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答弁本文情報

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平成十六年七月六日受領
答弁第七七号

  内閣衆質一五九第七七号
  平成十六年七月六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員阿部知子君提出MMRワクチンに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出MMRワクチンに関する質問に対する答弁書



一について

 乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(以下「MMRワクチン」という。)の接種に係る副反応については、平成元年九月頃には新聞等により報道されていたことから、情報収集に努めていたが、正確な情報把握ができず、平成元年十月二十五日に公衆衛生審議会伝染病予防部会予防接種委員会が取りまとめた「MMRワクチン及びおたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎について(意見)」において、正確な無菌性髄膜炎の発生頻度の把握を行うとともに、その結果が判明するまでの間、おたふくかぜの自然流行の状況を勘案しつつ、MMRワクチン接種を慎重に行う必要があるとされたところである。
 厚生省としては、同意見を踏まえ、直ちに「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチンの接種について」(平成元年十月二十五日付け健医感発第九十三号厚生省保健医療局疾病対策課結核・感染症対策室長通知。以下「平成元年十月通知」という。)を発出し、都道府県に対して、MMRワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生状況についての調査結果が判明するまでの間、MMRワクチン接種の実施に慎重を期されたい旨を通知したところである。
 また、御指摘の平成元年五月から七月までの間のMMRワクチンの接種に係る健康被害事例については、症例の詳細及び予防接種との因果関係が不明であったため、平成元年当時において、MMRワクチンの使用の是非等について検討を行う状況にはなかったものと考えている。
 予防接種の継続、中止等の判断については、接種による発病防止の効果と副反応とを総合的に考慮し、最新の医学的知見に基づいて、慎重に行われる必要があるが、MMRワクチンの接種に係る判断については、前述のような経過から、平成元年の早い時点において、麻しん単独ワクチンを使用する方針に転換すべきであるとの判断には至らなかったものと考えている。

二について

 社団法人北里研究所及び武田薬品工業株式会社のMMRワクチンについては、「医薬品の製造等の承認の整理について」(昭和四十六年六月二十九日付け薬発第五百八十八号厚生省薬務局長通知)に基づき承認書が両法人から厚生労働大臣へ返納されている。
 財団法人阪大微生物病研究会(以下「阪大微研」という。)のMMRワクチン及びおたふくかぜワクチンについても、既に製造が中止されていると承知しているが、阪大微研のMMRワクチンについては、現在、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四の規定に基づき、有効性、安全性等について再審査を行っているところであり、阪大微研のMMRワクチン及びおたふくかぜワクチンの承認の取扱いについては、その結果を待って適切に対処してまいりたい。なお、副反応の解明については、再審査の中で評価を行うことと承知している。
 また、ワクチンを含めた医薬品の新たな研究開発については、民間企業が主体となって研究開発を行うとともに、国としても研究開発の環境整備に積極的に取り組んできているところであり、今後とも、国民の保健医療水準の向上が実現できるよう、努めてまいりたい。

三について

 「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(MMRワクチン)の接種に関する調査について」(平成十六年四月二十八日付け健感発第〇四二八〇〇二号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により全国の市区町村に対する調査を行った結果、平成十六年六月二十三日時点で三千百五十一の市区町村から回答があり、平成元年MMRワクチン導入時の広報等が残っていると回答があった三百一の市区町村のうち、百十六の市区町村においてMMRワクチンのみの接種を実施する旨を、百八十五の市区町村において麻しん単独ワクチン及びMMRワクチンの接種を実施する旨を広報していたことが確認された。
 MMRワクチンの導入に際しては、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチンの接種について」(昭和六十三年十二月十九日付け健医感発第九十三号厚生省保健医療局疾病対策課結核・感染症対策室長通知。以下「室長通知」という。)において、MMRワクチンについて「積極的な活用が図られるよう貴管下市町村長の指導に遺憾なきを期されたい。」と示した上で、その接種の実施に当たっての留意事項として、MMRワクチンを希望者には使ってもよいこととする旨周知していたものであり、右に述べた百十六の市区町村においては、MMRワクチンの積極的な活用を図るとの室長通知の趣旨を踏まえ、MMRワクチンのみの接種を実施する旨広報する等の判断を行ったものと考えている。

四について

 平成元年度から平成五年度までの間における市区町村によるMMRワクチンの接種の中止又は再開の状況については、別表のとおりである。
 このような市区町村の対応については、平成元年十月通知により、各地域におけるおたふくかぜの流行状況を勘案し、慎重に判断した上でMMRワクチンの接種を実施するよう指示していたこと、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチンの接種について」(平成元年十二月二十八日付け健医感発第百十二号厚生省保健医療局疾病対策課結核・感染症対策室長通知)等により、麻しんの定期の予防接種時においては原則として麻しんワクチンを使用し、保護者からの申出があった場合にはMMRワクチンの接種の実施体制を確保する旨指示していたこと等により、それぞれの地域の事情に応じた取扱いをしたものと考えており、当時の厚生省の判断が自治体での混乱、混迷の状況を引き起こしたとは考えていない。

五の(ア)及び(イ)について

 MMRワクチンの接種により健康被害を受け、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)に基づく障害児養育年金又は医療費等の支給を受けた者の現状については、平成十六年四月現在において障害児養育年金等を受給中である者は、その障害の状態等に変化があった場合の届出を通じて、これ以外の者は、MMRワクチンの接種による疾病にかかった場合等における医療費等の支給申請を通じて把握することができるため、新たに調査を行う必要はないと考えている。
 なお、現在の医学的知見においては、MMRワクチンの接種と自閉症との間には因果関係は認められないものと考えている。

五の(ウ)及び(エ)について

 御指摘のMMRワクチンについては、薬事法第二十三条の規定に基づく輸入承認に係る審査を行っているところであり、審査内容に係る点については、輸入承認を申請した企業の正当な利益を害するおそれがあるため、答弁を差し控えたいが、有効性、安全性等に係る情報に基づき、適切に審査を行ってまいりたい。

六について

 麻しんの定期予防接種におけるMMRワクチンの使用については、その接種が可能となった昭和六十三年十二月十九日以降、平成五年四月二十七日に使用を見合わせるまでの間、公衆衛生審議会及び中央薬事審議会においてその時点の最新の科学的知見に基づいた客観的かつ専門的な審議が随時行われており、その結果を踏まえ、逐次適切な行政判断をしてきており、この経過について第三者機関により検証を行う必要はないと考えている。


別表


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