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答弁本文情報

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平成十七年三月十五日受領
答弁第二七号

  内閣衆質一六二第二七号
  平成十七年三月十五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員藤田一枝君提出戸籍法施行規則改正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員藤田一枝君提出戸籍法施行規則改正に関する質問に対する答弁書



一について

 戸籍法施行規則の一部を改正する省令(平成十六年法務省令第七十六号。以下「改正省令」という。)は、平成十六年十一月一日付け官報に掲載した。
 また、改正省令の施行に伴い、法務省民事局長通達(平成十六年十一月一日付け民一第三千八号等)を各法務局長及び各地方法務局長あてに発出し、同通達において、各法務局長及び各地方法務局長から戸籍事務管掌者である各市町村長に周知する措置を講ずるよう指示した。
 なお、戸籍における嫡出でない子の父母との続柄欄の記載方法を改めたことについては、報道発表を行い、法務省ホームページにも掲載している。

二について

 改正省令による改正前の出生の届書の様式については、所要の修正をした上、これを使用して差し支えないこととしている(平成十六年十一月一日付け民一第三千九号法務省民事局長通達)。
 所要の修正がされていない従前の様式が一部の市町村において使用された事実は承知しているが、戸籍窓口担当者において、出生した子の続柄を改正省令に従って届出人に記載させるなどして適正に対応しているものと考えている。

三及び四について

 戸籍は、親族的身分関係を正確かつ明確に登録し、公証することを目的とする制度であるところ、民法(明治二十九年法律第八十九号)上、嫡出子と嫡出でない子とで法律的地位に差異がある以上、適正かつ迅速に戸籍事務を処理するためには、出生の届書においては「嫡出子」と「嫡出でない子」を明瞭に区別して記載する必要がある(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四十九条第二項第一号)。
 なお、戸籍は、何人でも謄本等の交付の請求ができ、公開が原則とされている(戸籍法第十条第一項)ことを考慮し、プライバシー保護の観点から父母との続柄欄の記載方法を改める等の措置を講じたが、出生の届書については非公開が原則とされ、利害関係人が、特別の事由がある場合に限り、出生の届書の閲覧又はその記載事項証明書を請求することができることとされている(同法第四十八条第二項)にすぎないことから、出生の届書における「嫡出子」と「嫡出でない子」の別の記載を削除する必要はないものと考えている。

五について

 御指摘の「勧告」は、女子に対する差別の撤廃に関する委員会、人権委員会及び児童の権利に関する委員会の嫡出でない子の扱い等に係る最終見解の中で示された勧告等をいうものと思われるが、これらの最終見解は、いずれも法的拘束力を有するものではない。民法第九百条第四号ただし書は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする旨を規定しているが、この規定は、男女において相続分に差異を設けるものではないことから、男女の平等の理念に反するものではなく、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(昭和六十年条約第七号)に違反するものではないと考えている。また、同号ただし書は、法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重するとともに、嫡出でない子の立場にも配慮して、嫡出でない子に嫡出子の二分の一の法定相続分を認めることにより、法律婚の尊重と嫡出でない子の保護との調整を図ったものであるから、この規定は、不合理な差別には当たるものではなく、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)及び児童の権利に関する条約(平成六年条約第二号)にも違反するものではないと考えている。
 さらに、政府としては、御指摘の附帯決議の趣旨を尊重しなければならないものと考えているが、嫡出でない子と嫡出子の相続分の同等化等の民法の改正については、婚姻制度や家族の在り方にかかわる重要な問題として、国民の間に様々な議論があることから、平成八年二月の法制審議会の答申の内容や世論調査の結果を広く公開するなどして、国民が議論をする上で参考となると思われる情報を提供しつつ、国民各層や国会での議論の動向を注視しているところである。



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