事項について質問する。
一 政府は、カンボジアにおいて日本人が関与する特殊詐欺が組織的に行われている実態を、いつ頃からどの程度把握しているのか。把握している件数、被害規模、日本人関与者数の推計があれば示されたい。
二 カンボジアにおいて、詐欺組織により事実上拘束され、暴力や脅迫を受けながら詐欺行為に従事させられている日本人が存在するとの情報を政府は把握しているか。把握している場合、その人数、事例数、及び実態をどのように認識しているのか。
三 この問題が、人身取引や強制労働といった国際的な人権問題に該当し得るとの認識を、政府は有しているか。また、その場合、日本政府として、被害者となった日本人を「犯罪者」としてのみ扱うのではなく、「被害者」として保護・救済する視点が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
四 カンボジア政府との間で、本件に関し、これまでにどのような協議、情報共有、共同対応が行われてきたのか。同国政府に対し、詐欺拠点の摘発、日本人の保護・帰国支援、人身取引防止の観点から、どのような要請を行ってきたのか。
五 現在、在カンボジア日本大使館は、現地で特殊詐欺に関与させられている、又はそのおそれがある日本人に対し、どのような相談体制及び保護措置を講じているのか。本人又は家族からのSOSに対し、具体的にどのような対応が可能なのか、明らかにされたい。
六 日本国内において、「海外で高額報酬」「簡単な電話業務」等をうたい、結果として若者を犯罪組織へと誘導する勧誘行為に対し、政府はどのような実態把握と対策を行っているのか。関係省庁が連携した予防的取組の現状を示されたい。
七 経済的困窮や将来不安を背景に、若者が海外の犯罪に巻き込まれていく構造そのものが、日本社会の脆弱性を映し出しているとの認識を政府は有しているか。単なる取締り強化にとどまらず、若者が「犯罪にしか道がない」と感じる状況を生まないための社会的対策が必要であると考えるが、政府の基本的認識を示されたい。
右質問する。

