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平成十三年一月十六日受領
答弁第六九号

  内閣衆質一五〇第六九号
  平成十三年一月十六日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員川田悦子君提出薬害エイズ問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川田悦子君提出薬害エイズ問題に関する質問に対する答弁書



一の1について

 厚生省においては、血液製剤によるHIV感染に関する事実関係を調査するため、平成八年に省内プロジェクトチームによる調査(以下「プロジェクトチームによる調査」という。)を実施し、また、平成十年には、プロジェクトチームによる調査で確認されなかった後天性免疫不全症候群AIDSの実態把握に関する研究班(以下「エイズ研究班」という。)の第一回の録音テープ並びに第三回及び第四回の議事メモの存在が刑事裁判の過程で確認されたことを受け、改めて省内調査を実施する等真相究明のための取組を行った。
 これらの調査の結果、第二回エイズ研究班の内容に関する資料として「議事要旨」、「会議後の記者発表要旨」等の存在が、第三回エイズ研究班の内容に関する資料として「議事のすすめ方」、「記者レク資料案」、「議事メモ」等の存在が確認され、これらを公表したが、各回のエイズ研究班の議事録の存在は確認されなかった。
 なお、第三回エイズ研究班の「議事メモ」については、その一部に個人名が記載された部分があるが、エイズ研究班の会議は公開を前提としたものではなかったことから、これらの個人名については公開しないこととしたものである。また、当該「議事メモ」以外の資料で第二回及び第三回のエイズ研究班における発言者及びその発言内容を特定できるものはない。

一の2について

 御指摘の郡司ファイルについては、症例中の固有名詞に係る部分、全く判読不明なもの、個人の論文で当該個人の了解が得られなかったもの等を除いて公開するとともに、非公開とする範囲についても対外的に明らかにしたところである。
 御指摘の「個人メモ」については、厚生省において全く判読不明なものに該当すると判断し、当該資料自体は非公開とし、当該資料がつづられていた箇所に「個人メモ」と記載した紙をとじて公開したものである。

二の1について

 厚生労働省においては、血液製剤によるHIV感染という悲惨な被害を拡大させたことについて、民事訴訟の際に裁判所から指摘された重大な責任を深く自覚し、これを反省し、被害者の方々に対する恒久対策を講ずるとともに、逐次別紙に掲げるような安全性確保対策等の拡充を図ってきたところである。

二の2について

 医薬品については、有効性とともに副作用が問題となり、副作用による健康被害をできる限り減らし、医薬品本来の有効性を生かすための取組が必要である。
 医薬品の承認に当たっては、申請者から提出を受けた臨床試験の試験成績に関する資料等を基に、有効性及び安全性を審査し、その申請に係る効能、効果等を有すると認められない場合、その効能、効果等に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品として使用価値がないと認められる場合等には、承認は与えないこととしている。また、市販後において医薬品による健康被害が生じた場合に、これが拡大しないよう迅速な対応を図るため、医薬品の安全性情報の収集、評価及び提供体制の強化を図る等、安全性確保対策の充実に努めている。
 今後とも、血液製剤によるHIV感染問題のような医薬品による健康被害が生じることがないよう、これらの制度を適切に運営するとともに、審査体制等の強化に努めてまいりたい。
 一方、今日一般に飲食に供されている食品は、これまでの長い食経験の積み重ねによって安全性には問題がないとされてきたものであることから、食品一般については医薬品のような事前承認制度は設けていないが、例えば組換えDNA技術を応用した食品(以下「遺伝子組換え食品」という。)については、組換えDNA技術が食品の製造に応用された経験が少ないため、その安全性に十分な配慮が必要であることから、平成十三年四月以降、遺伝子組換え食品の安全性審査を法的に義務付けることとしている。
 今後とも、最新の科学的知見に基づき食品の安全性確保に努めてまいりたい。

別紙

年月
講じた施策
平成八年   六月
薬事法等の一部を改正する法律(平成八年法律第百四号)が成立した。医薬品製造業者等の役割を明確化し、医薬品の臨床試験の実施の基準、医薬品の市販後調査の基準等の根拠規定を定めるとともに、厚生大臣への副作用・感染症情報の報告を医薬品製造業者の義務として規定する等、治験から承認審査を経て市販後に至るまでの各段階における総合的な医薬品安全性確保対策を講じた。
七月
厚生省内に設置した「医薬品による健康被害の再発防止対策に関するプロジェクトチーム」において報告書を取りまとめた。
十月
すべての新医薬品について、品目ごとに、承認審査の経過、評価結果及びその根拠等をまとめた審査報告書を公表することとした。
平成九年   一月
厚生省における健康危機の管理体制を確立するため、「厚生省健康危機管理基本指針」を策定した。
三月
医薬品等による健康危機に迅速かつ適切に対応するため、医薬品等の安全対策の実施の手順及び具体的な方法並びに各段階における責任の所在を明らかにした「医薬品等健康危機管理実施要領」を策定した。
五月
中央薬事審議会の議事録は、個人の秘密、企業の知的財産権等に係る部分を除き、承認後に公開することとした。
七月
国立医薬品食品衛生研究所に医薬品医療機器審査センター(以下「審査センター」という。)を設置し、審査官等を平成十一年度までの三箇年計画で倍増させる等、審査体制の抜本的な改善を図ることとした。
七月
医薬品等安全性情報報告制度を発足させ、厚生省がすべての医療機関及び薬局から直接医薬品の副作用等の報告を受ける制度を整備した。
平成十一年  五月
医療関係者等に対して医薬品の安全性に関する情報を提供するため、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構を拠点に、インターネットを活用した医薬品情報提供システム事業を開始した。
六月
血液製剤の適正使用の推進を図るため、従来の使用基準等を見直し、新たに「血液製剤の使用指針」及び「輸血療法の実施に関する指針」を策定し、全国の医療機関等に周知した。
十一月
中央薬事審議会について、より効率的かつ十分な審査を行う観点から、新医薬品等の承認審査に係る部会の開催回数の増加等を図るとともに、審査センターにおけるチーム審査に専門委員が参画する専門協議方式を導入した。
十一月
平成八年十月以降公表してきた審査報告書に加えて、臨床試験データを含む申請資料を取りまとめた「新薬承認情報集」を作成し、承認後に公表することとした。
平成十二年  四月
医薬品情報提供システムの拡充を図り、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づくすべての医薬品、医療用具等の回収情報を掲載することとした。
十二月
生物学的製剤基準を改正し、輸血用血液製剤及び血漿分画製剤について、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びヒト免疫不全ウイルスの核酸増幅検査の実施を義務付けることとした。
十二月
医薬品の市販後調査の基準を改正し、新医薬品の市販後六か月間において重点的な安全性情報の提供、収集等を実施する市販直後調査を新設するとともに、新医薬品の再審査に係る市販後調査における小児等に対する使用経験に関する情報の充実を図った。


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