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平成十六年十二月十日受領
答弁第五八号

  内閣衆質一六一第五八号
  平成十六年十二月十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員塩川鉄也君提出八ツ場ダム建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員塩川鉄也君提出八ツ場ダム建設に関する質問に対する答弁書



一について

 利根川水系に係る河川法(昭和三十九年法律第百六十七号。以下「法」という。)第十六条第一項に規定する河川整備基本方針(以下「河川整備基本方針」という。)及び法第十六条の二第一項に規定する河川整備計画(以下「河川整備計画」という。)については、これまで、その策定に必要な調査、調査結果の分析等を行ってきたところであり、今後とも、河川法施行令(昭和四十年政令第十四号)第十条に規定する準則にのっとって、引き続き、その策定に向けて取り組んでまいりたい。
 また、河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号。以下「平成九年改正法」という。)附則第二条の規定により、平成九年改正法の施行の際現に平成九年改正法による改正前の法第十六条第一項の規定に基づいて定められている利根川水系工事実施基本計画は、平成九年改正法による改正後の法第十六条第一項の規定に基づき利根川水系について定められた河川整備基本方針及び平成九年改正法による改正後の法第十六条の二第一項の規定に基づき利根川水系に係る河川の区間について定められた河川整備計画とみなすこととされており、八ツ場ダムは、利根川水系工事実施基本計画において利根川の洪水調節等のために必要な施設であると位置付けられている。

二について

 八ツ場ダムの建設に要する費用(以下「事業費」という。)については、昭和六十一年七月十日に作成した「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」(建設省告示第千二百八十四号。以下「基本計画」という。)において約二千百十億円としていたところであるが、平成十六年九月二十八日に基本計画の変更を行い、約四千六百億円としたところである。
 今回の事業費の変更は、水没関係者の生活再建対策の見直し、物価の上昇、消費税の導入、設計・施工計画の精査等に伴うものであり、現時点において見込まれる費用を詳細に検討して行ったものであるが、その際には、約五百六十億円のコスト縮減を実施したところである。今後とも、八ツ場ダムの事業執行に当たっては、ダム技術の専門家からなる委員会による技術的検討、民間の技術力を積極的に活用する入札契約方式の導入等により、一層のコスト縮減に努めていくこととしている。
 また、事務費については、過去の実績に今後の業務効率化を加味した費用を計上しているものである。
 さらに、今回の事業費の変更に伴う水道又は工業用水道の料金やこれらの事業の費用対効果への影響については、各利水者において許容できるものと判断し、基本計画の変更に際して異議がない旨回答したものと承知している。

三について

 会計検査院において会計検査をどのように行うかについては、会計検査院において判断される事項である。会計検査院は、予算の執行状況について従来から適時適切に検査を行い、その結果については決算検査報告等で公表されていると承知している。

四について

 長野原町立第一小学校の設置場所については、設置者たる長野原町が住民の意向も踏まえて最終的に判断したものと承知している。御指摘の「地代が支払われていない」土地は、学校用地ではなく、起工承諾を得てのり面工事等を実施した箇所のことを指すものと思われるが、現在、当該土地については地権者と用地交渉を進めているところであり、土地売買契約の締結後、補償金を支払うことになる。
 八ツ場ダムの建設に伴う民家、旅館等の代替地については、当該代替地の上部の全渓流を対象として地質等の調査を行った上で、当該渓流の土砂流出を抑制して安全確保が図られるよう、必要に応じて堰堤や堰堤下流部の流路工を整備することとしている。また、地滑りに関する対策としては、平成八年度から、地質や地滑りの専門家からなる「八ツ場ダム貯水池周辺地盤安定検討委員会」を設けて、当該代替地を含む八ツ場ダム貯水池(以下「貯水池」という。)周辺の地滑りや地質についての調査検討を実施した結果、当該代替地のうち三か所について地滑り対策が必要と判断され、今後対策を実施することとしている。
 代替地の地滑り対策等の安全対策の費用は、一ヘクタール当たりおおむね一億八千万円である。

五について

 川原湯温泉の源泉は二か所あり、近年におけるこれら二か所の源泉の流量の合計は、毎分おおむね二百八十リットルであると承知している。八ツ場ダムの完成後において、これら二か所の源泉のうち一か所は水没しないため継続して利用することが可能であり、他の一か所については、水没することとなるが、引き続き源泉として利用できるよう対策を検討中である。

六について

 八ツ場ダムの建設によりその基礎条件が著しく変化する地域については、水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)に基づき、水源地域として指定されており、当該地域における生活環境、産業基盤等を整備するため、水源地域整備計画が策定され、当該計画に基づく事業が実施されているところである。
 また、関係住民の生活再建については、これまでも地元地方公共団体と協力しつつ生活相談員を配置して対応してきているが、その増員の必要性については、関係機関とも協議の上、判断してまいりたい。
 さらに、税制上の特例措置については、右の水源地域に立地する製造業及び旅館業の用に供する機械、建物等に係る所得税及び法人税の特別償却制度が設けられているところである。

七について

 お尋ねの水力発電は、株式会社東京電力(以下「東電」という。)が、貯水池の上流の吾妻川及び白砂川等から最大毎秒三十・一四八立方メートルの河川水を取水し、それを発電用導水管を通すことによって行っているものであるが、八ツ場ダムによる流水の正常な機能の維持並びに水道用水及び工業用水の開発に必要な水量を確保するため、東電に対して減電補償を行い、これまで水力発電に使用されてきている吾妻川及び白砂川等の河川水の一部を貯水池に流入させることとしている。
 右に述べた水量の確保に関しては、平成四年に建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に対し、諸調査の協力依頼を行い、それ以降、継続的に東電と協議してきているところである。
 お尋ねの東電に対する減電補償の額については、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和四十二年二月二十一日閣議決定)等に基づいて算出するものとされているが、その見込み額については、今後、任意による交渉を経て契約に至らなければならないものであるとともに、個別企業の経営上の問題にかかわるものでもあることから、具体的な数値をお示しすることは差し控えたい。
 また、事業費の内訳として公表している「特殊補償」の額には、東電に対する減電補償の見込み額も含まれている。

八について

 八ツ場ダムについては、昭和四十五年度までの調査結果により、上流側及び下流側の二つのダムサイトの候補地のうち上流側の候補地でのダム建設は技術的な問題があるとしていたところであるが、文化庁と協議した結果、名勝吾妻峡を保全するために、基本計画において、ダムサイトの位置を上流側と決定したものである。
 なお、詳細な地質調査結果に基づいて堤体の建設位置を決定しており、上流側のダムサイトに関する技術的な問題については対応可能であると考えている。



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