衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十八年三月三十一日受領
答弁第一八〇号

  内閣衆質一六四第一八〇号
  平成十八年三月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出医療費の推計に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出医療費の推計に関する再質問に対する答弁書



一について

 厚生労働省においては、平成十六年五月十四日に厚生労働省が公表した「社会保障の給付と負担の見通し」(以下「社会保障の給付と負担の見通し」という。)における平成十六年度予算編成時点の医療給付費の見通しは、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた「日本の将来推計人口(平成十四年一月推計)」の平成十六年度推計人口を用いて算出したものではなく、平成十六年度予算編成時において政府管掌健康保険制度等の各制度が適用されると見込まれる者の人数を用いて算出していること等から、御指摘の「ずれ」が生じていると考えている。

二について

 平成十七年十月十九日に厚生労働省が公表した医療制度構造改革試案(以下「試案」という。)における平成三十七年度の国民医療費の見通しの算出方法を詳細に述べると、政府管掌健康保険制度等の各制度について、平成十八年度概算要求時点の年齢階級別一人当たり医療費に、高齢者医療費については毎年度三・二パーセントの伸び率を、一般医療費については毎年度二・一パーセントの伸び率を乗じて得た平成三十七年度の年齢階級別の一人当たりの高齢者医療費及び一般医療費に、平成三十七年度に見込まれる高齢者(七十歳以上の者及び六十五歳以上七十歳未満の者で一定の障害状態にあるものをいう。以下同じ。)とそれ以外の者(以下「一般の者」という。)の年齢階級別人数をそれぞれ乗じて算出した平成三十七年度の高齢者医療費及び一般医療費の見通しを各制度を通じて合計し、平成三十七年度の国民医療費を算出している。

三について

 厚生労働省においては、社会保障の給付と負担の見通しにおける平成三十七年度の国民医療費及び医療給付費の見通しは、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた「日本の将来推計人口(平成十四年一月推計)」の平成三十七年度推計人口を用いて算出したものではなく、政府管掌健康保険制度等の各制度が適用される者の平成三十七年度の人数の見込みを用いて算出していることや、平成三十七年度の年齢階級別の一人当たり医療費を用いて算出していること等から、御指摘の「不一致」が生じていると考えている。

四及び五について

 平成十七年八月十日に厚生労働省が公表した「平成十六年度医療費の動向」における一人当たり高齢者医療費については、高齢者に係る医療保険制度における医療費を対象としており、公費負担医療制度における医療費等が含まれていないが、社会保障の給付と負担の見通しにおける一人当たり高齢者医療費と試案における一人当たり高齢者医療費については、公費負担医療制度における医療費等が含まれているため、両者の高齢者医療費が異なっている。
 したがって、厚生労働省としては、「平成十六年度医療費の動向」における一人当たり高齢者医療費と試案における一人当たり高齢者医療費を比較して算出した伸び率を、一人当たり高齢者医療費の伸び率として議論することは適切ではないと考えている。

六について

 社会保障の給付と負担の見通しにおいては、簡潔に記述する観点から、補正を行ったことについては省略して記述したところである。

七について

 二についてでお答えしたとおり、社会保障の給付と負担の見通し及び試案における医療費の見通しは年齢階級別に算出した医療費を用いて算出しているため、将来の高齢化等の人口構成の変化は年齢階級別人口の変化を通じて医療費の見通しの中に反映されている。

八について

 一人当たり一般医療費の伸び率の実績については、平成七年度は二・九パーセント、平成八年度は四・一パーセント、平成九年度はマイナス〇・七パーセント、平成十年度は〇・九パーセント、平成十一年度は一・〇パーセント、平成十二年度は一・六パーセント、平成十三年度は二・一パーセント、平成十四年度はマイナス一・二パーセント及び平成十五年度は〇・四パーセントである。また、一人当たり高齢者医療費の伸び率の実績については、平成七年度は三・八パーセント、平成八年度は三・七パーセント、平成九年度はマイナス〇・二パーセント、平成十年度は〇・六パーセント、平成十一年度は三・四パーセント、平成十二年度はマイナス四・〇パーセント、平成十三年度は一・二パーセント、平成十四年度はマイナス三・五パーセント及び平成十五年度は〇・八パーセントである。なお、平成十六年度の伸び率の実績は確定していないのでお示しできない。
 医療保険制度改正の影響の補正率は、一般医療費については、平成九年度はマイナス三・九パーセント及び平成十年度はマイナス〇・八パーセントであり、高齢者医療費については、平成九年度はマイナス三・五パーセント、平成十年度はマイナス一・八パーセント及び平成十一年度は〇・七パーセントである。医療保険制度改正の影響の補正率については、医療保険制度改正が行われた直後の期間における対前年同月比の実績の伸び率から医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間における対前年同月比の実績の伸び率を控除することにより算定しており、平成十二年度以降の医療保険制度改正の影響の補正率については、平成十二年の介護保険制度創設を含め医療費に大きな影響を与える制度改正が毎年のようにあったことから、お示しすることはできない。
 また、高齢化等の人口構成の影響の補正率については、平成七年度から平成十一年度までの期間について一括して算出し、一般の者については年平均で〇・五パーセントとしたところであり、各年度の補正率は算出していない。
 なお、近年五年の伸び率平均を用いた平成三十七年度の国民医療費及び医療給付費の見通し並びに平成十二年度以降の高齢化等の人口構成の影響の補正率については、右に述べたように、制度改正が毎年のようにあったことから平成十二年度以降の医療保険制度改正の影響等を適切に推計することができないため、お答えすることができない。

九及び十について

 先の答弁書(平成十八年三月十日内閣衆質一六四第一二一号)九及び十についてでお答えした「年齢階級別一人当たり医療費」の年齢階級は、五歳階級別の年齢階級を意味するものではない。平成七年度から平成十一年度の一般医療費についての高齢化の影響等の人口構成の変化の影響の補正率は、基準とする年度を平成六年度とし、旧厚生省が公表した「国民医療費」における零歳から十四歳まで、十五歳から四十四歳まで、四十五歳から六十四歳まで、六十五歳から六十九歳までの年齢階級別一人当たりの一般診療医療費と歯科診療医療費の合計額を基準に算定しており、平成七年度から平成十一年度までの年平均で〇・五パーセントとなっている。

十一及び十二について

 「医療保険制度改正が行われた直後の期間」(以下「直後の期間」という。)及び直後の期間における伸び率の実績並びに「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」(以下「影響のない期間」という。)及びその期間における伸び率の実績は、次のとおりである。
 一般医療費の平成九年度の医療保険制度改正の影響の補正については、直後の期間は平成九年四月から平成十年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率はマイナス一・一パーセントであり、影響のない期間は平成七年四月から平成九年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は二・七パーセントである。
 高齢者医療費の平成九年度の医療保険制度改正の影響の補正については、直後の期間は平成九年四月から平成十年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率はマイナス〇・五パーセントであり、影響のない期間は平成七年四月から平成九年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は三・〇パーセントである。高齢者医療費の平成十一年度の医療保険制度改正の影響の補正については、直後の期間は平成十一年七月から平成十二年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は六・〇パーセントであり、影響のない期間は平成十年九月から平成十一年六月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は四・一パーセントである。
 なお、平成十年度の医療保険制度改正の影響の補正については、平成九年度の医療保険制度改正が翌年度にも影響した結果の補正を行った上で算出したものであり、平成十年度における直後の期間及び影響のない期間は平成九年度と同一である。平成十一年度の医療保険制度改正の影響の補正率については、平成十一年度の高齢者の医療保険制度改正が入院外医療費のみに影響を及ぼすものであったため、入院外医療費についての制度改正の効果を計算し、それを入院外医療費以外の医療費を含めた医療費に換算する補正を行ったものである。医療保険制度改正の影響の補正に際しての伸び率の実績からは診療報酬改定の影響を除いている。
 また、厚生労働省においては、影響のない期間の選定に当たって、直後の期間とできるだけ近い期間を選定している。

十三及び十四について

 十一及び十二についてで述べた影響のない期間は、いずれも医療保険制度改正の前の期間を用いている。厚生労働省においては、高齢者医療費について、医療保険制度改正が相次いで行われたため、医療保険制度改正の影響がある平成九年度、平成十年度及び平成十一年度の後の期間のうち比較的近い時期に適切な影響のない期間が存在しないと考えている。また、一般医療費については、影響のない期間を高齢者医療費に係る期間とほぼ同じ期間とすることが適切であると考えており、医療保険制度改正の影響がある平成九年度及び平成十年度の後の期間のうち比較的近い時期に適切な影響のない期間が存在しないと考えているため、十一及び十二についてでお示しした期間としたところである。

十五について

 平成七年度から平成十一年度までの間における、診療報酬の伸び率は年平均〇・一パーセント、名目経済成長率は年平均〇・四パーセント、一人当たり国内総生産の伸び率は年平均〇・二パーセントである。

十六について

 平成三十七年度の医療給付費の見通しについては、将来にわたって、平成七年度から平成十一年度までの期間と同じ伸び率の診療報酬改定を行うことを想定したものではないが、将来の診療報酬改定の影響を特定することができないため、診療報酬改定の影響の補正を行わなかったものである。

十七について

 平成三十七年度の国民医療費の見通しについては、過去の一定期間の実績から得られた一人当たり医療費の伸び率を基に算出したものであり、将来における診療報酬改定がなかった場合や、一人当たり国内総生産の伸びと同じ率であった場合を仮定して平成三十七年度の国民医療費の見通しを算出することについては適切ではないと考えており、そのような見通しについては、算出していないのでお答えすることはできない。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.