衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十三年十二月十四日受領
答弁第二二号

  内閣衆質一五三第二二号
  平成十三年十二月十四日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員西村眞悟君提出朝銀信用組合の破綻に対する公的資金投入に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員西村眞悟君提出朝銀信用組合の破綻に対する公的資金投入に関する質問に対する答弁書



一の1について

 朝銀近畿信用組合が破綻した原因については、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)第十三条に基づく金融整理管財人の報告等によれば、合併前の旧朝銀京都信用組合において、与信審査が不十分であったことに加え、特定与信先に対し法令に定める信用供与等限度額を大幅に超過する与信集中が行われるなど、信用組合内部での相互牽制機能が形骸化し、不適切な経営管理が行われていたことが主な要因であると考えられるとのことである。

一の2について

 旧朝銀大阪信用組合の朝銀近畿信用組合への事業譲渡については、当時、信用組合の監督権限は都道府県にあったことから、大阪府知事からの当時の預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第六十三条第二項に基づく要請を受けて、大蔵省において同法第六十一条第三項に掲げる要件に該当するかどうかの審査を行い、同条第一項に基づく適格性の認定を行ったものであるが、その際、朝銀近畿信用組合の合併に参加した各信用組合を監督していた各府県のこれらの信用組合に対する検査結果も踏まえて検討を行ったところである。

一の3について

 旧朝銀大阪信用組合の朝銀近畿信用組合への事業譲渡に係る預金保険法第六十一条第一項に基づく適格性の認定は、一の2についてで述べたとおり、朝銀近畿信用組合の合併に参加した各信用組合に対する監督権限を有していた各府県の検査の結果を踏まえ、大阪府知事の要請を受けて行ったものであるが、このうち合併前の旧朝銀京都信用組合に対する京都府による検査においては、一の1についてで述べた同信用組合の不適切な経営管理により生じた不良債権が把握されていなかった。

二について

 朝銀新潟信用組合が破綻した原因については、同信用組合の審査管理体制が不十分であったこと等により、特定与信先への与信集中が容認されやすい体制であったことに加え、法令遵守体制に問題があったこと、理事会、監事等の内部の相互牽制が機能しない体制であったこと等が主な要因であったと考えられる旨、金融整理管財人から報告がなされている。
 朝銀東京信用組合が破綻した原因については、同信用組合において、いわゆるバブル期において不適切な業務運営がなされたことといわゆるバブル崩壊後の環境変化に対応した処置が採られなかったことに加え、大口信用供与規制違反等にみられるように法令遵守の姿勢が希薄であったこと等、与信体制に重大な不備があったことが主な要因であったと考えられる旨、金融整理管財人から報告がなされている。
 朝銀千葉信用組合が破綻した原因については、同信用組合の融資審査体制や債権管理体制が適切に整備されてこなかったこと等が主な要因であったと考えられる旨、金融整理管財人から報告がなされている。
 朝銀長野信用組合が破綻した原因については、同信用組合の融資審査体制に問題があったことや資産運用面で効果的な経営施策が実現できなかったことが主な要因であったと考えられる旨、金融整理管財人から報告がなされている。
 旧朝銀神奈川信用組合は、平成十一年十月に、旧朝銀埼玉信用組合、旧朝銀栃木信用組合、旧朝銀茨城信用組合及び旧朝銀群馬信用組合と合併し、朝銀関東信用組合に名称を変更している。朝銀関東信用組合については、平成十三年八月に預金保険法第七十四条第一項に基づく金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分がなされ、破綻した原因について、現在、金融整理管財人により調査が進められているところである。
 なお、札幌市に本店を有していた旧朝銀北海信用組合は、平成十一年九月に、旧朝銀岩手信用組合、旧朝銀秋田信用組合及び旧朝銀福島信用組合と合併し、朝銀北東信用組合に名称を変更し、今日に至っており、破綻していない。岐阜市に本店を有していた旧朝銀岐阜信用組合は、平成十一年九月に、旧朝銀静岡信用組合、旧朝銀三重信用組合、旧朝銀石川信用組合及び旧朝銀富山信用組合と合併し、朝銀中部信用組合に名称を変更し、今日に至っており、破綻していない。また、岡山市に本店を有していた旧朝銀岡山信用組合は、平成十一年十月に、旧朝銀愛媛信用組合、旧朝銀香川信用組合、旧朝銀佐賀信用組合及び旧朝銀大分信用組合と合併し、朝銀西信用組合に名称を変更し、今日に至っており、破綻していない。

三及び五について

 信用組合の役員は、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三十五条及び第五十五条に基づき、総会又は総代会における選挙等により選出されることとされており、各朝銀信用組合の役員についてもこうした手続を経て就任しているものと承知している。
 各朝銀信用組合は、同法第二十七条の二に基づき、それぞれの都道府県知事の認可を得て設立されたものであり、相互に別個の法人格を有しており、その運営は、それぞれの総会の議決等に基づいて行われているものと承知している。

四について

 お尋ねの朝銀信用組合の経営基盤について申し上げれば、平成十三年三月末において、当時の十八信用組合全体で、組合員数は十八万八千七百四十、貸出先数は二万六千四百三十八、貸出金残高は一兆六千四百八十八億六千二百万円、預金口座数は五十八万九千二百三十八、預金残高は一兆三千四百二十五億二千七百万円となっている。
 いずれにせよ、預金保険法第六十一条第一項に基づく破綻金融機関の救済金融機関への合併等に係る適格性の認定については、救済金融機関の財務の健全性等を審査の上、法令に従い行われるものであり、各朝銀信用組合の破綻処理についても、法令にのっとり適切に対応しているところである。

六の1について

 お尋ねの捜査については、警視庁において、平成十三年十一月八日及び十一日に協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)違反被疑事件につき朝銀東京信用組合の元理事長ら五人を、同月二十八日に業務上横領被疑事件につき同人ら六人をそれぞれ逮捕する等し、また、兵庫県警察において、同月十四日に、同法違反被疑事件につき朝銀近畿信用組合の元理事長ら五人を、背任被疑事件につき朝銀近畿信用組合及び旧朝銀京都信用組合の元理事長ら三人を、同年十二月五日に背任被疑事件につき旧朝銀兵庫信用組合の元理事長ら六人をそれぞれ逮捕する等し、さらに、神戸地方検察庁において、同日に、兵庫県警察が同年十一月十四日に被疑者を逮捕する等した背任被疑事件とは別の背任被疑事件につき朝銀近畿信用組合及び旧朝銀京都信用組合の元理事長ら三人を逮捕する等したものであり、現在も所要の捜査が行われているものと承知している。
 なお、同月二十八日に、東京地方検察庁において、同月八日に警視庁において逮捕した被疑者のうち二人について同法違反により東京地方裁判所に公訴を提起し、また、同年十二月五日に、神戸地方検察庁において、同年十一月十四日に兵庫県警察において逮捕した被疑者のうち六人について同法違反又は背任により神戸地方裁判所に公訴を提起したものと承知している。

六の2について

 旧朝銀大阪信用組合については、平成九年五月十四日の同信用組合の破綻公表以降、当時同信用組合の監督権限を有していた大阪府及び同信用組合の不良債権を引き継いだ株式会社整理回収機構(以下「整理回収機構」という。)において所要の調査が行われたが、そのいずれにおいても、犯罪があると思料するに足る事実が把握されなかったことから告発が行われなかったものと承知している。
 なお、朝銀近畿信用組合については、平成十二年十二月二十九日に金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分がなされているが、平成十三年九月二十五日に、金融整理管財人及び近畿財務局長により協同組合による金融事業に関する法律違反でその旧経営陣等を被告発人とする告発がなされ、同年十一月十四日に、金融整理管財人により背任罪でその旧経営陣を被告訴人とする告訴及び旧朝銀京都信用組合の旧経営陣を被告発人とする告発がそれぞれなされ、更に同年十二月五日に、金融整理管財人により背任罪で朝銀近畿信用組合の旧経営陣等を被告訴人とする告訴並びに旧朝銀京都信用組合及び旧朝銀兵庫信用組合の旧経営陣等を被告発人とする告発がそれぞれなされている。
 また、朝銀東京信用組合については、平成十二年十二月二十九日に金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分がなされているが、平成十三年十一月八日に、金融整理管財人により協同組合による金融事業に関する法律違反でその旧経営陣を被告発人とする告発がなされ、更に同月二十八日に、金融整理管財人により業務上横領罪でその旧経営陣を被告訴人とする告訴がなされている。

六の3について

 今般の告訴及び告発は、金融整理管財人等において犯罪があると思料するに足る事実が把握されたものについて行われたものである。
 また、金融整理管財人等においては、今後も、その職務を行うことにより犯罪があると思料するに足る事実が把握されたときは、その時点において、所要の告発等を行うこととなる。

七の1について

 政府が、朝銀信用組合から北朝鮮当局に資金が流れていると認めたという事実はない。

七の2について

 金融庁においては、朝銀信用組合から北朝鮮当局に対して資金供与がなされたとの事実は把握していない。

七の3について

 政府としては、仮に各朝銀信用組合が法令に違反する業務運営を行っていることを把握した場合は、法令にのっとり厳正に対処してまいりたい。

八の1について

 各朝銀信用組合は、中小企業等協同組合法に基づき設立された我が国の金融機関であり、預金保険法第二条第一項第四号に規定された同法上の金融機関であることから、他の破綻金融機関と同様、破綻した各朝銀信用組合の救済金融機関への合併等に際しても、法令にのっとり厳正な審査を行い、所要の手続を経て、預金者等の保護のため、同法に基づき資金援助を行ってきたものである。
 なお、御指摘の責任追及については、破綻金融機関に派遣された金融整理管財人が、法律に基づき経営者等の責任追及を行っており、また、破綻金融機関の不良債権を引き継いだ整理回収機構においても責任追及が行われているものと承知している。

八の2について

 政府としては、破綻した信用組合の事業を譲り受けた信用組合に対しても、他の金融機関と同様、法令に基づき、適切に監督を実施しており、各朝銀信用組合についても、仮に法令に違反する業務運営が行われていることを把握した場合は、厳正に対処してまいりたい。

九について

 預金保険機構による資金援助の対象となる金融機関は、預金保険法第二条第一項において、同項各号に掲げられた銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)に規定する銀行その他の金融機関であって、預金保険法の施行地外に本店を有するものを除くものと規定されており、預金保険機構による資金援助が行われた金融機関は、すべて我が国の法令に基づき設立された金融機関である。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.