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平成十六年九月三日受領
答弁第四八号

  内閣衆質一六〇第四八号
  平成十六年九月三日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員佐藤謙一郎君提出瀬戸市紺屋田町・東印所町の珪砂採掘計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤謙一郎君提出瀬戸市紺屋田町・東印所町の珪砂採掘計画に関する質問に対する答弁書



一の1について

 環境基本法(平成五年法律第九十一号)第八条においては、「必要な措置」の具体的な内容として特定の取組が想定されているものではないと考えるが、先の答弁書(平成十六年七月十六日内閣衆質一五九第一九七号。以下「前回答弁書」という。)一の1についてで述べたとおり、事業者は同条の規定に基づき、その事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有しており、事業者が、その事業活動に係る環境の保全について適正に配慮することが望ましいと考えている。

一の2について

 前回答弁書一の2についてで述べたように、鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第八十七条において準用する同法第六十三条第二項の規定に基づき、愛知県珪砂鉱業協同組合(以下「本件事業者」という。)が租鉱権を有する愛知県瀬戸市東印所町及び同市紺屋田町の租鉱区(以下「本件租鉱区」という。)に係る施業案(以下「本件施業案」という。)を中部経済産業局長が認可した際、同市が二千五年日本国際博覧会(以下「愛・地球博」という。)の開催地であるという事情を考慮すべきであったとは考えていないが、中部経済産業局において瀬戸市から聴取したところ、本件租鉱区については、採掘開始後もその周囲を取り囲む形で森林が残ることとなるため、中央自動車道西宮線の多治見インターチェンジから愛・地球博瀬戸会場に向かう来場者が主として通行すると考えられる一般国道二百四十八号及び一般国道四百七十五号並びに御指摘の「品野陶磁器センター」からは、本件租鉱区を見ることはできないとのことである。また、お尋ねの「博覧会の記念事業」とは、アメリゴ・ホフマン氏の指導による欧州式治山事業の施行から百年が経過することを記念し、愛知県と同県瀬戸市が共催する行事等のことを指すものと考えるが、当該行事等は、「ホフマン工事跡」ではなく、瀬戸市南公園において実施されるものと承知している。
 本件租鉱区において実施する鉱業(以下「本件事業」という。)は、中部経済産業局長が一般公益について考慮した上で認可した本件施業案に従って実施されるものであり、「博覧会の理念を貶める」との御指摘は当たらないと考える。
 また、採掘後の伐採跡地の植栽及び緑化によって復元される植生は、現存の森林の植生とは必ずしも同じものではないと考えている。

一の3について

 瀬戸市内においては、従来から、他の珪砂採掘場においても本件事業と同様の散水等による粉じん抑制対策を講じつつ露天掘りによる採掘が行われてきたところであるが、愛知県及び同県瀬戸市が設置した瀬戸市内の一般環境大気測定局(以下「測定局」という。)で一時間ごとに測定された粒径十マイクロメートル以下の浮遊粒子状物質の量の一日当たりの平均値(以下「一日平均値」という。)については、利用できる最新のデータである平成十四年度の測定値によれば、五つの測定局のうち、一つの測定局において「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和四十八年環境庁告示第二十五号)に定める環境基準(以下「環境基準」という。)を超過した値が測定された日が一日あるものの、「大気汚染に係る環境基準について」(昭和四十八年六月十二日付け環大企第百四十三号通知)で示した「長期的評価」の手法を用い、年間を通じて測定された一日平均値のうち上位二パーセントのものを除くなどして年間の測定値全体について評価を行った場合、測定局が設置されているすべての地点において、環境基準を満たしているといえるところであり、従来から実施されている散水等による粉じん抑制対策に特段の問題があるとはいえないと考えている。
 本件事業のように、珪砂の選鉱作業を行わず、火薬による岩盤等の破壊を伴わない採掘方法を用いる場合においては、そもそも浮遊粒子状物質が発生しにくく、また、本件事業においては、採掘開始後も本件租鉱区の周囲を取り囲む形で森林が残ることとなるため、本件事業の実施に際して、散水等による粉じん抑制対策に追加して特段の対策を講じる必要はないと考えている。また、今後仮に瀬戸市において環境基準を上回る浮遊粒子状物質が継続的に観測されるなどの事態が生じた場合には、必要に応じ、その原因の究明等適切な対応をとる必要があると考えている。
 また、愛知県から聴取したところ、本件事業者が採掘後の埋戻しに表廃土や公共工事の残土(以下「表廃土等」という。)を使用する際には、鉱業権者たる同県が、租鉱権設定契約書に基づき本件事業者から提出される「跡地整理計画書」によって、使用予定の表廃土等の出所を確認し、その出所に係る過去の土地利用の状況等を確認した上で当該表廃土等の使用の是非を判断するが、その際、当該表廃土等に一定の量を超える有害物質が含まれる疑いがある場合、本件事業者に対して必要な調査や報告を求め、実際にかかる有害物質の含有が確認された場合には、当該表廃土等を埋戻しに使用することを了解しないとのことである。

一の4について

 お尋ねの「泉町水害発生区域」とは、愛知県瀬戸市泉町において、昭和三十二年八月の豪雨の際に発生した粘土採掘の廃土の捨場の崩壊によって被害を受けた地域を指すものと考えるところ、お尋ねの「同一の丘陵」については、何をもって「同一」というかが必ずしも明らかでないが、当該地域は、本件租鉱区から四百メートル程度離れた場所に位置するものと承知している。
 お尋ねの「住民の声」については承知していないが、本件事業者が行った保安林の指定の解除の申請については、関係する法令等の規定に基づき厳正に審査を行っているところである。

二について

 お尋ねの「近年の選鉱技術の進歩」とは、粗鉱から砂礫等を除去して珪砂のみを取り出す技術の向上により、珪砂の含有率の低い砂礫層から珪砂を効率的に採取できるようになったことを意味している。
 本件事業者が粗鉱を珪砂精製業者以外に販売しないという点については、中部経済産業局による本件施業案の認可に係る審査の際に、同局の担当者が本件事業者に直接確認したところである。
 本件事業者からは、本件租鉱区から採掘されるような、粘土分を含み砂礫等の大きさがそろっていない粗鉱を精製せずコンクリート用の骨材や埋立て用の土砂として使用することは一般的ではなく、粗鉱のまま転売しようとしても買い手がいないと考えられると聞いており、本件事業者から粗鉱を購入した珪砂精製業者が当該粗鉱を粗鉱のまま転売することはないものと考えている。
 また、珪砂については、珪砂が存在する鉱床における二酸化珪素の含有率が七十パーセント未満の場合、鉱業法第三条第一項の珪石には当たらず、鉱業権の設定ができないと解しているところ、「選鉱技術の進歩に伴い採掘地区が無制限に拡大する危険性」はないものと考える。

三について

 鉱業法第一条の「公共の福祉」の内容は、経済的利益の他に、保健衛生に係るものを始めとする様々な利益を含むものと考えている。
 また、中部経済産業局においては、本件施業案の認可について、特に一般公益に係る具体的な検討の経過を取りまとめた資料は作成していないが、本件施業案の内容の審査、鉱区及び周辺の現地調査、申請者からの事情聴取等を実施する際に、本件施業案に従った事業の実施によって保健衛生等の一般公益に反する事態が生じる可能性について確認しつつ、本件施業案の適否について判断したところである。



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