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平成十五年四月十一日受領
答弁第三三号

  内閣衆質一五六第三三号
  平成十五年四月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員保坂展人君提出刑務所作業製品(CAPIC キャピック)の表示問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出刑務所作業製品(CAPIC キャピック)の表示問題に関する質問に対する答弁書



(1)について

 刑務所に収容されている受刑者が行う作業(以下「刑務作業」という。)については、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第五章、監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)第五章等の規定に基づき行われているところであり、刑務作業の運営に関する事務の取扱いについては、刑務作業事務取扱規程(平成九年法務省矯作訓第三千七号法務大臣訓令。以下「事務取扱規程」という。)に定められている。
 事務取扱規程第三条により、刑務作業の形態は、生産作業、職業訓練及び自営作業の三つとされ、生産作業のうち、原材料の全部又は一部を財団法人矯正協会刑務作業協力事業部(以下「矯正協会事業部」という。)から提供を受けて行うものは、「事業部作業」と区分されている。
 御指摘の「CAPICのブランドで知られる刑務所作業製品」とは、この事業部作業による製品(以下「キャピック製品」という。)を指すものと解されるところ、その製作、流通は、刑務所と矯正協会事業部との契約に基づいて行われており、その仕組みについては次のとおりである。
 ア 刑務所は、毎年、矯正協会事業部と契約を締結し、矯正協会事業部から必要な原材料の供給を受け、労務を提供してキャピック製品の製造及び加工を行い、完成したキャピック製品を矯正協会事業部に納品する。
 イ 矯正協会事業部は、納品されたキャピック製品を販売し、売上金の中から、原材料費や一般管理費を賄うとともに、刑務所の発行する納入告知書により、製造及び加工の代金を納付し、これは、監獄法第二十七条第一項に基づき、刑務作業の収入として国庫に帰属する。
 お尋ねの作業賞与金については、監獄法第二十七条第三項及び監獄法施行規則第七十一条に基づき、当該受刑者の行状、性向、作業の種類、成績及び科程の了否をしんしゃくし、作業賞与金計算規程(昭和六十年法務省矯作訓第六百四十二号法務大臣訓令)の定めるところによりその額を計算しているものであり、キャピック製品の製造・販売の実績と作業賞与金の額とは直接関係するものではない。

(2)について

 矯正協会事業部によれば、過去五年間におけるキャピック製品の品目数は二万以上に上るとのことであり、そのすべてについてお尋ねの各事項に係る資料等を精査することは、作業が膨大なものとなるため、お答えすることは困難である。
 ちなみに、キャピック製品のうち三十九品目を抽出し、法務省及び矯正協会事業部において、平成十二年度から平成十四年度までの各年度におけるこれらの製品名、製作刑務所名、製造及び加工の代金、販売価格、販売個数並びに刑務作業の工程を調査した結果は、別表一のとおりである。
 また、これらの流通にかかわった業者は、矯正協会事業部によれば、別表二のとおりである。

(3)について

 キャピック製品の製造及び加工に必要な経費のうち、原材料費については(1)についてで述べたとおり、矯正協会事業部が負担しているが、その他の経費については国の負担である。
 なお、平成十三年度予算において、刑務作業に必要な経費として刑務所作業費の項に計上された額は、約四十億二千万円であり、その内訳は、刑務作業の円滑な実施等に必要な経費が約三十八億円、受刑者の職業訓練の実施に必要な経費が約一億三千万円、刑務所の工場の新築に伴う機械の移設等に必要な経費が約九千万円である。

(4)及び(5)について

 平成十四年三月末日までに製造及び加工を中止した四十八品目のキャピック製品について、同日までの販売価格及び販売実績に係る資料等を精査することは、作業が膨大なものとなるため、お尋ねのすべてについてお答えすることは困難であるが、これらの製品名、製作刑務所名及び刑務作業の工程並びに平成十三年度における販売価格及び矯正協会事業部に対する納品実績は、別表三のとおりである。
 法務省においては、平成十三年十二月、キャピック製品について、@刑務所において、彫り、塗り、染め、焼き、編み、織り、刺しゅうなど付加価値を高める加工を行い、製品として出荷するもの、A刑務所において組立てを行い、製品として出荷するもの、Bその他製品として出荷するもので、キャピック製品とすることが相当と認められるものに限ることとしたところ、右に述べた四十八品目のキャピック製品については、これらの基準に照らし、消費者に無用の誤解を生じさせることになりかねないと判断し、平成十四年三月末日までに製造及び加工を中止したものである。
 これらの在庫品については、矯正協会事業部において、本年二月末日までの期限で販売を継続していたものであるが、販売に際しては、具体的な製造工程を明確に表示するなど消費者に無用の誤解を生じさせないような措置を執ったことから、当該製品の製造及び加工を中止した旨を公表する必要性まではないと判断したものである。

(6)について

 お尋ねの経緯について法務省において把握した事実関係は、次のとおりである。
 ア 平成十二年四月、福岡県宗像市において、矯正協会事業部の主催で刑務所作業製品展示即売会が開催された際、同市の家具店経営者から、福岡刑務所及び公正取引委員会に対し、同展示即売会で販売されている家具の中には刑務所で製作されたとは思われないものがある旨の指摘があった。
 イ 右指摘に係る家具と判断された飾り棚は、完成品の状態で輸入されたものであったが、岡山刑務所の受刑者が、同刑務所内の工場でいったん分解し、各部品の割れやひびの修理、研磨、下地塗装を行った上、本漆を何度も重ねて塗り、乾燥させた後に再度組み立てたものであり、全工程に約一か月を要したものであった。
 ウ 前記展示即売会用の広告チラシにおいて、右飾り棚については「岡山刑務所」と表示され、原産国が表示されていなかった。
 エ 右表示につき、同年六月、公正取引委員会事務総局九州事務所の取引課長から福岡矯正管区の作業課長に対し、「商品の原産国に関する不当な表示に該当するおそれがあり、問題点を含んだチラシであったが、改善策が既に執られているので、今後は十分注意願いたい」旨、口頭で指摘があった。
 オ これを受けて、法務省においては、矯正協会事業部に対し、キャピック製品の表示を改善するよう指示し、矯正協会事業部は、その後、原産国を表示することとしたところである。
 また、お尋ねの「内部処分の状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前記展示即売会に関し、これに協力した福岡刑務所等の職員について、懲戒処分は行っていない。

(7)について

 法務省矯正局が全国の刑務所等に対し、お尋ねのような通達を発した事実はない。
 なお、同局が矯正管区等に対し、矯正管区等で確認できない事柄や調査が困難な事柄について取材を受けた場合は同局で対応する旨を連絡したことはある。
 また、矯正協会事業部に関する事柄については、矯正協会事業部において取材に対応しているものと承知している。

(8)について

 御指摘のとおり、帯広刑務所において、小豆、馬れいしょ及びとうもろこしの植付け及び収穫作業を行っていることは事実である。
 なお、右小豆は、同刑務所における被収容者の自給用として作っているものであり、(4)及び(5)についてで述べた製造及び加工を中止した四十八品目のキャピック製品に該当する同刑務所の「十勝の豆 小豆」及び「小豆」とは、別のものである。

(9)及び(10)について

 退職した行刑施設の職員の再就職については、お尋ねの刑務所、矯正協会事業部及びその取引先企業の関係をも考慮し、権限や予算等を背景とした利益誘導が行われるのではないかとの疑念を持たれることのないよう、十分な配慮がなされるべきものと考える。
 キャピック製品の在り方については、全体の工程に占める刑務作業の関与の割合が極めて低い製品であっても、受刑者の改善更生及び社会復帰に資するものがないわけではないが、他方、刑務作業によって生産されたキャピック製品が消費者に無用の誤解を生じさせたり、刑務作業に対する信頼を損ねたりしないよう、平素からの内部点検を励行するとともに、キャピック製品として販売される場合には、矯正協会事業部に対し、消費者の視点に立った適正な表示がなされるよう、指導及び監督していく必要があると考える。


別表一(1/11)


別表一(2/11)


別表一(3/11)


別表一(4/11)


別表一(5/11)


別表一(6/11)


別表一(7/11)


別表一(8/11)


別表一(9/11)


別表一(10/11)


別表一(11/11)


別表二


別表三


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