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答弁本文情報

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平成十七年六月七日受領
答弁第六七号

  内閣衆質一六二第六七号
  平成十七年六月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員松野信夫君提出諫早湾干拓事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松野信夫君提出諫早湾干拓事業に関する質問に対する答弁書



一について

 国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)と有明海の環境変化の関係を明らかにするため、これまでにも短期開門調査を含む開門総合調査等の様々な調査を行ってきたところであり、さらに平成十六年度からは、有明海の再生のための新たな取組として、有明海の環境変化の仕組みの更なる解明のための調査等を実施してきているところである。これらの調査を通じ、今後とも有明海の漁業環境の変化の原因究明に努めてまいりたい。
 なお、本事業に係る中・長期開門調査については、調査を実施することにより漁業環境に影響を及ぼす可能性がある一方、調査によって得られる成果は必ずしも明らかではないことから、実施しないこととしている。

二について

 一についてで述べたとおり、有明海の漁業環境の変化の原因究明については既に調査を実施してきているところであり、また、本事業については潮受堤防の設置や干陸は既に終了し、内部堤防の設置、農地造成等の工事のみが残されている状況にあることから、本事業に係る残りの工事を進めても、本事業が環境へ及ぼす影響を評価することが困難となるとは考えていない。

三について

 本事業に関する平成十七年五月十六日の福岡高等裁判所の決定では、本事業の工事を続行してはならないとの申立てを却下するとの判断が示されたことから、本事業に係る工事を進めているところである。
 環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)は、事業を実施しようとする者が事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うこと等により環境の保全について適正な配慮がなされることを確保するものであるが、同法施行時に既に着工されていた本事業は、同法の対象とはなっていない。なお、本事業の環境影響評価については、「長崎県環境影響評価事務指導要綱」(昭和五十五年七月一日付け長崎県副知事通知)に基づき、農林水産省九州農政局が必要な調査・評価を実施し、長崎県による関係住民への公告・縦覧、関係住民の意見の聴取等の手続が実施されている。
 環境省は、本事業に関し、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)に基づく調整池の水質保全や鳥類の生息環境の保全等に関する意見など、環境保全の見地から意見を述べてきたところであり、現在進められている有明海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復等による漁業の振興を図るための総合的な調査等を踏まえ、今後とも必要に応じ環境の保全上の観点から助言を行ってまいりたい。

四について

 御指摘の土壌改良剤とは地盤改良材を指すものであると考えるが、本事業では、地盤改良材として、生石灰及びセメント系固化材(セメント系固化材にセメントを混合したものを含む。)を使用している。本事業で使用した地盤改良材の最近十年間の使用量及び地盤改良材に占める生石灰の割合については、これらを集計したデータが存在しないため、お答えすることは困難である。

五について

 本事業で使用したセメントの最近十年間の使用量及びセメントに占める石灰の割合については、これらを集計したデータが存在しないため、お答えすることは困難である。

六及び七について

 石灰が海水に入った場合に当該水域におけるノリの生育にどのような影響が生じるかは明らかでないが、本事業においては、石灰を使用する工事を施工するに当たっては、水中におけるアルカリ性の度合を示す水素イオン濃度の監視に加え、周辺への生石灰の飛散を防止するための施工条件を設定するとともに、必要に応じ、工事に伴う排水を処理する等の対策を講じていることから、本事業における石灰の使用が有明海の水質及びノリ養殖に影響を与えることはないと考えている。
 有明海の海水中から石灰が検出されているとの御指摘については、そのような事実は把握していない。

八から十一までについて

 有明海で発生した粘質状浮遊物については、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所、福岡県水産海洋技術センター、佐賀県有明水産振興センター、長崎県総合水産試験場及び熊本県水産研究センターが調査を行い、平成十五年七月二十二日に、「粘質状浮遊物は、介類や底生生物の生殖活動等に伴って海水中に放出された粘質物が、変質しながら海底上や海水中を浮遊する間に、底泥や動・植物プランクトン等が付着したものと考えられた」という取りまとめを行ったところであるが、粘質物を放出した種や発生原因の特定には至らなかったことから、引き続き調査研究を行っているところである。また、粘質状浮遊物の発生がノリ養殖を始めとする漁業に与える影響については、その程度に応じ必要な情報の収集に努めてまいりたい。
 御指摘の「藍藻類は石灰水によって繁殖が助長される」か、「石灰は水中に懸濁する浮泥やプランクトン等を凝縮する作用が強く、フロック(懸濁物質)の形成が増大し沈殿してヘドロとなり、その粘着物は浮遊粘着物となる」か、「石灰は・・・水質変化をもたらすためノリの細胞分裂に異常を来す」か、「細胞が多層化して細菌の絶好の温床となって発病や蔓延をみたり、ノリ以外にワカメや昆布等にも異常を来して品質が大幅に低下する」かについては、いずれも確認していない。



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