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答弁本文情報

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平成十六年二月二十七日受領
答弁第一六号

  内閣衆質一五九第一六号
  平成十六年二月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員小林憲司君提出新生銀行上場申請に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小林憲司君提出新生銀行上場申請に関する質問に対する答弁書



一について

 株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」という。)が、本年一月十六日に株式会社新生銀行(以下「新生銀行」という。)の株券の上場を承認したこと及び同年二月十九日に当該株券を上場したことは承知している。
 株券の上場の承認は、証券取引所において行われるものであり、内閣総理大臣に対しては、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第百十条の規定に基づき、証券取引所から事後的に上場日の七日前までに届出が行われる。内閣総理大臣は、証券取引所が業務規程に違反して有価証券の上場を行おうとする場合又は行った場合には、同法第百十三条の規定に基づき、違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができるが、今般の上場において、そのような事実は把握していない。

二について

 証券取引所は、有価証券の上場を承認した後、上場日までの間に、当該上場が証券取引所の上場審査基準に抵触することとなった場合には、上場の承認を取り消すと承知しており、過去にも上場の承認を取り消した事例が複数件あると承知している。
 お尋ねの新生銀行の株券の上場については、東京証券取引所において必要な審査を行ったが、上場承認日から上場日までの間に、上場の承認の取消しが必要であると判断するに足る事実は確認されなかったと聞いている。

三について

 東京証券取引所は、新生銀行の株券の上場審査の過程で、新生銀行が係争中の訴訟について報告を受けており、金融庁においても、当該訴訟の件数について、東京証券取引所から報告を受けているが、具体的な件数については、新生銀行の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

四について

 金融庁は、新生銀行から、新生銀行に係る損害賠償訴訟の内容について報告を受けているが、その内容については、新生銀行の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。
 また、金融庁は、東京証券取引所、幹事証券会社等の関係者からも、当該訴訟について、その把握している事実の説明を受けるなど、実態把握に努めた。

五について

 証券取引所においては、上場申請会社に係争中の事案がある場合には、上場審査基準に従って、上場の適格性に問題がないかどうかを判断しており、お尋ねのように、大きな訴訟を抱えている企業の有価証券を上場する場合に訴訟が解決するまで公開を認めないことを原則とするという取扱いはしていないと承知している。
 お尋ねの新生銀行の株券の上場については、東京証券取引所において必要な審査を行ったが、上場承認日から上場日までの間に、上場の承認の取消しが必要であると判断するに足る事実は確認されなかったと聞いている。

六について

 預金保険機構、旧株式会社日本長期信用銀行(以下「旧日本長期信用銀行」という。)及びニュー・LTCB・パートナーズ・CV(以下「パートナーズ社」という。)は、平成十二年二月九日に旧日本長期信用銀行に係る株式売買契約を締結した。その時点において、当時の金融再生委員会は、旧日本長期信用銀行が係争中の訴訟の状況について、当該契約に示された範囲内で把握していたが、その具体的な内容については、新生銀行等の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

七について

 新生銀行(旧日本長期信用銀行)からは、その業務の状況について必要に応じ報告を受けているが、お尋ねの訴訟をいつ知ったかについては、確認できない。

八について

 お尋ねのシャーマン・アンド・スターリング法律事務所が「カミノコーポレーションおよびイ・アイ・イ インターナショナル対シャーマン・アンド・スターリング間訴訟」の「和解の一部」として謝罪文を複数の新聞に掲載したことは承知しているが、その謝罪文の出された経緯等については、承知していない。新生銀行は、お尋ねの和解が行われた訴訟の原告又は被告ではなかったと承知している。また、この謝罪文が損害賠償訴訟に及ぼす影響については、お答えする立場にない。

九について

 証券取引所においては、公正かつ的確な上場審査を行うため、上場申請会社、幹事証券会社、公認会計士等から必要に応じて事情聴取等を行っていると承知している。新生銀行の株券の上場についても、東京証券取引所において、新生銀行及びその関係者から事情聴取を行い、必要な書類を入手し、審査を行ったと聞いている。

一〇及び一一について

 株券の上場に当たっては、投資者が不測の損害を被ることのないよう、適切な情報開示が行われる必要があると考えているが、新生銀行の株券の上場について、特段の問題は把握していない。

一二について

 個別の訴訟の見通しについて申し上げる立場にはないが、重要な訴訟事件の発生等、投資のリスクに関する投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、有価証券届出書に「事業の概況等に関する特別記載事項」として、一括して分かりやすく記載させることとしている。新生銀行から本年二月四日に提出された有価証券届出書の訂正届出書においては、株式会社イ・アイ・イーインターナショナルの破産管財人が、サイパンの裁判所において訴訟を再開する準備を進めているとの新聞報道等に言及した上で、「本件につき、預金保険機構による補償の範囲又は補償金額の支払手続に関して、今後紛争が発生しない保証はありません。」と記載している。
 ただし、「事業の概況等に関する特別記載事項」は、有価証券届出書の届出者が、自らが保有する情報を基に、自身の判断により作成するものであり、届出者がその責任を負うものであって、財務局における有価証券届出書の受理により、金融庁及び財務局がその記載が真実かつ正確であることを認定するものではない。

一三について

 東京証券取引所からは、新生銀行が本年二月四日に東京証券取引所に提出した「上場申請のための有価証券報告書」の訂正報告書の「事業の概況等に関する特別記載事項」において、「預金保険機構による補償の範囲又は補償金額の支払手続に関して、今後紛争が発生しない保証はありません。」と記載されており、投資者に対するリスク情報が適切に開示されていることから、東京証券取引所の上場審査基準に照らしても、特段の問題はないと判断したと聞いている。金融庁においては、そのような東京証券取引所の判断について、特段の問題は把握していない。

一四について

 新生銀行が提出した有価証券届出書又は訂正届出書において、仮に、重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていることが判明した場合には、その時点で、証券取引法の規定にのっとり、適切に対処してまいりたい。

一五について

 東京証券取引所からは、新生銀行の株券の上場について必要な審査を行ったが、上場承認日から上場日までの間に、上場の承認の取消しが必要であると判断するに足る事実は確認されなかったと聞いている。

一六について

 東京証券取引所の有価証券上場規程では、上場申請書に、幹事証券会社が作成した当所所定の推薦書を添付することを義務付けている。新生銀行の株券の上場についても「上場申請会社の業績、経営者の識見及び将来の見通し等について十分調査を行った」旨を記載した幹事証券会社の推薦書が添付されているが、東京証券取引所からは、適切な引受審査が行われたことを確認したと聞いている。

一七について

 お尋ねのリップルウッド社は、新生銀行の株主であるパートナーズ社に対する主要な投資者であると承知している。民間企業であるリップルウッド社が新生銀行(旧日本長期信用銀行)に係る訴訟等を知った時期やその評価については、お答えする立場にない。

一八について

 証券取引法第百六十六条に規定するいわゆるインサイダー取引規制は、上場会社等の役員などの会社関係者が、当該上場会社等の未公表の重要事実を知りながらその発行する株券等の売買などをすることを禁止しているものである。新生銀行の株券は、本年二月十日から十三日にかけて東京証券取引所への上場に向けて売出しが行われたが、当該売出しの時点では新生銀行は上場会社等ではないことから、当該売出しはインサイダー取引規制の対象とはならない。

一九について

 東京証券取引所からは、新生銀行の株券の上場について必要な審査を行ったが、上場承認日から上場日までの間に、上場の承認の取消しが必要であると判断するに足る事実は確認されなかったと聞いている。

二〇について

 お尋ねの新生銀行に係る損害賠償訴訟がどのようなものとなるかを予見することは困難である。新生銀行の財務状況は、直近の決算において財務の健全性の基準を満たしているが、引き続き、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)その他の関係法令にのっとり、業務の健全かつ適切な運営の確保に努めてまいりたい。



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