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平成十五年二月二十八日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一五六第一三号
  平成十五年二月二十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員小沢和秋君外一名提出新福岡空港と交通政策審議会航空分科会答申に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小沢和秋君外一名提出新福岡空港と交通政策審議会航空分科会答申に関する質問に対する答弁書



(一)について

 平成十四年十一月二十九日に開催された交通政策審議会航空分科会(以下「航空分科会」という。)の空港整備部会においては、福岡空港のピーク時間における離着陸回数は三十回を超え一時間当たりの滑走路処理容量の限界に近づいていること、平成十二年度の福岡空港の国内線旅客数は約千六百八十万人であるが平成二十四年度には約二千百六十万人に増加すると予測されていること等、福岡空港の状況等に関する資料が提出されており、これらの資料に基づき、平成十四年十二月六日の航空分科会の答申「今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策について」(以下「答申」という。)においては、御指摘のように福岡空港について「将来的に需給がひっ迫する等の事態が予想される」とされたものと認識している。
 また、答申においては、お尋ねの需給がひっ迫すると予想される時期並びにその時の年間旅客数及び離着陸回数の予測は行われていない。

(二)について

 平成十四年八月二十三日の航空分科会の「中間とりまとめ」においては、福岡空港、新千歳空港及び那覇空港のうち将来的に需給がひっ迫する等の事態が予想されるものについて、その対応策に関する調査の必要性等を引き続き検討する旨が示されている。これを踏まえ、その後航空分科会の空港整備部会において検討が行われた結果、福岡空港について、既存ストックの有効活用方策、近隣空港との連携方策とともに中長期的な観点からの新空港、滑走路増設等を含めた抜本的な空港能力の向上方策に関する調査が必要とされ、これらについては相互に関連性を持ちつつ総合的に進めることが適当であるとされたことから、答申の結論に至ったものと認識している。

(三)について

 お尋ねの「新福岡空港」とは、福岡県等により設立された新福岡空港調査会が平成十四年四月に発表した「新福岡空港基本構想」においてその必要性が示された空港のことを指すものと思われるが、当該構想は右に述べたようなものであり、政府として「新福岡空港」について具体的な計画を有するものではないため、政府はその建設の中止について要望を受ける立場になく、お尋ねのように、答申が出された後に福岡県から「新福岡空港建設は中止してほしい」という趣旨の連絡を受けたこともない。

(四)について

 答申に示された総合的な調査の具体的な実施時期及び調査期間については、現時点では未定であるが、政府としては、答申を踏まえ、幅広い合意形成を図りつつ、福岡県等と連携してこれを進める必要があると考えている。

(五)について

 空港整備事業費の国と地方公共団体の負担割合は空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)第二条に定める空港の種類等により異なるものであるところ、お尋ねの「新福岡空港」については、政府として具体的な計画を有しておらず、したがって、空港の種類等も特定できないことから、お尋ねの地元負担について従来との比較を行うことはできない。
 福岡空港の空港整備事業費については、平成十四年度当初予算で五十二億七千九百万円であり、このうち、国の負担額及びその比率は四十四億九千八百万円及び約八十五パーセントであり、福岡県の負担額及びその比率は七億八千百万円及び約十五パーセントである。
 今国会に提出している空港整備法の一部を改正する法律案の内容に従うと、御指摘のILS(計器着陸装置)のうち照明施設及び無線施設用地に係る整備費については、国の全額負担から、福岡県が三分の一を負担することとなり、福岡県の負担は増えることとなると考えられる。もっとも、その具体的な額については、平成十五年度予算成立後に財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十四条の二の規定による支出負担行為の実施計画の承認を経て確定されるものであり、現時点では未定である。

(六)について

 御指摘の「住民の合意形成等の手続きがルール化されておらず、透明性の向上の観点から問題があるとの指摘もあった」との答申の部分については、従来、空港の整備については、住民等に対する情報提供が必ずしも十分ではなく、また、航空機の航行を援助するための施設用地の確保など専門的な分野もあるため、その必要性や位置等について、住民等から十分な理解が得られないなどの問題があるとする趣旨のものと認識している。
 答申に示された総合的な調査の具体的な実施方法は、現時点では未定であるが、政府としては、福岡県等と連携して進めることはもとより、幅広い合意形成を可能とするため、透明性の向上の観点から十分な情報提供を図っていく必要があると考えている。

(七)について

 平成十三年の福岡空港における一時間当たりの離着陸回数の平均値及び最高値は、別表のとおりである。
 平成十三年の福岡空港における着陸機と離陸機が交互に離着陸する場合のいわゆる処理時間(先行着陸機が安全に着陸し後続離陸機に離陸許可が発出されるまでに要する時間と、後続離陸機が安全に離陸し次の着陸機に着陸許可が発出されるまでに要する時間を合計した時間をいう。)は約二百七秒であるところ、この間に着陸と離陸が行われるため、福岡空港の一時間当たりの計算上の滑走路処理容量は、一時間すなわち三千六百秒を二百七秒で除して得た数値に二を乗じることにより求められ、その計算の結果、三十四回程度と試算される。なお、いわゆる空港能力の評価に当たっては、滑走路処理容量以外にも、誘導路の形状・配置、駐機場の配置・数等を考慮に入れる必要がある。
 また、御指摘の誘導路及びILSは、北風時における遅延や欠航の減少に資するものであり、これらが完成すると北風時の空港能力を南風時とほぼ同等の水準にまで向上させる効果があると見込んでいるものの、滑走路の増設のように抜本的に空港能力を向上させるものではない。

(八)について

 政府としては、答申を踏まえ、現在の福岡空港の有効活用方策や近隣空港との連携方策による福岡空港の空港能力の向上の可能性についての総合的な調査を行い、その調査結果を踏まえて現在の福岡空港の空港能力の限界を見極める必要があると考えており、現時点において、福岡空港の航空需要がその空港能力の限界に至る時期についてお答えするのは困難である。

(九)について

 今後、福岡空港の航空需要の増大に伴い、就航機材の大型化による対応等が図られていくものと考えられるが、路線ごとの需要等を勘案すれば、これらにも限界があると考えられる。また、(八)についてで述べたとおり、政府としては、答申を踏まえ、現在の福岡空港の有効活用方策等による空港能力の向上の可能性についての総合的な調査を行い、その調査結果を踏まえて現在の福岡空港の空港能力の限界を見極める必要があると考えている。

(十)について

 佐賀県が実施した佐賀空港についての需要予測と実績との差については、需要予測の実施以降における経済状況が大きく変化したこと、路線、運賃設定等に係る規制緩和の効果により福岡・羽田線へ新規企業が参入し同路線の運賃が低下したこと等の要因で生じたものと考えられる。
 また、国土交通省においては、地方公共団体が行う需要予測の改善策として、平成十三年十二月に「国内航空需要予測の一層の精度向上について」(国土交通省航空局飛行場部計画課長通知)を取りまとめ、需要予測の一層の精度向上のために留意すべき事項を示すとともに、必要な記録の整備及び保存を行い、求めがあれば適切に公開するよう努めることとし、関係地方公共団体等に周知を行ったところである。

(十一)について

 福岡空港及び新北九州空港の需要予測については、将来人口の増減や競合する空港の影響等を考慮した精度の高い需要予測モデルにより適切に行っているものである。
 なお、需要予測の前提条件とされた事項についてその後に大きな変更が生じたような場合には、必要に応じ適切に需要予測の見直しを行っていく考えである。

(十二)について

 お尋ねの三空港における旅客数については、御指摘の割引運賃のほか、空港周辺地域の人口、空港への交通アクセス、乗り入れ便数等の利便性など、様々な要素によって大きな影響を受けるものであり、いずれの要素がどの程度旅客数に影響を与えるかについては、一概には言えない。

(十三)について

 御指摘の「航空運賃にみられる福岡空港に集中するような政策誘導」が具体的に何を意味するのか必ずしも明らかではないが、福岡空港における国内航空路線に係る便数及び運賃設定については、航空会社の自主的な判断にゆだねられているものである。
 なお、答申において、福岡空港は将来的に需給がひっ迫する等の事態が予想され、その対応策に関する総合的な調査を進める必要があるとされたところであり、政府としては、答申を踏まえ、近隣空港との連携方策も含めた総合的な調査を進める必要があると考えている。


別表 福岡空港における時間帯別離着陸回数(平成13年実績)


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