答弁本文情報
平成十六年八月十日受領答弁第七号
内閣衆質一六〇第七号
平成十六年八月十日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員岩國哲人君提出道路関係四公団民営化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員岩國哲人君提出道路関係四公団民営化に関する質問に対する答弁書
一の1について
東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社(以下「JR本州三社」という。)の株式の上場に至るまでの問題点について当時の運輸省において検討していた平成二年及び平成三年当時の東京証券取引所の上場審査基準については、上場株式数、株式の分布状況、設立後経過年数、株主資本(純資産)の額、利益の額、利益配当等に係る基準から構成されていると認識していた。
JR本州三社の株式の上場に至るまでの問題点については、平成二年に本格的な検討が始まり、その過程で、当時の運輸省において、東京証券取引所等からも意見聴取を行った。これらの意見を踏まえ、当時の新幹線鉄道に係る鉄道施設の貸付けの制度の下では、JR本州三社の収益を第三者により調整し得ること及び鉄道施設の貸付期間終了後の当該鉄道施設の譲渡条件が不明確で当該鉄道施設を借り受けて新幹線鉄道を営業しているJR本州三社に係る資産と債務を確定できないことといった課題があるため、投資家保護の観点から、これらの課題を解決し、上場のための環境整備を図ることが適当であると判断した。
日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団(以下「道路関係四公団」という。)の民営化については、高速道路の新設、改築等に係る債務の確実な返済が最優先の課題であり、典型的な国民共有の財産である高速道路を民間企業の利潤獲得の手段とすべきではないこと等から、高速道路の料金の設定に当たっては利潤を含めないこととしている。
なお、高速道路株式会社(以下「会社」という。)は、サービスエリア、パーキングエリア等の資産を活用した関連事業から利潤を確保することが可能であるが、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)によって、当該関連事業に係る利潤について各会社間の調整が行われることはない。
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成十六年法律第百号)第十九条においては、機構は、高速道路に係る業務又は本州と四国を連絡する鉄道施設に係る業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならないこととされている。
また、機構の会計基準の在り方については、現在、黒川行治慶應義塾大学教授を委員長とする道路資産評価・会計基準検討会において検討が行われているところである。
証券取引所の上場審査基準においては、株式の上場を行おうとする企業において、自らその事業に係る主要な資産を保有することが義務付けられていないと承知しており、機構の存在が株式の上場の妨げになるとは考えていない。
道路関係四公団の民営化においては、高速道路の料金の設定に当たっては利潤を含めないこととしているが、会社は、サービスエリア、パーキングエリア等の資産を活用した関連事業から利潤を確保することが可能であるところ、二の1についてで述べたとおり、当該関連事業に係る利潤について機構によって各会社間の調整が行われることはなく、また、貸付期間終了後は道路資産を国等に帰属させて高速道路を無料開放することとしており、一の2及び3についてで述べたようなJR本州三社の株式の上場の際の課題は存在しないと考えている。