質問本文情報
令和八年三月十七日提出質問第四号
在日米軍基地従業員の給与支払日に関する質問主意書
提出者 早稲田ゆき
在日米軍基地従業員の給与支払日に関する質問主意書
在日米軍基地に勤務する労務提供契約に基づく従業員(以下「基地従業員」という。)の給与支払日について、以下質問する。
基地従業員の給与は一般に「末日締め・翌月十日払い」とされている。しかしながら、当該十日が土曜日、日曜日又は祝日に当たる場合、前営業日に支払うのではなく、休日明けの営業日に支払われる運用が行われているとの指摘がある。この結果、実際の賃金支払いが当初定められた支払日より後日にずれ込む、いわゆる遅配が生じているとされる。
また、この運用は少なくとも三十年以上継続しているとされ、給与支払予定日を前年の段階で作成する際に、休日に当たる日がそのまま支払日として設定され、結果として当初から支払いが後日にずれ込む日程が組まれているとの指摘もある。
さらに、二〇二六年度の給与支払日をめぐる労使協議では、特に五月支払い分について問題が生じている。二〇二五年度には在日米陸軍が労務管理機構(LMO)へのペイロール提出を前倒しすることにより給与計算を早期に行い、五月支払いについて十日前払い(九日支払い)を実現したとされる。
一方、二〇二六年度の協議では、在日米海軍横須賀が契約担当官代理者に対する基本指令(SI)を理由としてペイロール提出の前倒しに応じず、また労務管理機構からは社会保険料等の外部機関との調整や日本銀行の事務手続期限を理由に、最短でも五月十二日支払いになるとの説明がなされているとされる。
これに対し労働組合側は、月末以前にペイロールを作成して前倒し提出を行えば十日又は十日前払いは可能であり、月末までの残業などの変動分については後日「過誤調整」により対応できると主張している。また在日米陸軍はこの方式に協力する姿勢を示しているとされる。
労働基準法第二十四条は、賃金について「毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならない」と規定しており、その趣旨は賃金の支払日を確定的なものとすることで労働者の生活の安定を確保することにあると解されている。
基地従業員の給与は日本政府が国費により支払うものであり、その労務管理については日本政府が責任を負う立場にある。在日米軍の内部事務や手続を理由として賃金の支払いが後日にずれ込むことが常態化しているとすれば、労働関係法令の趣旨や適正な労務管理の観点から問題があると考えられる。
以上を踏まえ、以下質問する。
一 基地従業員の給与支払日が土曜日、日曜日又は祝日に当たる場合、前営業日に支払うのではなく休日明けの営業日に支払われているとの指摘について、政府はその事実を把握しているか。また、このような運用は労働基準法第二十四条の「一定期日払い」の趣旨に照らして問題はないと考えているのか、政府の見解を示されたい。
二 在日米軍の事務処理やペイロール提出時期、又は労務管理機構における給与計算事務及び外部機関との調整等を理由として給与支払いが後日にずれ込む運用が行われているとの指摘について、日本政府としてどのような責任の下で賃金支払の確実性を担保しているのか、政府の見解を示されたい。
三 在日米軍の一部部隊においては、ペイロール提出の前倒しや過誤調整の活用により十日払い又は前倒し払いが実現しているとの指摘もある。政府として、基地従業員の給与支払いについて休日による遅配が生じないよう、支払日設定又は事務手続の改善を含め、必要な措置を講ずる考えはあるか。
四 労働基準法第二十四条における「一定期日払い」の趣旨に照らし、あらかじめ休日に当たる日を支払日として設定し、その結果として実際の賃金支払いが後日にずれ込む運用は同条の趣旨に適合すると解されるのか、政府としての法令解釈を示されたい。
五 前問の法令解釈について、厚生労働省の見解を併せて示されたい。
六 基地従業員の給与は国費により支払われていることに鑑み、三十年以上にわたり休日による遅配が常態化しているとの指摘がある現状について、政府として是正の必要性をどのように認識しているのか。また、今後改善に向けた具体的な検討を行う考えはあるか、明らかにされたい。
七 基地従業員の給与支払日については、従業員の就業規則とされる基本労務契約及び諸機関労務協約に明確な記載がないとされている。他方、これらの契約及び協約を補完し、詳細な運用を定めるものとされる「契約担当官代理者に対する基本指令」の第五条第二項には、在日米軍の使用する労働者に対する給与支払いについて、日本国政府の責務として「月の十日までに従業員に給与を支払うこと」等が記載されているとされる。
労働基準法第十五条においては、賃金の決定、計算及び支払の方法並びに賃金の締切及び支払の時期は労働条件の絶対的明示事項とされており、労働者の採用時に書面等により明示することが義務付けられている。
基地従業員に対して毎月十日給与払いとされていることについて、労働基準法の規定に基づきどのような方法で明示が行われているのか。また、給与支払日が土曜日、日曜日又は祝日に当たる場合の取扱いについて、従業員に対してどのような説明又は明示がなされているのか、政府の見解を示されたい。
八 一般に、給与支払日が土曜日、日曜日又は祝日に当たる場合、給与支払いを前営業日に行うのか、又は休日明けの営業日に行うのかについては、就業規則等において定め、従業員に周知することが必要とされている。
しかしながら、基地従業員の就業規則とされる基本労務契約及び諸機関労務協約には、そのような規定が明確に記載されていないとの指摘がある。雇用主としての日本政府は、この点についてどのように整理し、どのような法的根拠の下で現在の運用を行っているのか。
また、神奈川県内の基地においては実態として給与支払いが休日後に後ろ倒しとなっているとの指摘があるが、その根拠は何か。さらに、今後この点について条文の追加等の形で契約又は協約を改正する考えはあるのか、政府の見解を示されたい。
九 民間企業又は公務員の場合、給与支払日が土曜日、日曜日又は祝日に当たる場合には、前営業日に前倒しして支払う例が一般的であるとされる。これは給与支払いが後ろ倒しとなった場合、従業員の家賃、公共料金その他の支払いに支障を生ずるおそれがあるためであると考えられる。
他方、基地従業員の場合には、給与支払いが十三日又は十四日となる事例もあるとの指摘があり、従業員の生活に支障を来しているとの声もある。このような状況について政府としてどのように認識しているのか。また、今後どのように改善又は解消を図っていく考えであるのか、政府の見解を示されたい。
十 賃金の遅配については、労働基準法第二十四条との関係で問題となり得るものであり、賃金の支払いが遅れた場合には遅延損害金の発生等の問題が生ずる可能性があるとの指摘もある。
給与支払日が土曜日、日曜日又は祝日に当たる場合の取扱いについて明確な規定がなく、また就業規則等において十分に周知されていないとすれば、従業員が給与支払日を毎月十日であると理解し、実際の支払いがそれより後となった場合に遅配ではないかとの疑問を抱くことも不自然ではない。
毎年四月に労務管理機構(LMO)から年度の給与支払日表が従業員に配布されているとされるが、これについて従業員から「遅配ではないのか」との指摘があった場合、政府又は労務管理機構はどのように説明しているのか。また、その説明の法的根拠は何か、政府の見解を示されたい。
右質問する。

