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平成十六年四月二十三日受領
答弁第七四号

  内閣衆質一五九第七四号
  平成十六年四月二十三日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員吉井英勝君提出揮発性有機化合物の排出規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出揮発性有機化合物の排出規制に関する質問に対する答弁書



一の1について

 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)第二条第九項に規定する有害大気汚染物質については、平成九年度から平成十一年度まで及び平成十三年度から平成十五年度までにおいて、事業者団体別の自主管理による排出削減の取組が実施されている。当該自主管理の対象物質のうち、今国会に提出している大気汚染防止法の一部を改正する法律案(以下「今回の法案」という。)による改正後の大気汚染防止法第二条第四項に規定する揮発性有機化合物(以下「VOC」という。)に該当すると考えられる十一物質(アクリロニトリル、アセトアルデヒド、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、一・二−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、一・三−ブタジエン、ベンゼン及びホルムアルデヒド)に係る当該自主管理の実施事業者からの排出量は、平成十一年度において合計三万八千二百六十六トンであったものが、平成十四年度に合計一万九千四百六十三トンまで削減されている。

一の2について

 御指摘のとおり、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第八十六号)に基づき排出量等の把握及び届出が義務付けられている第一種指定化学物質について、平成十三年度及び平成十四年度の国による集計結果の公表が行われており、本年三月に公表した平成十四年度の集計結果によれば、VOCを含む第一種指定化学物質全体の届出排出量は、平成十三年度と比べ約七パーセント減少している。
 しかしながら、同法は、VOCの排出量の削減を直接の目的とするものではなく、また、同法の第一種指定化学物質は、必ずしもVOCに一致するものではない。したがって、同法に基づいて把握した第一種指定化学物質の排出量の集計結果から、事業者の取組によってVOCの排出量がどの程度削減されたかをお示しすることは困難である。

一の3について

 環境省の推計によると、自動車からの炭化水素の排出量は、平成二年において五十万六千トンであったものが、平成十二年に三十万トンにまで削減されている。

二の1について

 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成四年法律第七十号)第六条及び第八条に基づき策定された「自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針」(平成十四年四月二日閣議決定)において定められた「対策地域において、(中略)浮遊粒子状物質については平成二十二年度までに自動車排出粒子状物質の総量が相当程度削減されることにより、浮遊粒子状物質に係る大気環境基準(昭和四十八年環境庁告示第二十五号)をおおむね達成する」という目標を達成するために、政府は、自動車排出ガスの規制の強化、大都市地域における特別の排出基準の設定、低公害車の普及促進等の施策を実施してきたところである。
 また、粒子状物質を排出するディーゼル自動車については、一層の規制強化が必要と考えており、ディーゼル自動車の排出ガス対策に関する技術開発の動向を適時かつ的確に評価し、平成十七年からの規制以降においても世界最高水準の対策を実施していく考えである。
 さらに、今回の法案により導入されるVOCの排出抑制制度(以下「今回のVOC排出抑制制度」という。)により、VOCの排出量が平成二十二年度までに平成十二年度と比べて三割程度削減されるよう取組を進める予定であり、これにより浮遊粒子状物質に係る大気環境基準の達成率は一層改善すると考えている。
 政府としては、右基本方針における目標を確実に達成するために、これらの施策を積極的に実施してまいりたいと考えている。

二の2について

 炭化水素、粒子状物質等に係る自動車排出ガスの規制については、ディーゼル自動車に係るものを含め、平成十四年四月十六日付け中央環境審議会答申「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第五次答申)」に基づき、平成十七年から規制を強化することとしており、まずはこの規制を着実に実施していくことにより、炭化水素、粒子状物質等の排出量を削減していくこととしている。
 また、粒子状物質を排出するディーゼル自動車については、右の平成十七年からの規制以降についても、平成十五年七月二十九日付け中央環境審議会答申「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第七次答申)」において、「ディーゼル自動車の新長期規制以降の新たな目標値及びその達成時期については、(中略)可能な限り早期に結論を得るべく技術的な評価を踏まえ検討を進める」こととされ、同年十月より、同審議会大気環境部会において本格的な審議を開始したところである。
 粒径が二・五マイクロメートル以下の浮遊粒子状物質(以下「PM二・五」という。)については、環境省において平成十一年度から微小粒子状物質等の曝露影響調査研究を実施しており、平成十三年度からはその一環として全国的な長期疫学調査を行い、PM二・五の健康への影響等に関する知見の収集及び充実を図っているところである。この調査研究は、平成十八年度を目途に結果を取りまとめる予定である。PM二・五に係る環境基準の設定については、当該結果及び諸外国の知見や規制に関する動向等をも踏まえつつ、その必要性も含め今後検討してまいりたい。

二の3について

 今回のVOC排出抑制制度においては、VOCの排出の規制と事業者が自主的に行うVOCの排出及び飛散の抑制のための取組とを適切に組み合わせることにより、効果的なVOCの排出及び飛散の抑制を図ることとしているが、当該規制の対象となる揮発性有機化合物排出施設の範囲については、今後、事業者の自主的な取組の内容を勘案しながら、それぞれの事業の実態を熟知する者の参画を得た上で、十分な検討を経て定めることとしている。このため、現時点では、揮発性有機化合物排出施設の数をお示しすることは困難である。
 また、揮発性有機化合物排出施設の数が未定であるため、現時点では、今回の法案において規定されているVOCの排出濃度規制により、どの程度排出量を削減できるかをお示しすることは困難である。

二の4及び5について

 平成十六年二月三日付け中央環境審議会「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申)」においては、「平成二十二年度までに、我が国全体の固定発生源から排出されるVOC排出量を平成十二年度に比して三割程度削減することを目標とする」こととし、「将来、仮に、削減目標に照らしてVOCの排出削減が十分でない事態が生じた場合には、取組状況をレヴューし、法規制と自主的取組の組合せの仕方を見直すことで対応すべきである」としている。
 このため、御指摘の「排出総量規制等」及び「建物や車両用の塗料やニスからVOCを削減する制度」を直ちに検討するのではなく、まずは今回のVOC排出抑制制度の実効を上げるように努力してまいりたい。

二の6について

 VOCの排出削減についての自主的な取組を行う事業者等に対する支援については、これらの事業者等が円滑にVOCの排出抑制対策に取り組むことができるよう、今後、必要な施策を検討してまいりたい。



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