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答弁本文情報

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平成十七年五月十七日受領
答弁第五六号

  内閣衆質一六二第五六号
  平成十七年五月十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出旧日本軍の防空壕の再調査と安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出旧日本軍の防空壕の再調査と安全対策に関する質問に対する答弁書



一の1及び4について

 本年四月九日に発生した鹿児島市における事故は、鹿児島市立武岡中学校の二年生男子生徒四人が地下壕内でのたき火により一酸化炭素中毒にかかり死亡したものであると承知している。今回事故が発生した地下壕(以下「本件地下壕」という。)については、部外者の立入りが可能であったこと等を踏まえ、国土交通省及び農林水産省は共同で、同月十四日に都道府県及び指定都市に対し、平成十三年度特殊地下壕実態調査(以下「平成十三年度調査」という。)において把握している地下壕について、陥没、落盤等の危険性の評価、地下壕への立入り可能性の判定及び安全性確保対策の状況等の調査を依頼するとともに、立入りが可能である地下壕については、入口封鎖等の措置を土地所有者に依頼する等の対応を依頼したところである。

一の2について

 鹿児島市からは、本件地下壕については、戦時中に旧軍が築造したものであると判断していると聞いている。

一の3について

 鹿児島市からは、平成十三年度調査において文献調査、聞き取り調査等を実施したところであるが、築造後長期間経過していることもあり、すべての地下壕の存在の把握は困難であったと聞いている。

二の1及び四の5について

 平成十三年度調査における都道府県別の地下壕の箇所数及びそのうち平成十四年度から平成十六年度までに特殊地下壕対策事業及び特殊地下壕対策災害関連事業(以下「特殊地下壕対策事業等」という。)を実施したものの箇所数は、別表のとおりである。なお、特殊地下壕対策事業等の事業主体である地方公共団体から事業の申請があった箇所については、すべて事業採択している。

二の2について

 現存する地下壕のうち、戦時中に旧軍、軍需工場、地方公共団体又は地方公共団体の指示を受けた町内会が築造した防空壕等(以下「特殊地下壕」という。)であって建築物等に対する危険度が増し放置し難いものについては、その全部又は一部の埋戻し等の対策を講ずることを目的として、特殊地下壕対策事業等を平成十九年度まで実施することとしているところであり、このような対策を含め、住民の安全の確保については、関係機関で連携して対処してまいりたい。

二の3について

 国土交通省及び農林水産省においては、共同で新たな地下壕の実態調査を行うこととしており、平成十三年度調査の時点では把握できていなかった地下壕について、関係機関の協力を得て把握していく予定である。

三の1について

 二の2についてで述べたとおり、特殊地下壕対策事業等の対象となる特殊地下壕とは、戦時中に旧軍、軍需工場、地方公共団体又は地方公共団体の指示を受けた町内会が築造した防空壕等を指す。

三の2から4までについて

 平成十三年度調査においては、地下壕の危険度について、上部の建物等に対する危険度である物的危険度及び壕内の人身に対する危険度である人的危険度の二種類の基準を定めている。
 物的危険度は、「A 現に壕上部において陥没、沈下、ひび割れ、壕内部においては落盤等があり危険である。」、「B 壕の壁面にひび割れ、出水等が見られ、放置すれば将来陥没、落盤等危険になる可能性が高い。」、「C 現在のところ特別な異常は認められないが、同様な地質の壕の状況から将来陥没、落盤等危険になると予想される。」及び「D 異常は認められない。」の四区分で評価している。また、人的危険度は、「A 壕上部の建物等のあるなしにかかわらず物的危険度Aの壕に人が入ることができる。」、「B 壕上部の建物等のあるなしにかかわらず物的危険度Bの壕に人が入ることができる。」、「C 壕内に入ることができるが、ほとんど異常が認められず安全である。」及び「D 入口は完全に封鎖されており、壕内に入れない。」の四区分で評価している。
 平成十三年度調査における「危険又はその可能性がある特殊地下壕」とは、物的危険度がA、B若しくはC又は人的危険度がA若しくはBと判定されたものである。
 また、平成十三年度調査における「危険又はその可能性がある特殊地下壕」は、平成七年度特殊地下壕実態調査における「危険度の高い特殊地下壕」と比較して、物的危険度がCの地下壕についても新たに対象となっている。

三の5について

 地下壕の危険度の基準は、地質、降雨量、都市化の状況等により、地域の実情に応じて柔軟に対応できるよう定められており、「あまりにも厳格すぎて特殊地下壕の現状の危険性を反映したものではない」との御指摘は当たらないと考える。

四の1から3までについて

 特殊地下壕対策事業のうち都市地域に係るものについては国土交通省が、当該事業のうち農業地域に係るもの及び特殊地下壕対策災害関連事業については農林水産省が、それぞれ実施している。
 特殊地下壕対策事業等のうち国庫補助事業に係るものについては、陥没、落盤等により危険度が増し放置し難い特殊地下壕について防災上の見地から対策を講ずる事業であることから、地域の実情を把握している地方公共団体を事業主体としており、補助率は、二分の一である。なお、当該事業に係る地方負担の額の八割に相当する額については、特別交付税措置を講じている。
 特殊地下壕対策事業等は、陥没、落盤等により危険度が増し放置し難い特殊地下壕が対象であり、旧軍が築造した地下壕のほか、軍需工場又は地方公共団体が築造した地下壕については旧軍の命令の有無にかかわらず対象としており、また、町内会が地方公共団体の指示を受けて築造した地下壕についても対象としている。

四の4について

 昭和二十五年度から平成九年度までは、災害復旧事業として地下壕の埋戻し等の対策が行われてきた。平成十年度以降の特殊地下壕対策事業等の予算額は、平成十年度が約九千八百万円、平成十一年度が約二億九百万円、平成十二年度が約一億八百万円、平成十三年度が約一億六千八百万円、平成十四年度が約一億九千七百万円、平成十五年度が約二億七千四百万円、平成十六年度が約二億七千六百万円である。

四の6について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、平成十三年度調査において、「危険又はその可能性がある特殊地下壕」とされた七百七十七か所のうち、「戦時中に旧軍、軍需工場、地方公共団体又は地方公共団体の指示を受けた町内会が築造した防空壕等」である四百四十三か所については、特殊地下壕対策事業等の採択要件を満たしている。


別表 平成13年度調査の結果等


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