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平成十六年八月三十一日受領
答弁第四三号

  内閣衆質一六〇第四三号
  平成十六年八月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員前原誠司君提出使用済み核燃料の直接処分コスト試算が隠されていた問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前原誠司君提出使用済み核燃料の直接処分コスト試算が隠されていた問題に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「事務局試算」(以下「本件試算」という。)の作成理由については、これが資料として提出された総合エネルギー調査会原子力部会(以下「部会」という。)の核燃料サイクル及び国際問題ワーキンググループ(以下「ワーキンググループ」という。)の議事概要(以下「本件議事概要」という。)及び配付資料(以下「本件配付資料」という。)以外に、これを確認できる資料等が見当たらないが、本件配布資料においては、「これまで、核燃料サイクルの経済性については、OECD/NEAの試算を引用することが多かったが、本試算の根拠となる単価が我が国国内の個別単価と必ずしも一致しないこと、使用済燃料の英仏への輸送費等が含まれていないことなどから、本試算を直ちにわが国の核燃料サイクルコストに当てはめることは適当ではなく、今回新たに試算を行った」としているところである。

二について

 本件試算は、平成六年当時、資源エネルギー庁原子力産業課において作成されたものであると考えられるが、課内における具体的な作業分担の全容は明らかでなく、お尋ねの担当者全員の名前等についてお答えすることは困難である。また、お尋ねの三名から本年三月十七日以降に聴取したところ、いずれも、平成六年当時、本件試算の作成及び作成に係る議論にかかわった記憶がなく、また、そのような試算が存在したとの認識もないとのことである。

三について

 お尋ねの「二月四日の会合の出席者」については、本件議事概要以外にこれを確認できる資料等が見当たらず、「「他」とは誰か」とのお尋ねにお答えすることは困難である。

四及び五について

 お尋ねの「専門家の委員の方々のご審議」とは、本件試算が提示された平成六年二月四日以降、同年六月十日までの間に開催されたワーキンググループにおける審議を指すものである。
 当該ワーキンググループは、同年二月四日から六月十日までの間、二月四日及び十六日、三月二十八日並びに四月六日に開催されており、これらのワーキンググループにおいては、核燃料サイクル政策について、供給安定性、経済性、環境負荷等総合的な観点から議論が行われ、かかる議論を経て、部会において取りまとめられた中間報告書においては、我が国の場合、「最終処分費の見積りが極めて不透明であることから、両路線の比較を行うこと自体が困難で」あり、また、長期的なエネルギー供給の選択肢の確保並びに放射性廃棄物の適切かつ安全な処理及び処分の観点から、「核燃料リサイクル開発を継続する」としているところである。また、ワーキンググループを構成する委員については、別添のとおりである。

六について

 本件議事概要によれば、本件試算については、ワーキンググループの委員の間で、直接処分の費用は処分場の立地状況やそれに係る許認可等の事情で大きく左右されること、立地事情等日本の特殊性を考えると経済協力開発機構や米国の計算は適用できないことなどについての議論が行われており、それらの議論を経て、「我が国の場合・・・最終処分費の見積りが極めて不透明であることから、両路線の比較を行うこと自体が困難である」との結論に至ったものである。

七について

 お尋ねの「判断」は、ワーキンググループにおける審議を経て、部会においてなされたものである。

八について

 部会及びワーキンググループにおいては、電気事業者の代表者のみならず学識経験者等社会の様々な立場を代表する者を委員として審議が行われていたところであり、平成六年六月十日に取りまとめられた当該部会の中間報告書の内容は、かかる委員の総意を反映したものであると考えている。

九について

 当時の部会及びワーキンググループにおいては、他の多くの審議会と同様に、原則としてすべての配付資料について非公表の取扱いをしていたところであり、特に、本件試算について、御指摘のような「判断」をした上で公表しなかったということではない。

十について

 お尋ねの状況の変化としては、実際に再処理工場を建設した経験等を踏まえ再処理等の費用を具体的に見積もることができるようになったこと、燃焼度の向上等の技術進歩があったことなどが挙げられる。

十一及び十二について

 九についてで述べたとおり、当時の部会及びワーキンググループにおいては、原則として、すべての配布資料について非公表の取扱いをしていたところであるが、八についてで述べたように、ワーキンググループにおいては、本件試算を踏まえ、社会の様々な立場を代表する委員の間で核燃料サイクル政策について審議が行われたところであり、「議論そのものを封じ、もう一方の選択肢だけを押し付けるようなやり方」との御指摘は当たらないと考える。

十三及び十四について

 これまでの核燃料サイクル政策は、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定。以下「現行の長計」という。)における「使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方」とする方針や「エネルギー基本計画」(平成十五年十月七日閣議決定)における「我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方としており、これらのプロセスのひとつひとつに着実に取り組んでいくことが基本となる。」との方針を前提に進めており、現時点で、これら方針に何らかの変更があるわけではない。お尋ねの総合資源エネルギー調査会電気事業分科会(以下「分科会」という。)における審議については、現行の核燃料サイクル政策に係る方針を前提として行っているところであり、「再処理をしない場合のコスト試算」を提示しなかったことについて、特に問題があるとは考えておらず、また、分科会の中間報告である「バックエンド事業に対する制度・措置の在り方について」(以下「中間報告」という。)の取りまとめの作業を凍結する必要はないものと考えている。
 なお、バックエンド事業に関する制度及び措置の在り方については、中間報告の取りまとめ以降も、核燃料サイクル政策に係る今後の政府内の検討作業及び国民的な議論の動向を踏まえ、必要に応じた見直しも含め、議論を進めていく必要があるものと考えている。

十五について

 十三及び十四について述べたとおり、現時点で、現行の長計及び「エネルギー基本計画」の方針に何らかの変更があるわけではない。
 他方、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」については、原子力委員会が、昭和三十一年からこれまでおおむね五年ごとに合計九回策定してきており、平成十二年十一月二十四日の現行の長計の策定から、来年十一月で五年を迎えることとなるため、同委員会が新たな「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」の策定作業に着手したところである。
 電気事業者によるプルサーマルの実施及びウラン試験の実施等日本原燃株式会社の六ヶ所再処理工場の稼働に向けた個別の事業の具体的な進め方については、このような状況も踏まえて、実施者である電気事業者や同社が安全確保を前提に地元の理解を得つつ判断するものであると考える。


別添 核燃料リサイクル及び国際問題ワーキンググループ 委員名簿


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