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答弁本文情報

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平成十六年二月二十七日受領
答弁第一五号

  内閣衆質一五九第一五号
  平成十六年二月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員阿部知子君提出商工ローン問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出商工ローン問題に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの主債務者のみから回収できた件数と金額、保証人に請求した件数と金額及び保証人から回収できた件数と金額は、いずれも把握していない。

二について

 貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号。以下「貸金業規制法」という。)第二条第二項に規定する貸金業者及び貸金業者としての登録を受けずに貸金業を営む者(以下「無登録業者」という。)に関して、関東財務局及び近畿財務局に寄せられた苦情、相談等の最近五年間の件数及びその内容は、別表第一のとおりである。このうち、主に事業者向けの貸付けを行っている者に関する苦情、相談等の件数及びその内容は、別表第二のとおりである。なお、貸金業規制法においては、「行政処分申し立て」といった制度はないが、右に述べた苦情、相談等のうちには行政処分を求める趣旨のものも含まれている。
 会社別の内訳については、当該会社の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

三について

 関東財務局が株式会社SFCGの債務者、保証人及びこれらの代理人弁護士から行政処分を求める旨の要請を受けた時期、その内容及び関東財務局における対応については、同社の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

四の(一)について

 関東財務局及び近畿財務局が、最近五年間に貸金業規制法第十七条又は第十八条に違反するとして、行政処分を行った貸金業者の数及び内訳は、別表第三のとおりである。
 なお、無登録業者については、行政処分の対象とはならない。

四の(二)について

 財務局が、貸金業規制法第十七条又は第十八条に違反するとして、主に事業者向けの貸付けを行っている貸金業者に対して最近五年間に行った行政処分について、その時期、貸金業者の名称及び処分理由は、別表第四のとおりである。
 なお、貸金業規制法第三条第一項により都道府県知事の登録を受けた貸金業者に対して都道府県知事が行った行政処分の計数については、把握していない。

五について

 財団法人生命保険文化センターの行っている調査によれば、生命保険会社が死亡保険金を支払った件数のうち自殺を原因とするものの件数については、平成十年度は二万千三百三十八件、平成十一年度は二万七百三十三件、平成十二年度は二万六百二十八件、平成十三年度は一万七千四十六件、平成十四年度は一万七千七百四十七件となっているが、死亡保険金のうち自殺を原因とするものの総額については、把握していない。

六について

 貸金業規制法第二十一条第一項は、債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又は人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない旨規定しており、差押えや仮差押えという法的手続をとる場合に、単なる法的手続による権利行使にとどまらず、人を威迫し又は人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させた場合には、同項に違反することとなる。
 同項に規定する「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」については、同項各号にその行為類型を例示しているところ、同項第六号においては、債務者等が、債務の処理を弁護士等に委託する等し、弁護士等から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、訪問する等の方法により、債務者等に当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求することを挙げている。同号に規定する「正当な理由」として、金融庁の事務ガイドライン「金融監督等にあたっての留意事項について(第三分冊:金融会社関係)3―2―6取立て行為の規制」においては、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、弁護士等からの承諾がある場合、弁護士等又は債務者等から弁護士等に対する委任が終了した旨の通知があった場合のようなものが該当する可能性が高いとしている。

七について

 利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条第一項及び第四条第一項は、金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約及び債務の不履行による賠償額の予定について、その利率又は割合の上限を設定し、これを超えるときは、その超過部分を無効とする旨を定めている。そして、「利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は民法四九一条により残存元本に充当される」と解されている(最高裁判所昭和三十九年十一月十八日大法廷判決、民集十八巻九号千八百六十八頁)。したがって、金銭を目的とする消費貸借契約の債務者が利息制限法の制限を超える利息又は損害金を支払った場合において、当該超過部分を元本に充当した結果、計算上元本が完済となったときは、既に消費貸借上の債務は存在しない。
 もっとも、貸金業規制法第四十三条は、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、利息制限法第一条第一項に定める利息の制限額を超える場合において、一定の要件を満たすときには、当該超過部分の支払は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)第五条第二項の禁止する利率による利息の支払等に当たらない限り、利息制限法第一条第一項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす旨を定めている。右に述べた規定の適用がある場合には、当該超過部分が元本に充当されない結果、専ら同法に基づいて計算すれば債務残高が零となる場合であっても、なお消費貸借上の債務が残存することとなる。

八について

 最近五年間における公正証書の全体の作成件数は、平成十年が四十八万三千五百八十一件、平成十一年が四十六万五千二百四十四件、平成十二年が四十四万九千三百七十二件、平成十三年が三十九万三千九百件、平成十四年が三十七万七千六百五十二件であるが、これらのうち、「貸金業者の依頼で作成されたもの」又は「貸金にかかわって作成されたもの」の件数及びそのうち債務者本人が公証人役場に出頭せず、代理人が出頭した件数は、把握していない。

九について

 公証人となる際の研修は、日本公証人連合会の主催、法務省の共催で実施している。研修期間は二日間であり、研修内容は「公証人としての心構え」、「法律行為公正証書について」、「定款認証・確定日付等について」などである。また、各公証人は、その任命前に、前任の公証人の下で数日間の実務研修を受けている。

一〇について

 国家公務員の退職後における再就職の状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が把握すべき立場にはないことから、お尋ねのすべての事項についてお答えすることは困難である。
 過去三年間において、財務省、金融庁、旧大蔵省又は旧金融監督庁の職員で、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条に基づく人事院の承認を得て、主に事業者向けの貸付けを行っている貸金業者に再就職した者はいない。

一一の(一)について

 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第二十五条第四号の「公務員として職務上取り扱つた事件」に当たるかどうかは、具体的事件を対象に、公務員としてその事件の事案の処理の実質に関与したかどうかで判断すべきものであり、ある事業者の業務等を監督する行政機関の長であったというだけでは、当該事業者が当事者となっている具体的事件の事案の処理に関与したことにはならない。したがって、一般的には、御指摘のような訴訟は、「公務員として職務上取り扱った事件」には当たらないと解される。

一一の(二)について

 お尋ねの点については、弁護士法上は第二十五条第四号のほかに規制はなく、日本弁護士連合会からも、御指摘のような基準を定めた会則等はないと聞いている。

一二について

 平成十二年八月三十一日に、関東財務局が株式会社商工ファンド(当時)に対し、行政処分を行ったことは事実であるが、民事訴訟における代理人弁護士の主張の内容の評価については、お答えする立場にない。


別表第一


別表第二・別表第三


別表第四


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