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答弁本文情報

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平成十六年十一月二十六日受領
答弁第三八号

  内閣衆質一六一第三八号
  平成十六年十一月二十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員川内博史君提出著作権法第三十八条第一項及び第四項の解釈等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川内博史君提出著作権法第三十八条第一項及び第四項の解釈等に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの判決は、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号。以下「法」という。)第三十八条第一項の「聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合」の解釈について、「聴衆等から名目のいかんを問わず、当該著作物の提供の対価を受けないことを要すると解すべき」と判示しているものと承知しており、お尋ねのような、「「施設の維持・運営」に充てられる費用などいかなる名目であっても外形的に金銭の授受が存在すればそれは全て条文の「料金」に該当する」との考え方は示されていないものと認識している。
 法第三十八条第一項の「料金」の定義、すなわち、「いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。」によれば、同項の「料金」と同条第四項の「料金」の意義は同じと解される。

二について

 お尋ねは、私立の学校法人が、その設置する学校に在籍する学生に、当該学校の附属図書館の図書を貸し出す行為が、貸与権を侵害するものと解されるのではないかという趣旨と考えるが、法第三十八条第四項に規定する「営利」とは、先の答弁書(平成十六年五月二十五日内閣衆質一五九第九六号)二についてで述べたとおり、業としてその貸与行為自体から直接的に利益を得る場合又はその貸与行為が間接的に何らかの形で貸与を行う者の利益に具体的に寄与するものと認められる場合をいうものと解されるところ、私立の学校法人が設置する学校の附属図書館において、通常の教育活動として、当該学校に在籍する学生に書籍等の貸与を行う行為は、同項に規定する「営利」を目的とするものに該当しないものと解される。
 また、先の答弁書二についてで述べたとおり、私立の学校法人が、その設置する学校に在籍する学生等から徴収する授業料は、当該学校の管理運営等の支出全般に充てられるものとして徴収されることが通例であり、その一部が当該学校の附属図書館の運営費に充てられるとしても、そのことをもって直ちに当該授業料が書籍等の貸与に対する対価という性格を有するものではなく、同項に規定する「料金」に該当しないものと解される。
 したがって、御指摘は当たらないものと考える。

三について

 一について及び二についてで述べたとおり、私立の学校法人が、その設置する学校に在籍する学生に、当該学校の附属図書館の図書を貸し出す行為については、法第三十八条第四項の適用があるものと解され、何らかの措置が必要であるとは考えていない。

四について

 著作者等で構成する貸与権連絡協議会といわゆるレンタルコミック店が加盟する日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合との間においては、著作権法の一部を改正する法律(平成十六年法律第九十二号。以下「改正法」という。)施行後のコミック等の書籍の貸与に係る許諾の方法や貸与使用料などの許諾条件について、改正法公布日以降今日まで十一回の協議が行われてきたところであるが、当該許諾条件について両者の隔たりが大きく、平成十六年十月七日を最後に協議の再開のめどが立っていないものと承知している。
 文化庁としては、改正法施行後において書籍の円滑な貸与がなされることは重要なことと考えており、協議の再開を促しているところである。
 なお、書籍に係る貸与権を集中管理するため、有限責任中間法人出版物貸与権管理センター(以下「貸与権管理センター」という。)が既に設立されているところである。貸与権管理センターは、著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第二項に定める著作権等管理事業を行うため、同法第三条に基づく文化庁長官の登録を受けるための準備を行っているものと承知しており、文化庁としては、同法に定められた手続に基づき、適切に対処してまいりたい。



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