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平成十二年十一月十日受領
答弁第一六号

  内閣衆質一五〇第一六号
  平成十二年十一月十日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員松本善明君提出松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松本善明君提出松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問に対する答弁書



一の1について

 本年七月四日に発生したT−4の墜落事故(以下「T−4墜落事故」という。)に関する航空自衛隊の航空事故調査委員会による航空事故調査における当該事故機(以下「T−4事故機」という。)のフライト・データ・レコーダの解析及びT−4事故機の残がいの分析の結果、操縦装置、着陸装置、エンジン、航法装置等に異常は認められなかった。

一の2について

 お尋ねの事故の経過は、別紙1のとおりである。

一の3及び4について

 T−4事故機は、訓練終了後、松島飛行場への帰投時に墜落したものであるところ、T−4事故機の同飛行場への帰投時の飛行経路は、別紙2のとおりであり、この間のT−4事故機と松島タワー等との間の交信記録は、別紙3のとおりである。

一の5について

 T−4墜落事故の発生当時、牡鹿半島東側付近は、ほぼ全面を雲で覆われており、雲の間隙の発生及び消滅が繰り返される状態であったと考えられるが、事故現場の具体的な気象状況については不明である。

一の6及び二の1について

 防衛庁の作成する航空事故調査報告書は、自衛隊の使用する航空機(以下「自衛隊機」という。)について発生した航空事故(自衛隊機が自衛隊以外の者が使用する航空機と衝突し、又は接触したことにより発生したものを除く。)の実態を明らかにし、その防止に資することを目的として、自衛隊機の運航方法、構造等に係る特殊性を考慮に入れて検討し、それを踏まえて作成する部内用のものであり、その全文を明らかにすることは自衛隊の能力等が明らかになることにつながるので、一般的にこれを公表することは適当でないと考えている。
 ただし、大事故(死亡又は破壊を伴ったもの。)及び民間への被害等が発生した社会的影響の大きい事故については、航空事故調査報告書の概要をもって公表を行っているところである。

二の2について

 本年三月二十二日に発生したT−2の墜落事故(以下「T−2墜落事故」という。)について、当該事故機(以下「T−2事故機」という。)の機首方位のデータは保有していないが、それ以外のお尋ねの事故の経過は、別紙4のとおりである。

二の3及び4について

 T−2事故機は、訓練終了後、松島飛行場への帰投時に墜落したものであるところ、T−2事故機の同飛行場への帰投時の飛行経路は、別紙5のとおりであり、この間のT−2事故機と松島レーダー等との間の交信記録は、別紙6のとおりである。

二の5について

 T−2墜落事故の発生当時、牡鹿半島東側付近は、ほぼ全面を雲で覆われているものの、雲の間隙がある状態であったと考えられるが、事故現場の具体的な気象状況については不明である。

二の6について

 T−2事故機の水平尾翼及び垂直尾翼については、そのほぼすべてが墜落現場である松島飛行場の東北東約二十五キロメートル付近の山岳地で発見された。なお、御指摘の「尾翼が太平洋上で発見された」との事実は確認していない。
 水平尾翼は、胴体から分離し、数個の破片に分断されていた。また、垂直尾翼は、胴体から分離していたが、垂直尾翼本体に大きな破損及び変形はなかった。

二の7について

 T−2事故機は、機首を上げた状態で山岳地の頂上付近の斜面に衝突して破壊等に至ったものと推定される。T−2事故機の残がいの分析等から、T−2事故機の機体には異常がなかったことが確認されており、山岳地への衝突前に爆発等の異常な事態が生起したことはないと考えている。

三の1について

 T−4事故機は、本年七月四日午前十時十六分ころ、約二千七百フィートの高度で女川原子力発電所から半径二マイル以内に進入し、約二十五秒後に約千三百フィートの高度で離脱したが、その際の航跡は、別紙2のとおりである。
 当時、飛行場管制業務を実施していた松島タワーにおいては、T−4事故機が航空交通管制圏外を飛行していたため、女川原子力発電所付近の上空の飛行を避けるよう指示すべき立場になく、また、主として目視及び無線の交信により管制を行っていたところであり、T−4事故機の正確な位置を常に把握することもできなかったものである。
 また、当時、ターミナル・レーダー管制業務を実施していた松島レーダーにおいては、T−4事故機が有視界飛行方式で飛行していたことから、女川原子力発電所付近の上空の飛行を避けるよう指示すべき立場になく、また、女川原子力発電所付近を飛行する前に、T−4事故機が松島レーダーとの交信を終了して松島タワーとの交信を開始していたことから、事故機の正確な位置を常に把握することを行わなかったものである。

三の2について

 航空自衛隊においては、部内規則により、原子力関連施設上空の飛行は原則として行わないことを定めており、また、T−4墜落事故の発生後、女川原子力発電所付近の上空の飛行を確実に回避し、飛行の安全を確保するため、関連規則を改正し、有視界飛行方式による松島飛行場から訓練空域等への進出及び訓練空域等から同飛行場への帰投のための飛行経路を同発電所から半径二マイルの範囲の外側となるように設定し、このような進出又は帰投の途上にある航空機に対する松島レーダーによる監視、助言等の実施等の施策を実施したところである。

三の3及び4について

 原子力施設付近の上空の飛行については、できる限りこれを避けるよう運航者に指導等を行うとともに、原子力施設付近の上空に関しては、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第八十一条ただし書に規定する最低安全高度以下の飛行についての許可は行わないこととしているところである。また、同法第七十三条の二に基づき機長が出発前に確認しなければならない事項である航空情報が記載される航空路誌に原子力施設の場所及びその概要を記載し、原子力施設付近の上空の飛行をできる限り避けるよう周知徹底を図っているところである。なお、原子力発電所には灯火が設置され、視認性の向上が図られているところである。
 以上の措置により、原子力施設付近の上空の飛行をできる限り避けるべきことは運航者に十分周知しており、現在以上の規制を行う必要はないと考えているところであるが、今後とも必要に応じ更なる周知徹底を図ってまいりたい。

四の1について

 ブルーインパルスが使用する金華山東側空域の使用要領等についての検討とは、より一層の飛行の安全の確保を図る観点から行う今後の同空域におけるブルーインパルスの訓練方法等についての検討を意味するものである。

四の2、3及び4について

 T−2墜落事故及びT−4墜落事故については、いずれも訓練時ではなく帰投時に起きたものであり、訓練空域等における気象環境に問題があるとは考えておらず、また、航空自衛隊においては、T−2墜落事故及びT−4墜落事故を踏まえ、有視界飛行方式による松島飛行場から訓練空域等への進出及び訓練空域等から同飛行場への帰投のための飛行経路及び飛行高度の見直し、このような進出又は帰投の途上にある航空機に対する松島レーダーによる監視、助言等の実施等の施策を実施したところであり、飛行の安全が確保されたと考えていることから、訓練空域等の見直しは考えておらず、今後とも、地元の住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう配慮しつつ、引き続き航空自衛隊松島基地においてブルーインパルスの運用を行ってまいりたい。

四の5について

 ブルーインパルスの展示飛行は、航空自衛隊が日ごろの訓練により培った練度の高さを国民に披露することにより、国民の国防に対する認識を深めるとともに自衛隊に対する信頼感を醸成し、併せて隊員の士気を高めようとする趣旨から行っているものであり、今後とも、飛行の安全の確保に最大限の努力を傾注しつつ、これを実施してまいりたい。

五の1について

 御指摘の飛行訓練については、午後九時から午前七時までの間及び正午から午後零時三十分までの間又は午後零時三十分から午後一時までの間の時間帯を極力避けて実施するようにしているところであり、今後とも地元の住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう配慮してまいりたい。

五の2について

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号。以下「環境整備法」という。)第四条に規定する第一種区域(以下「第一種区域」という。)については、航空機の騒音が一定の値(以下「指定基準値」という。)以上である区域を基準として、関係地方公共団体の意見を聴取した上で指定しているところであるが、現時点においては、松島飛行場に係る第一種区域を見直す考えはない。

五の3について

 環境整備法第四条に基づく住宅の防音工事の助成の対象は、第一種区域の指定の際現に所在する住宅となっているが、指定基準値を段階的に改正して第一種区域を追加指定してきたことを踏まえ、最新の第一種区域の追加指定の時点で従前の第一種区域内に所在していた住宅についても、防音工事の助成措置を講じたところである。また、助成の対象となった住宅がその後に増築された場合についても、当該増築部分の防音工事の助成措置を講じてきているところである。
 いずれにせよ、政府としては、現在住宅防音工事の助成対象となっている住宅の助成措置を着実に実施していくことが先決であると考えている。

五の4について

 御指摘の日本放送協会放送受信料免除基準に基づく自衛隊及び日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の飛行場及び射爆撃場(以下「自衛隊飛行場等」という。)の周辺の放送受信契約者に対する受信料の免除措置は、昭和五十七年に廃止されている。
 現在は、自衛隊飛行場等におけるターボジェット発動機を有する航空機の離着陸等により生ずる騒音の影響にかんがみ、防衛施設庁が定める一定の区域において、日本放送協会との放送受信契約者に対し、財団法人防衛施設周辺整備協会が、防衛施設庁の助成を受け、地上系によるテレビジョン放送の受信料の半額を助成しているところである。
 この助成措置については、他の航空機騒音対策事業との関連等を勘案し、適切に運用していく考えである。

五の5について

 我が国の防衛に必要な支援戦闘機部隊等の操縦者の養成のための態勢を維持するため、現在航空自衛隊松島基地に配備されているT−2の減耗補充用として、F−2を同基地に配備する必要があることから、同機の同基地への配備を中止することは考えていない。

五の6について

 御指摘の「RIKUZENルート」は、松島飛行場からその北東方向を通過し訓練空域等へ進出する飛行経路及び訓練空域等から同飛行場の北東方向を通過し同飛行場へ帰投する飛行経路を指すものと考えられるが、同経路を設定した目的は、飛行経路を限定し、十分な飛行高度をとること等により、牡鹿半島周辺の山岳地への墜落の危険及び女川原子力発電所付近の上空の飛行を確実に回避し、飛行の安全を確保するためであり、これを変更することは考えていない。


別紙1 事故の経過

別紙2 T−4事故機の飛行経路

別紙3 T−4事故機と松島タワー等との間の交信記録

別紙4 事故の経過

別紙5 T−2事故機の飛行経路

別紙6 T−2事故機と松島タワー等との間の交信記録

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