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答弁本文情報

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平成十三年五月八日受領
答弁第五八号

  内閣衆質一五一第五八号
  平成十三年五月八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員土井たか子君提出小泉内閣発足にあたって国政の基本政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員土井たか子君提出小泉内閣発足にあたって国政の基本政策に関する質問に対する答弁書



一について

 政府は、従来から、我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えてきている。
 憲法は我が国の法秩序の根幹であり、特に憲法第九条については過去五十年余にわたる国会での議論の積み重ねがあるので、その解釈の変更については十分に慎重でなければならないと考える。
 他方、憲法に関する問題について、世の中の変化も踏まえつつ、幅広い議論が行われることは重要であり、集団的自衛権の問題について、様々な角度から研究してもいいのではないかと考えている。

二について

 自衛隊が軍隊であるかどうかは、軍隊の定義いかんに帰する問題である。しかしながら、自衛隊は、外国による侵略に対し、我が国を防衛する任務を有するものであるが、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものと考えている。
 政府としては、このような見解を従来から採ってきているところであり、現在においても変わりはない。

三について

 内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝(内閣総理大臣が公的な資格で行う靖国神社への参拝をいう。)は、国民や遺族の多くが、靖国神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であるとし、靖国神社において国を代表する立場にあるものが追悼を行うことを望んでいるという事情を踏まえて、専ら戦没者の追悼という宗教とは関係のない目的で行うものであり、かつ、その際、追悼を目的とする参拝であることを公にするとともに、神道儀式によることなく追悼行為としてふさわしい方式によって追悼の意を表することによって、宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法第二十条第三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはないと考える。
 また、内閣総理大臣の地位にある者についても、私人として憲法上信教の自由が保障されていることは言うまでもないから、私人の立場で靖国神社に参拝することは同項との関係で問題を生じることはないと考える。
 内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝は、昭和六十年八月十五日、当時の中曽根内閣総理大臣によって実施されたのみであり、その後は、我が国国民や遺族の方々の思い及び近隣諸国の国民感情など、諸般の事情を総合的に考慮し、慎重かつ自主的に検討した結果、差し控えられているが、公式参拝は制度化されたものではないので、今後とも、その都度、実施すべきか否かを判断すべきものと考える。
 また、私人の立場で行われる内閣総理大臣の靖国神社への参拝については、個人の信教の自由に関する問題であり、政府として立ち入るべきものではないと考える。



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