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答弁本文情報

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平成十三年九月二十一日受領
答弁第一一九号

  内閣衆質一五一第一一九号
  平成十三年九月二十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員植田至紀君提出児童虐待防止法の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員植田至紀君提出児童虐待防止法の運用に関する質問に対する答弁書



一について

 各都道府県警察においては、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号。以下「児童虐待防止法」という。)の趣旨を踏まえ、児童虐待への対応に関し、児童相談所等の関係機関との間で緊密な連携を図っているものと承知している。

二について

 警察庁においては、厚生労働省と、児童虐待への対応や都道府県警察と児童相談所等の関係機関との協力について、必要に応じ協議を行っている。

三について

 警察においては、全国の警察学校において、警察庁が定めた基準により、新たに採用された警察職員や昇任した警察職員に対し、児童虐待への対応に関する教育を実施しているほか、虐待を受けた児童の保護等に従事している警察職員に対し、必要な専門的知識及び技能を習得させるための教育を実施している。

四について

 各都道府県警察においては、児童虐待に係る事件の捜査において、必要に応じ女性警察官が事情聴取を行うなど被害者である児童の心情に配慮した措置を講じているものと承知している。

五について

 お尋ねの点については、児童虐待防止法が施行された平成十二年十一月二十日から本年六月三十日までの間に発生し、都道府県警察から報告があった児童虐待の事例の範囲では、児童相談所が認知する前に警察が被疑者を逮捕したと認められるものを二十七件、児童相談所が認知した後に警察が被疑者を逮捕したと認められるものを二十二件、それぞれ承知している。

六について

 警察庁においては、児童虐待防止法の趣旨を踏まえ、各都道府県警察に対し、児童虐待への対応に関し通達等により指導をしているところであるが、御指摘のような働き掛けについての指導は行っていない。

七について

 各都道府県警察においては、児童虐待防止法の趣旨を踏まえ、必要に応じ児童相談所等の関係機関と連携して、児童虐待の早期発見に努めるとともに、迅速かつ的確に必要な保護等の措置を講じているものと承知している。

八について

 児童虐待防止法においては、親権者等による親権の適切な行使及び親権の喪失の制度の適切な運用が図られるよう、所要の規定が整備され、また、保護者から虐待を受けたこと等により、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十八条の規定による同法第二十七条第一項第三号の児童養護施設等への入所措置が採られた場合には、児童相談所長又は同号に規定する施設の長は、当該保護者について児童との面会又は通信を制限することができる旨が規定されたところである。御指摘の強引な児童の引取りについても、政府としては、これらの規定等の適切な運用で対応することが肝要であると考えている。お尋ねの「親権の一時停止」の制度の創設については、こうした規定の運用状況等を踏まえつつ、慎重に対処すべき問題と考える。

九について

 旧厚生省が行った平成十年の養護施設入所児童等調査によれば、同年二月一日現在において、里親に委託されている児童(以下「里親委託児」という。)のうち虐待を理由に委託されたものの人数は八百五十一人であり、里親委託児全体(二千百七十五人)の三十九・一パーセントである。

十について

 お尋ねの「セラピュイック(治療的)手法」が何を指すのか明らかではないが、児童虐待は、児童の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるおそれもあり、虐待を受けた児童については、心理的なケアを含めた適切な保護を図ることが重要と認識している。このため、平成十三年度においては、児童相談所の一時保護所、児童養護施設等に児童の心理的なケアを行うことができる専門的な職員を配置するとともに、児童養護施設に創作活動及び日常生活における一対一での対応等を行う職員を配置することにより、虐待を受けた児童に対する心理的なケアの充実が図られるよう、必要な措置を講じているところである。

十一について

 児童虐待の増加等、児童を取り巻く問題が深刻化する中で、家庭において十分な養育を受けられない児童を温かい愛情と正しい理解をもった別の家庭の中で養育する里親制度は、一層その意義を増していると認識している。政府としては、現行の里親制度の一層の普及に努めるとともに、心理的なケアを行うことができる専門的な知識又は経験を有する里親による里親制度についても、研究及び検討を行っているところである。

十二について

 児童相談所における児童虐待に関する相談件数が急激に増加している中で、児童虐待の通告を受けた場合には迅速かつ適切に対応するよう、都道府県等に対し要請するとともに、児童相談所の人員配置の充実、児童家庭支援センターの整備等による相談体制の強化を促進しているところである。また、児童虐待への対応に当たっては、児童相談所を中心としつつ、福祉、保健、医療、警察、教育等の関係行政機関、民間団体等が緊密に連携し、対応することが重要と認識しており、都道府県及び市町村の地域における関係機関によるネットワークの構築を推進しているところである。



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