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平成十五年五月九日受領
答弁第四三号

  内閣衆質一五六第四三号
  平成十五年五月九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員中村哲治君提出政府提出出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中村哲治君提出政府提出出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 平成元年から平成十四年末までに日本において難民認定された者百十三名のうち、難民認定された際に在留資格非取得外国人(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「法」という。)別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもって本邦に在留する者、一時庇護のための上陸の許可を受けた者で当該許可書に記載された期間を経過していないもの及び特別永住者以外の者)であった者は、五十九名である。

一の(2)について

 一の(1)のうち、法務大臣が定住者の在留資格の取得を許可しなかった者はいない。

一の(3)について

 一の(1)の五十九名のすべての者につき、法第六十一条の二の八及び第五十条の規定により、法務大臣がその在留を特別に許可している。なお、一の(2)に該当する者はいない。

一の(4)について

 一の(1)以外の者のうち、定住者の在留資格への変更許可又は定住者の在留資格の取得許可の申請があったときに、法務大臣がこれを不許可とした事例はない。

一の(5)について

 平成元年から平成十四年末までに日本において難民認定された者百十三名のうち、本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあっては、その事実を知った日。以下同じ。)から六月を経過した後難民認定申請をした者は、十三名である。

一の(6)について

 平成元年から平成十四年末までに日本において難民認定された者百十三名のうち、本邦にある間に難民となる事由が生じた者は、六十六名である。

一の(7)、(8)及び(10)について

 いずれも、統計がないため、答弁することができない。

一の(9)について

 政府提出出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案による改正後の出入国管理及び難民認定法(以下「新法」という。)第六十一条の二の二第一項第二号に規定する「直接本邦に入つた」とは、難民認定申請者が、出身国その他のその生命、身体又は身体の自由が難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)第一条A(2)に規定する理由によって害されるおそれのあった領域(以下「出身国等」という。)から本邦に直接的に逃れてきた状態をいう。ただし、右のおそれのない領域を経由して本邦に入った場合であっても、本邦に入国するために当該領域を単に通過したにすぎない場合や、当該領域において予定された滞在期間及び現に滞在した期間が非常に短く、当該領域の属する第三国(我が国が国家承認していない国を含む。)から庇護を与えられなかった場合等には「直接本邦に入つた」に当たると考える。

一の(11)について

 平成元年から平成十四年末までに日本において難民認定された者百十三名のうち、法第六十一条の二第二項本文に定める六十日の申請期間を超えて申請をした者は、三十名である。

二の(1)について

 平成元年から平成十四年末までに人道的配慮による在留を認められた難民認定申請者二百五十九名のうち、法第六十一条の二第二項本文に定める六十日間の申請期間を超えて申請をした者は、百四十一名である。

二の(2)について

 お尋ねの「本邦にある間に人道的配慮の基礎となった事由が生じた者にあっては、その事実を知った日」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成元年から平成十四年末までに人道的配慮による在留を認められた難民認定申請者二百五十九名のうち、本邦に上陸した日から六月を経過した後難民認定申請をした者は、百八名である。

三の(1)について

 平成元年から平成十四年末までに難民認定申請をした者千九百六十八名から、いまだ処分が確定していないために本邦にある間に難民となる事由が生じた者であるか否かが不明確である者六十三名を除いた千九百五名のうち、本邦に上陸した日から六月を経過した後難民認定申請をした者は、七百五名である。

三の(2)及び(3)について

 いずれも、統計がないため、答弁することができない。

四及び五について

 新法第六十一条の二の二第一項第一号及び第二号において、定住者の在留資格の取得の許可の例外として、本邦に上陸した日から六月を経過した後難民認定申請を行ったものであるとき、及びその者の生命、身体又は身体の自由が難民条約第一条A(2)に規定する理由によって害されるおそれのあった領域から直接本邦に入ったものでないときを規定した趣旨は、本邦に上陸した日から六月以内に難民である旨の申出をしなかった不法滞在者及び右のおそれのあった領域から直接本邦に入ったものでない不法滞在者については、出身国等における迫害から逃れるためにやむを得ず不法入国、不法残留等の違法行為を行ったものとは認められず、迫害からの緊急避難性という観点を考慮すると、その他の難民と比較して我が国において庇護を付与すべきものとする必要性が劣るものと考えられ、このような不法滞在者に定住者の在留資格の取得を一律に許可することとするのは適当ではないと判断したことによるものであって、難民条約第三十一条(同規定は、右のおそれのある領域から直接来た難民に対し、遅滞なく当局に出頭し、不法に入国したこと等の相当な理由を示すことを条件に、刑罰を科してはならない旨定めている。なお、難民条約は、その者の在留を許可するか否かにつき、締約国の裁量にゆだねている。)の趣旨をも踏まえたものである。
 また、前記の期間を六月としたのは、一時庇護のための上陸の許可の上陸期間及び短期滞在の在留資格により通常在留できる期間の上限等を踏まえたものであるが、当該期間は、言語上の問題その他難民認定申請者の置かれた特殊な状況を考慮しても、難民認定申請を行うために十分な期間と考えられる上、この要件を設けることにより、難民の法的地位の早期確定や難民認定申請案件の迅速かつ適正な処理にも資するものと考えられる。
 次に、新法第六十一条の二の四第一項において、難民認定申請を行った在留資格非取得外国人に仮滞在を許可することの例外として、新法第六十一条の二の二第一項第一号又は第二号のいずれかに該当することが明らかであるときを規定した趣旨は、当該規定に該当する者については、前述のとおり、たとえ難民と認定されたとしても定住者の在留資格の取得を一律に許可すべきものから除外することとしたのと同様に、難民条約第三十一条の趣旨に照らしても、仮滞在という特別な地位を認めるべき必要性が乏しいことによるものである。また、このような規定を設けることにより、専ら退去強制を免れることを目的として難民認定申請を行うなどの難民認定制度の濫用の防止にもつながるとともに、難民の法的地位の早期確定や難民認定申請案件の迅速かつ適正な処理にも資するものと考えられる。



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