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令和八年一月二十三日提出
質問第五号

朝里川温泉スキー場で児童死亡事故を招いた昇降施設の「安全基準不在」問題に関する質問主意書

提出者  たがや 亮




朝里川温泉スキー場で児童死亡事故を招いた昇降施設の「安全基準不在」問題に関する質問主意書


 昨年十二月二十八日の午前、北海道小樽市の朝里川温泉スキー場で屋外使用されていた「動く歩道状」のベルトコンベアー式昇降機(以下「昇降施設」という。)が、利用していた五歳児の腕を巻き込み、死亡させる事故が発生した。報道によると、この昇降施設は二〇一九年に設置されたが、乗り口、降り口共に係員を置かずに無人運用されており、事故が起きた際は巻き込まれた児童の保護者がコントロールパネルのボタンを操作して停止させ、さらに、携帯電話で消防の救急隊を呼び、およそ四十分後に到着したレスキューチームが救出作業を行ったが、児童は搬送先の病院で死亡が確認された。死因は窒息死と伝えられている。
 スキー場管理者側の説明では、「本来、利用者が、降り口などで転倒したり巻き込まれかけたりした場合に作動するはずの自動停止装置が動かなかった」とのことで、設備の異常が発生したことは間違いない。寒冷地の過酷な状況で常時屋外使用されるこの昇降施設について、点検、修理などがどのように行われてきたのか、あるいは製品自体が同地で行われていたような態様での使用に向いていたのかどうかは、今後の調査、捜査を待たねばならないが、死亡事故を起こしてしまった事実を前にすれば、それが適切であったとは言い難いことも明白であると考える。
 昇降施設はスキー場を訪れた子供を含む多数のスキー客が使用しているもので、本来、安全対策が万全にとられるべきものであったことは言うまでもない。警察は業務上過失致死容疑での捜査を行っているとされるが、報道ならびに私の聴き取りによって、そもそも同種の昇降施設については、国等による安全基準及び定期点検などの取扱い上の義務規定などが定められていないことが分かった。
 国土交通省の説明によると、朝里川温泉スキー場で事故を起こした昇降施設は、「屋外で建物と接続していないもののため、建築基準法の「昇降機」には該当せず、安全基準や定期点検義務の対象外」であるという。近年、朝里川温泉スキー場に限らず、各地のスキー、スノーボード滑降の可能な施設では、事故を起こしたものと同種の屋外設置式の昇降施設の使用が広がっており、特に幼年者用のなだらかな傾斜のゲレンデでは、従来のワイヤーロープを使ったリフトに代わり設置が増えていると見られる。
 ちなみに、スキー場で従前から設置されてきたワイヤーロープを使ったリフト、あるいはロープウェイなどは鉄道事業法及び関連省令等で安全な運用、定期点検についての規定が定められており、同法を所管しているのは国土交通省である。ゲレンデの高低差のある場所の移動に使うという点では、利用者から見て鉄道事業法上の安全基準のあるリフトも、そうでないこの度事故を起こしたような屋外設置式の昇降施設でも機能上、求められているものは同じである。したがって、「リフトは国の基準があって安全だが、屋外設置式の昇降施設は安全にかかわる基準がなくてもよい」という状態が望ましいはずがない。後の質問でもふれるが、この度事故を起こした昇降施設のメーカーである中国企業の代表は、「点検、修理で責任体制のない日本に販売したことがない」などと述べている。一方で、朝里川温泉スキー場の管理者も中国系企業で、日本における安全基準が明確でない中、利用者にとっての安全確保がおざなりになっていることが心配される。
 以上を踏まえ、質問する。

一 全国のスキー場などで、使われているリフト、その他の利用客移動に用いられる機械施設について、国がその安全基準について定めているものにはいかなるものが存在するか。
 また、事故を起こしたものと同種の昇降施設は全国のどこで、どのように設置、使用されているか、実情を把握しているか。把握していないなら、調査を実施するつもりはあるか。
二 この度、朝里川温泉スキー場で死亡事故を起こした昇降施設と同種のものは、昨年二月にも長野県信濃町スキー場で転倒した十歳の男児を巻き込み、首を絞める事故を発生させている。この時は被害児童の怪我にとどまったが、当該昇降施設も外国製だとされる。長野県のこの事故については、国としてどのような対応をしたのか。事故経過と把握した問題点、事後の安全確保に向けた措置について示されたい。
三 朝里川温泉スキー場で事故を起こした昇降施設のメーカー「Doway」は、製品について「中国国家体育総局の安全基準に適合したもの」と同社ウェブサイトで説明している他、一月六日に放映された北海道HBCテレビのニュース番組で同社代表がインタビューに応じ、「日本には代理店がないので点検や修理に対応できないため、販売していない」と述べた。
 しかし、実際には二〇一九年から同社製品が設置されており、安全基準以前に点検、修理がおざなりであった可能性は高いものと言える。
 このような、もともと安全を担保できないような設備の輸入を防ぐためにも、設置に際しての基準を含む安全基準、運用ルールが国によって定められるべきではないか。政府の見解を示されたい。
四 朝里川温泉スキー場で事故を起こした昇降施設は、コントロールパネルのボタンなどの表示が中国語と英語のみで、日本語表示はなかった。緊急時に利用客らが操作する場合に確実な操作の妨げになったと思われる。これをどう評価するか。
 また、建築物で使われるエレベーターなどの一部は外国製も存在している。これらについてはコントロールパネルの日本語表示は行われているのか。また、国の設置基準に沿って運用される外国製機器、エレベーターについて、日本語表示を行う義務を課しているのか。
五 昨年十月より、札幌市は市内六カ所のスキー場について、外国人向けスキースクール開設などを含むその事業運用、観光での展開について、中国で屋内スキー場リゾートを展開するBONSKI(熱雪奇跡)と協定を結んだ。
 今後、インバウンド拡大に向けた自治体、地方レベルのこうした動きが広がるものと考えられるが、この度の朝里川温泉スキー場での死亡事故のような事態の再発を防ぐため、スキーリゾート事業における利用者安全を担保するための施設設置や運用の安全基準を、リフトだけに限らず、設定していく必要があるのではないか。特に事故を起こした屋外設置式の昇降施設については、直ちに暫定的にでも安全運用に関する調査と指導を行うべきではないか。政府の見解を示されたい。
 
 右質問する。

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