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令和八年七月二十一日提出質問第三九号
真の積極財政を実現するための財政法第四条等の改正に関する質問主意書
提出者 河村たかし
真の積極財政を実現するための財政法第四条等の改正に関する質問主意書
財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条は、国の歳出について公債又は借入金以外の歳入を財源とすることを原則とし、国債発行を公共事業費等に限定している。また、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条は、地方公共団体の起債を厳しく制限している。両法は、戦後間もない昭和二十二年及び昭和二十三年に制定されたものであり、当時の経済社会情勢を前提としている。
現在の我が国において、将来の経済成長を支える投資は道路や橋梁等の社会資本整備に限られるものではなく、教育・子ども政策、研究開発・科学技術、デジタル基盤整備等(以下「教育・子ども・デジタル等」という。)も将来の経済成長及び国力の強化に資するものと考える。教育・子ども・デジタル等への投資は、現役世代だけでなく将来世代も便益を受けるものである。しかし、政府及び地方公共団体は、財源不足を建前に教育・子ども・デジタル等に対し、必ずしも十分な投資を行っていない。一方、日本銀行の資金循環統計によれば、家計金融資産は約二千三百兆円を超える規模に達しており、金融機関にも潤沢な預金が存在する。仮に財政法第四条及び地方財政法第五条のような制約が無ければ、政府及び地方公共団体は、この国内の潤沢な資金から借り入れることが可能な状況である。
このような「カネ余り」とも呼べる状況の下では、教育・子ども・デジタル等への投資は、国債等による借入資金の対象となる従来型の公共事業以上に積極的に行われるべきである。こうした潤沢な資金を活用することなく、財政法第四条等により、財源を主として税収等に依存せざるを得ない現行制度は、現代社会の実態に即していないと考える。
また、地方財政法第五条による制約や地方公共団体の起債制度は、地域金融機関に資金が存在していたとしても、地方公共団体が地域の実情に応じた長期的な投資を行うことを困難にしている。
さらに、我が国においては、「財政規律」がしばしば国債発行そのものを抑制する意味で論じられているが、真に問われるべきは国債発行による借入れの多寡ではなく、借入れによって得られた資金が将来の生産性向上や国民生活の向上にどの程度寄与するのか、また、これらに寄与しない「無駄」な事業を放置せず、削減しているかであると考える。
加えて、金融政策を担う日本銀行については、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第二条に「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」が理念として定められている。しかし、経済成長の停滞が長期にわたり続く中で、日本銀行は、物価の安定だけでなく、雇用の拡大に対しても役割を果たすべきではないか。米国連邦準備制度理事会(以下「FRB」という。)は、「物価の安定」とともに「雇用の最大化」を重要な政策目的としており、これにならうべきと考える。こうした他国の事例を踏まえ、日本銀行の目的や理念、責務の在り方について、改めて検討する必要があると考える。
以上を踏まえ、政府の見解を問う。
一 財政法第四条が公共事業費について「公債を発行し又は借入金をなすこと」を認めた趣旨は、将来にわたって国の資産を形成し、その資産からの受益も長期にわたることから、後の世代にも相応の負担を求めることを許容したものと理解している。政府も同様の認識であるか、政府の見解を示されたい。
二 教育・子ども・デジタル等への支出についても公共事業費と同じく、将来世代が長期にわたり便益を受ける投資的性格を有するものではないか。教育・子ども・デジタル等への支出について、公共事業費と同様に後の世代にも相応の負担を求めることが許される性質を有すると認識しているか、政府の見解を示されたい。また、教育・子ども・デジタル等への支出が将来世代に便益をもたらす社会的資本であるとの観点から、財政法第四条について、教育・子ども・デジタル等への支出を公共事業費と同様に扱うことができるよう、改正又は廃止する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
三 将来の経済成長につながる教育・子ども・デジタル等への投資の財源に国債を活用する場合には、その財政規律は、従来のような国債発行額や債務残高にのみ注目する考え方ではなく、投資目的、費用対効果、将来の生産性向上や税収増加への寄与等も含めて総合的に評価する新たな財政規律の考え方を採用すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 地方財政法第五条は、地方公共団体の歳出について、地方債以外の歳入を財源とすることを原則とし、地方債を充てることができる経費の範囲を厳しく限定している。さらに、地方債の発行予定額の総額を国が一方的に決める地方債計画の策定、起債のために必要な協議・許可の手続、事業別の地方債充当率の設定等、地方債に係るこれらの制度によって、地方公共団体の資金調達は国の管理下に置かれているといっても過言ではない。そのため、地域の金融機関に余裕資金があるにもかかわらず、地方公共団体が起債してその資金を有効に活用することができず、地域のために必要な投資が十分に行われていない。そこで、各地方公共団体が、住民の意思に基づいて、教育・子ども・デジタル等の地域に必要な様々な事業を、金融機関の資金を活用しながら行うことができるようにするため、地方公共団体の自由な起債を制限するこれらの制度を抜本的に改正する必要はないか、特に、地方財政法第五条は廃止すべきではないか、政府の見解を示されたい。
五 日本では自ら命を絶つといった子どもの不幸が極めて多く、子どもの生きがいに関する調査でも先進国の中で低い結果が出ていると言われている。地域で子どもが好きなことに取り組むことができる教育に転換すべきであり、子どもが将来の選択肢を見つけることができる教育に地方のお金を自由に使える仕組みを構築する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
六 現下の厳しい経済情勢を踏まえ、日本銀行の目的・理念については、FRBが政策目的に「雇用の最大化」を掲げていることも踏まえ、「雇用の最大化」を明確に位置付けるべきと考える。日本銀行の目的・理念に「雇用の最大化」を加える日本銀行法改正の必要性について政府の見解を示されたい。
右質問する。

