質問本文情報
令和八年一月二十三日提出質問第四号
パレスチナ国家承認問題と「二国家解決」実現に向けた我が国の対応に関する質問主意書
提出者 たがや 亮
パレスチナ国家承認問題と「二国家解決」実現に向けた我が国の対応に関する質問主意書
パレスチナをめぐる情勢は二〇二六年を迎え、引き続き深刻な状況が続いている。この問題については、昨年九月二十三日、第八十回国連総会において我が国の立場を当時の石破茂総理大臣が一般討論演説で明らかにした。その中で、次のような点を述べていることは重要である。
「パレスチナをめぐる情勢は、国際社会が長きに亘り希求をし、我が国も一貫して支持をしてきた「二国家解決」の前提を揺るがしかねない、極めて深刻かつ憂慮すべき局面にあります。今般のイスラエル軍によるガザ市における地上作戦の拡大は、飢餓を含む既に深刻なガザ地区の人道危機を著しく悪化させるものであり、我が国として断じて容認できず、この上なく強い言葉で非難を致します」「オスロ合意以来、幾多の困難を乗り越え国際社会が積み重ねてきた二国家共存への歩みを、決して途絶えさせてはなりません」「我が国にとり、パレスチナ国家承認は、「国家承認するか否か」ではなく、「いつ国家承認するか」の問題です。イスラエル政府による一方的行為の継続は、決して認めることはできません。「二国家解決」実現への道を閉ざすことになる更なる行動がとられる場合には、我が国として新たな対応をとることになることをここに明確に申し述べておきます」「最も重要なことは、パレスチナが持続可能な形で存在をし、イスラエルと共存することであり、我が国は二国家解決というゴールに一歩でも近づくような現実的かつ積極的な役割を果たし続けてまいります」以上を鑑みるなら、石破首相が演説した日本のパレスチナ問題に対する基本的立場は、パレスチナとイスラエルの共存を前提に二国家解決に向けてそのための条件整備の支援に取り組み、適切な段階でパレスチナの国家承認を行うというものと思われる。石破首相演説では、そのための日本の貢献としてヨルダン川西岸地区のジェリコ農産加工団地の立ち上げなどパレスチナの経済的自立への支援や、公務員の能力強化のための人材育成支援を実績を踏まえながら継続していくことを明らかにしている。しかしながら、パレスチナの国家承認についてはイスラエル並びにその最も有力な後ろ盾であり、同時に我が国にとって最も重要な同盟国である米国を現状で納得させることが困難であることが、最近新たに国家承認へ踏み出すことを表明した諸国とこの両国とのやりとりで明らかになっている。昨年九月に国家承認へ英仏が踏み出したことに対し、トランプ大統領は「二年前の十月七日に攻撃を開始したハマスへの報酬になる」と国連総会一般討論演説で述べた。ネタニヤフ首相はSNSで「米国はわれわれと共にある」「西欧諸国やさまざまな組織によるイスラエルの囲い込みの試みには屈しない」と発信した。
私も年初に実際にイスラエル入りして、ハマスの攻撃を受けた集落を視察したが、民地であるにもかかわらず破壊状況が深刻で、紛争がパレスチナのみならずイスラエル側住民にも大きな犠牲をもたらしていることを認識した。ここから生まれる憎しみを緩和させ、あらゆる傷を癒していく支援が紛争当事者双方に必要であることも痛感した。紛争解決、平和実現の当面のゴールである二国家解決に向け、日本は自主的な立場をとりつつ、内外にわかりやすく説得力ある形での努力を継続していくことが重要である。
以上に鑑み、質問する。
一 高市首相はパレスチナ問題の解決にあたり、石破首相が国連総会の演説で示した「二国家解決」に向けた努力の継続の立場を継承しているのか。また、石破氏の「パレスチナ国家承認は、「国家承認するか否か」ではなく、「いつ国家承認するか」の問題」との言葉を受け、いつ、どのような状況にパレスチナが至ったら国家承認に踏み切ることにするのか。
二 パレスチナに対して我が国が継続してきた支援について、これまでの実績と今後の目標、計画について明らかにされたい。また、この間の紛争で生じた被害について、パレスチナ及びイスラエルの双方に対して復興や医療の支援を行うべきと考えるが、これまで実施した実績や今後の計画について明らかにされたい。
三 「二国家解決」の方向は、一九九三年にイスラエルとパレスチナ解放機構の間で同意された「オスロ合意」以来のものである。にもかかわらず、現状ではイスラエルがパレスチナ国家の承認を他国が行うことについて否定的態度に後退している。米国もトランプ大統領の国連演説に示されるように英仏の国家承認に対し否定的な態度をとると共に、我が国の石破首相演説が示した立場とも大きく乖離している。これをどう評価するか。
四 我が国の最も重要な同盟国である米国と、ある程度の認識の一致ないしは見解の相違を前提にしても我が国の行動に対する理解と支持がなければ、「二国家解決」の方向の追求ならびにその過程でのパレスチナ国家承認へ我が国が進むことは困難であると思われる。米国、並びにイスラエルに対して「二国家解決」「パレスチナ国家承認」の方向への理解を促す説得、交渉にこれまでどう取り組み、また今後の高市首相の訪米時の会談を含めどのように取り組んでいくかを明らかにされたい。
右質問する。

