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平成十七年十一月四日受領
答弁第三三号

  内閣衆質一六三第三三号
  平成十七年十一月四日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員阿部知子君提出イラク特措法に基づく陸上自衛隊の活動等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出イラク特措法に基づく陸上自衛隊の活動等に関する質問に対する答弁書



一について

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)に基づきこれまでイラクへ派遣された陸上自衛隊の部隊(以下「イラク復興支援群」という。)の名称、各部隊に配属された隊員が所属する駐屯地並びに各部隊が出国した時期及び空港については、次のとおりである。
 第一次イラク復興支援群にあっては、第二師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、平成十六年二月三日から三月二十一日までの間に新千歳空港から出国し、第二次イラク復興支援群にあっては、第十一師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、同年五月八日から二十二日までの間に新千歳空港から出国し、第三次イラク復興支援群にあっては、第九師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、同年八月八日から二十三日までの間に青森空港から出国し、第四次イラク復興支援群にあっては、第六師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、同年十一月十三日から二十八日までの間に仙台空港から出国し、第五次イラク復興支援群にあっては、第十師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、平成十七年二月五日から二十日までの間に名古屋空港から出国し、第六次イラク復興支援群にあっては、第三師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、同年五月七日から二十二日までの間に関西国際空港から出国し、第七次イラク復興支援群にあっては、第四師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、同年七月三十日から八月十四日までの間に福岡空港から出国し、第八次イラク復興支援群にあっては、第八師団隷下部隊の所在する駐屯地から選ばれた隊員を中心に編成され、その一部が同年十月二十二日及び二十九日に熊本空港から出国し、イラク復興業務支援隊にあっては、八十四か所の駐屯地から選ばれた隊員で編成され、平成十六年一月十七日から平成十七年六月二十五日までの間に断続的に、主に東京国際空港及び新千歳空港から出国している。
 法に基づく対応措置を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模については、法第四条の規定に従って決定した基本計画(以下「基本計画」という。)及び法第八条第二項の規定に従って定めた実施要項において定められているところであるが、各次イラク復興支援群及びイラク復興業務支援隊の人数並びに各部隊に配属された隊員が所属する駐屯地別の人数については、これを明らかにすれば、現在イラクで活動を行っている部隊の詳細な規模が推測され、部隊の安全を害する可能性があることから、お答えを差し控えたい。

二について

 法に基づく陸上自衛隊の活動においては、平成十六年一月から平成十七年十月までの間、新千歳空港等の日本国内の空港とクウェート国内のムバラク空軍基地の間で、仁川国際空港等を経由して、アントノフ一二四型機、ボーイング七四七型機、ボーイング七五七型機及びロッキード・マーティンL−一〇一一型機により、車両百三十四両、武器及び武器関連物資約六十トン、弾薬及び弾薬関連物資約六十トン並びにその他の物資約二千九百トンを輸送している。当該輸送においては、陸上自衛隊の隊員が航空機に搭乗している場合もあるが、当該隊員が武器を携行して搭乗したことはない。当該民間チャーター機を運航する個々の航空会社の名称については、これが公になることにより、当該航空会社の正当な利益等を害するおそれがあり、ひいては自衛隊による当該活動の円滑な遂行を妨げるおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

三について

 イラク復興支援群においては、法に基づく人道復興支援活動としての学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動を実施する際には、現地企業と当該復旧・整備に係る契約を締結し、当該企業により現地住民を雇用して実施される復旧・整備の指導及び監督を行っている。このように、イラク復興支援群と現地住民との間には、公共施設の復旧・整備に関して直接の契約関係がないことから、お尋ねの「雇用の手続きの詳細と被雇用者の賃金」については、お答えする立場にない。
 お尋ねの「補修作業の対象」の意味が必ずしも明らかではないが、イラク復興支援群が公共施設の復旧・整備に係る活動を開始した平成十六年三月二十五日から平成十七年十月三十一日までに、各月の末日に実施していた改修対象施設の種類別の数及びイラク復興支援群と契約を締結した企業が雇用した一日当たりの月別の平均人数については、次のとおりである。
 平成十六年三月、学校一か所、人数についてはデータがないためお答えすることができない。
 同年四月、学校一か所、人数についてはデータがないためお答えすることができない。
 同年五月、学校三か所、道路二か所、約八十人。
 同年六月、学校五か所、道路三か所、その他公共施設二か所、約百八十人。
 同年七月、学校八か所、道路四か所、その他公共施設五か所、約三百九十人。
 同年八月、学校八か所、道路十一か所、その他公共施設六か所、約四百三十人。
 同年九月、学校七か所、道路十か所、その他公共施設八か所、約三百五十人。
 同年十月、学校四か所、道路十二か所、その他公共施設八か所、約二百六十人。
 同年十一月、学校四か所、道路十一か所、その他公共施設八か所、約二百三十人。
 同年十二月、学校三か所、道路八か所、その他公共施設十か所、約二百八十人。
 平成十七年一月、学校六か所、道路五か所、その他公共施設九か所、約三百五十人。
 同年二月、学校七か所、道路四か所、その他公共施設十二か所、約五百八十人。
 同年三月、学校七か所、道路二か所、その他公共施設十三か所、約四百九十人。
 同年四月、学校十一か所、道路三か所、その他公共施設十七か所、約六百八十人。
 同年五月、学校十一か所、道路二か所、その他公共施設十七か所、約六百八十人。
 同年六月、学校十三か所、道路三か所、その他公共施設十八か所、約七百六十人。
 同年七月、学校十五か所、道路四か所、その他公共施設二十一か所、約六百六十人。
 同年八月、学校十三か所、道路四か所、その他公共施設十九か所、約六百五十人。
 同年九月、学校十二か所、道路四か所、その他公共施設十六か所、約四百八十人。
 同年十月、学校十二か所、道路二か所、その他公共施設十九か所、約四百三十人。
 お尋ねの「トラブル」の意味が必ずしも明らかではないが、イラク復興支援群と現地住民との間には、先に述べたとおり、公共施設の復旧・整備に関しては直接の契約関係がないことから、「雇用の際」に生じた争いについては、お答えする立場にない。また、公共施設の復旧・整備に係る活動の実施を著しく阻害するような問題が起こったという報告は、受けていない。

四について

 お尋ねの「各種交流活動」の意味が必ずしも明らかではないが、イラク復興支援群においては、例えば、現地住民と良好な関係を構築するため、我が国の文化を伝達することを主たる目的として、平成十六年五月五日、サマーワ市内においてユーフラテス川にこいのぼりをかける行事を、同年七月二十六日及び八月七日、サマーワ市内の体育館において地元住民に日本文化を紹介するとともにスポーツを行う行事を、同年九月十五日、サマーワ市内の体育館において地元住民に日本文化を紹介する行事を、平成十七年一月七日、三月十二日及び四月二十二日、陸上自衛隊のサマーワ宿営地(以下「宿営地」という。)において地元住民に日本文化を紹介する行事を実施した。

五について

 我が国は、法に基づく人道復興支援活動及び安全確保支援活動を実施するに当たっては、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(以下「英国」という。)やオーストラリア連邦(以下「オーストラリア」という。)を含むイラクで活動する多国籍軍(以下「多国籍軍」という。)の関係国とイラクの現地情勢や多国籍軍の在り方等について緊密に連絡を取り合っている。イラク南東部の多国籍軍の活動を統括する英国は、多国籍軍の活動に関する基本的な考え方として、イラク治安部隊の能力が育成されれば、多国籍軍の活動を終了するが、このような判断に当たっては、現地の状況を踏まえる必要があり、あらかじめ恣意的に日程を設定することができないとしており、現時点で英国及びオーストラリアが具体的な撤退時期を決めているということはないと承知している。
 イラク復興支援の在り方については、各国がそれぞれ主体的に判断すべきものである。我が国は、イラクをテロの温床とせず、平和で民主的な国として復興させることは、中東地域、ひいては国際社会の安定に極めて大きな意味があり、我が国の国益にかなうとの観点から、これまで自衛隊による人道復興支援活動等を実施してきたところである。
 基本計画に基づく自衛隊の部隊等の派遣期間の終了後我が国がいかなる対応をとるかについては、国際協調の中で我が国の果たすべき責任、イラク復興支援の現状、諸外国の支援状況等を見ながら、我が国の国益を十分に勘案して判断すべきものと考えている。

六について

 お尋ねの「非戦闘地域」とは、法第二条第三項で定められている「現に戦闘行為・・・が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域をいうと考えるが、政府としては、これまでにサマーワで発生した事案は、同項にいう「戦闘行為」に該当するとは認識しておらず、種々の情報を総合的に勘案すれば、自衛隊の活動するサマーワ周辺について、現時点で「非戦闘地域」の要件を満たさなくなったとは考えていない。

七について

 お尋ねに係る事案の概要については、次のとおりである。
 平成十六年四月七日、迫撃砲によるものと思われる爆発音を確認し、宿営地北東数百メートルの地点及び約一キロメートルの地点で弾着痕を確認した。
 同月二十九日、迫撃砲によるものと思われる爆発音を確認し、宿営地外において弾着痕を二個確認した。
 同年八月十日、複数回の爆発音を確認し、宿営地外において迫撃砲弾とみられる弾着痕を三個確認した。
 同月二十一日、宿営地外においてロケット弾の不発弾一発を発見した。
 同月二十三日、宿営地外において迫撃砲弾によるものとみられる弾着痕を二個確認した。
 同月二十四日、宿営地外において迫撃砲弾によるものとみられる弾着痕を一個確認した。
 同年十月二十二日、何らかの爆発音及び飛翔音を確認し、宿営地内の空き地においてロケット弾一発を発見した。
 同月三十一日、宿営地の北方向での発射音らしき音、飛翔音及び宿営地内で何かがぶつかったような音を確認した。
 平成十七年一月十一日、宿営地付近で発射音らしき音を一回確認し、宿営地内の空き地でロケット弾の不発弾一発を発見した。
 同年六月二十三日、サマーワ市内の路上において、人道復興支援活動に向かうイラク復興支援群の車列のそばで簡易爆弾が爆発した。
 同年七月四日、飛翔音及び着弾音らしき音を数回確認し、宿営地内の空き地においてロケット弾によるものとみられる弾着痕一個及び宿営地外においてロケット弾によるものとみられる弾着痕らしきもの四個を確認した。
 これらの事案のうち、平成十六年十月三十一日の事案においては、宿営地内の荷物保管用コンテナにロケット弾と思われる砲弾が貫通したと思われる痕跡を確認し、平成十七年六月二十三日の事案においては、イラク復興支援群の車両一両のフロントガラス、側面のドア等が破損したが、この両事案において、イラク復興支援群の隊員に被害はなかった。また、その他の事案においては、イラク復興支援群の隊員及び装備に被害はなかった。

八について

 イラク復興支援群が、クウェートとサマーワの間の往復時に攻撃を受けたことはない。

九について

 イラク復興支援群の隊員の疾病及び負傷として把握しているものの大半は、軽度の下痢、風邪、外傷等であり、これらについては、派遣部隊に所属する医官により、一日平均二十名程度の隊員に対して診察、投薬、消毒等の診療を行っている。そのほか、発熱により一名の隊員を我が国に後送して、診察、検査等の診療を行った。

十の(1)について

 法に基づく対応措置の実施に係る所要経費のうち、現段階で集計が終了している平成十七年七月三十一日現在の実績は、次のとおりである。
 陸上自衛隊に係る所要経費は約四百八十八億円であり、その内訳は(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約三百六億円、(項)武器車両等購入費として約七十八億円、(項)装備品等整備諸費として約百四億円である。
 海上自衛隊に係る所要経費は約五億円であり、その内訳は(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約二億円、(項)武器車両等購入費として約一億円、(項)装備品等整備諸費として約一億円である。
 航空自衛隊に係る所要経費は約八十五億円であり、その内訳は(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約三十億円、(項)武器車両等購入費として約十六億円、(項)装備品等整備諸費として約三十九億円である。

十の(2)について

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号)に基づく対応措置の実施に係る所要経費のうち、現段階で集計が終了している平成十七年九月三十日現在の実績は、次のとおりである。
 海上自衛隊に係る所要経費は約四百三十二億円であり、その内訳は(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約三百三十五億円、(項)武器車両等購入費として約二十三億円、(項)装備品等整備諸費として約七十四億円である。
 航空自衛隊に係る所要経費は約十七億円であり、その内訳は(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約千万円、(項)装備品等整備諸費として約十七億円である。



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