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令和八年七月二十一日提出質問第三七号
防衛省・自衛隊における知的基盤の概念、構成及び機能に関する質問主意書
提出者 橋本幹彦
防衛省・自衛隊における知的基盤の概念、構成及び機能に関する質問主意書
戦争は、兵器や技術のみならず、人間の意思と判断によって遂行される。また、科学技術がいかに進歩し、情報収集及び分析の手段が高度化しても、敵の意思、情勢の変化、偶然及び摩擦に由来する不確実性、いわゆる「戦場の霧」を完全に除去することはできない。したがって、自衛隊には、政治が示す目的及び上級指揮官の意図を正確に理解し、変化する状況の下で自ら考え、判断し、行動する能力が求められる。
この能力は、装備品の取得や個々の隊員の経験だけによって形成されるものではない。情報を収集及び分析し、複数の選択肢並びにそれぞれの効果及び危険を示し、計画を立案するとともに、訓練及び運用から得られた教訓を検証し、次の政策、教育及び運用に還元する参謀機能が不可欠である。その前提として、戦術、作戦、戦略、政策、国際情勢、戦史等に関する研究を体系的に蓄積し、組織として継承する知的基盤が必要となる。
あるべき自衛隊は、前例と上意下達のみに依存する組織ではなく、文民統制の下で、文民の意思決定を軍事専門的見地から適切かつ率直に補佐し、決定された方針を忠実に遂行するとともに、不断に学習し、誤りを検証し、自らを革新できる組織でなければならない。そのためには、知見を特定の個人の経験にとどめず、研究・教育機関及びその研究成果として体系化及び組織化して蓄積し、自衛官の教育並びに防衛政策の立案及び遂行に還元する仕組みを確立する必要がある。
国家防衛戦略は、防衛研究所を中心とする防衛省・自衛隊の研究体制を見直し・強化し、「知的基盤としての機能を強化する」としている。また、防衛白書においても、「知的基盤」という語が継続して用いられている。しかし、その一般的な意味、防衛省・自衛隊における構成要素及び果たすべき機能は、政府の公式見解として、必ずしも一体的かつ明確に示されてこなかった。概念が曖昧なままでは、何を強化すべきか、また、その進捗及び成果をいかに検証すべきかも明確にならない。
そこで、以下質問する。
一 防衛省は、「知的基盤」とは体系化・組織化して蓄積された知的資産であり、防衛省・自衛隊における知的基盤は、防衛研究所、防衛大学校及び各自衛隊の幹部学校等の研究・教育機関そのものに加え、これらの機関が戦術、作戦、戦略、政策、国際情勢、戦史等の安全保障に関わる幅広い分野について行う研究の成果によって構成されるものと認識しているか。
二 防衛省・自衛隊の研究・教育機関においては、知的基盤としての機能を強化するため、研究の質的向上に取り組んでおり、これらの研究成果は、幹部自衛官を含む学生に対する教育に還元されるとともに、防衛力整備を含む防衛政策の立案及び遂行に寄与するものと位置付けられているとの理解でよいか。政府の見解を明らかにされたい。
三 防衛省・自衛隊における知的基盤の強化には、国内外の研究・教育機関、大学及びシンクタンク等とのネットワークの構築及び組織的な連携の強化、高度な専門知識と研究力に裏付けられた質の高い研究成果の政策立案部門等への提供、当該研究成果等を基にした信頼性の高い情報発信並びに安全保障教育の推進への寄与が含まれるとの理解でよいか。
右質問する。

