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平成十四年三月二十六日受領
答弁第三七号

  内閣衆質一五四第三七号
  平成十四年三月二十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出西暦二〇〇一年に発覚した外務省の一連の不祥事と公務員の告発義務との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出西暦二〇〇一年に発覚した外務省の一連の不祥事と公務員の告発義務との関係に関する質問に対する答弁書



一について

 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三十九条第二項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めているので、右の要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解される。

二について

 国家公務員が告発を行わなかったことが刑事訴訟法第二百三十九条第二項に違反する場合には、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項第二号に該当すると解される。

三の1について

 @は、松尾克俊元外務大臣官房総務課要人外国訪問支援室長(以下「松尾元室長」という。)が、平成八年十二月下旬から平成十二年六月上旬までの間の合計十四回の内閣総理大臣の外国訪問に際し、内閣総理大臣及びその随員に係る実際のホテル利用料金と国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)に基づく宿泊料との差額を内閣官房が支給していたことから、同差額を水増し請求して、内閣官房から総額五億六百六十五万七千五百二十円を詐取したとして起訴された事案である。なお、外務省においては、平成十三年一月二十五日付けで、松尾元室長を懲戒免職にするとともに関係職員に対する処分を行った。
 Aは、在オーストラリア日本国大使館所属の外務省職員一名が、平成三年から平成五年までの在任期間中に公金を流用して私用車の購入等に充てていたとの報道が平成十三年三月にあったことから、外務省において調査を行った結果、同職員は、同大使館の館員らが自らの福利厚生用に私金を拠出して積み立てたものの管理をゆだねられていたところ、これを一時的に借用して私用車の購入に充て、その後、全額返済していたことが判明し、公金の流用や着服はなかったと認められた事案である。
 Bは、小林祐武前外務省経済局総務参事官室兼九州・沖縄サミット準備事務局課長補佐(以下「小林前補佐」という。)及び大隈勤前同室兼同事務局事務官(以下「大隈前事務官」という。)が、平成十二年二月上旬ごろから八月中旬ごろまでの間に、ハイヤー会社の社員二名と共謀の上、九州・沖縄サミット準備事務局に係る同社のハイヤーの使用料金を水増し請求して、外務省から総額二千百五十二万八千二百五十二円を詐取したとして起訴された事案である。なお、外務省においては、平成十三年八月六日付けで、小林前補佐及び大隈前事務官を懲戒免職にするとともに関係職員に対する処分を行った。
 Cは、在デンヴァー日本国総領事館において、平成十一年度及び平成十二年度に、総領事公邸の賃借に関して不適正な経理等が行われていた事案である。なお、外務省においては、平成十三年七月二十六日付けで、水谷周在デンヴァー総領事(当時)を懲戒免職にするとともに関係職員に対する処分を行った。
 Dは、在パラオ日本国大使館において、会計担当者の私的目的での公金の一時流用及び会計事務上の不手際により、平成十二年十二月末時点で同大使館の公金の帳簿残高と預金等残高に不符合が生じた事案である。なお、外務省においては、平成十三年八月一日付けで、宮崎文美義外務省大臣官房付(当時)外関係職員に対する処分を行った。
 Eは、在ケニア日本国大使館において、荒川吉彦前公使(以下「荒川前公使」という。)外外務省職員二名が、住居手当の受給に当たり、同手当の制度や住居に係る賃貸借契約書の内容等を十分に確認しないまま申請を行い、平成九年五月から平成十二年八月までの間に同手当を不適正に受給し、さらに、右職員二名のうち一名が、住居防犯対策費の補助を受けるに当たり、補助の条件について誤解したまま申請を行い、平成九年五月から平成十一年一月までの間に同費を不適正に受領していた事案である。なお、外務省においては、平成十三年八月二十四日付けで、荒川前公使外関係職員に対する処分を行った。
 Fは、浅川明男前外務省アジア太平洋経済協力大阪会議開催準備事務局次長(以下「浅川前次長」という。)が、平成八年二月下旬及び三月中旬に、ホテル会社の営業部国際営業課係長等と共謀の上、アジア太平洋経済協力東京高級事務レベル会合及びアジア太平洋経済協力第七回閣僚会議等の室料等を水増し請求して、外務省から総額四億二千二百十五万八千七百六十一円を詐取したとして起訴された事案である。なお、外務省においては、平成十三年九月二十七日付けで、浅川前次長を懲戒免職にするとともに関係職員に対する処分を行った。
 Gは、外務省において、平成七年四月一日から平成十三年七月三十一日までの間における同省と一定の範囲の民間企業及び社団法人との取引の実態について調査を行った結果、同省の七十一の課又は室と合計十一企業及び一社団法人との間に、一部の取引の結果として生じた余剰金を企業等において短期前受金又は預り金等の名目で保管するものとするいわゆる「プール金」が存在していたことが判明した事案である。なお、外務省においては、平成十三年十一月三十日に同事案に係る調査結果報告書を発表するとともに関係職員に対する処分を行った。

三の2について

 @の事案に関しては、外務省大臣官房長が、松尾元室長について、平成九年十月から平成十一年三月までの間に、内閣事務官から内閣総理大臣の外国訪問に係る諸経費の支払に充てるために交付された現金総額五千三百九十八万七百三十五円を横領したとして、平成十三年一月二十五日に警視庁に告発した。なお、同告発に係る事件については、東京地方検察庁検察官から、平成十三年八月六日付け外務省大臣官房長あて処分通知書により、不起訴処分とする旨の通知がなされたところである。
 AからGまでの事案に関しては、外務省職員による告訴又は告発は行われていない。

三の3について

 外務省において、Aの事案については、公金の流用や着服はなく、私金の横領とも認められないと判断したため、B及びFの事案については、刑事訴訟法第二百三十九条第二項の定める要件を満たすか否かについて判断する前に関係者が逮捕されたため、告訴又は告発を行わなかった。
 また、外務省において、Dの事案については、告訴又は告発を行うに足りる程度に事実を特定することができなかったため、Eの事案については、住居手当等の申請上の過誤は否定できないものの、詐欺の犯意による行動であったとは認められないと判断したため、告訴又は告発を行わなかった。
 C及びGの事案については、外務省において、同省の調査の結果判明した事実関係を基に、捜査当局にも相談しつつ、関係者の意思や行為が犯罪の構成要件に該当するか否か等について慎重に検討しているところである。
 なお、Gの事案に関しては、外務省において、関係職員に対する処分を行うとともに、「プール金」を私的目的で使用した職員に対し、既に返納金納入告知書を発出しており、また、私的目的以外の目的で使用された約一億六千万円については、延滞金を含め、外務省職員等が自主的に拠出した上、国庫へ速やかに返納したところである。

四について

 捜査機関は、告訴又は告発がない場合においても、犯罪があると思料するときは、捜査をすることができると解される。



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