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答弁本文情報

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平成十九年十月二日受領
答弁第四四号

  内閣衆質一六八第四四号
  平成十九年十月二日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 厚生労働省が実施する介護事業経営実態調査は、介護報酬の改定を行うに当たり、介護サービス事業所又は施設(以下「介護サービス事業所等」という。)における介護事業の経営の実態を把握するため、介護サービスの提供に伴う介護サービス事業所等の収入及び支出の状況について調査するものである。
 その調査項目には、各月ごとの変動幅が大きいため、一年間の総額を十二か月で除して算出した額を用いることとしている修繕費等の調査項目と、各月ごとの変動幅が小さいため、必ずしも一年を通じて調査する必要がない給与費等の調査項目の二種類がある。
 後者については、介護サービス事業所等の調査に係る負担をできるだけ軽減する必要があることから、一か月について調査することとしており、その調査対象月については、社会保障審議会介護給付費分科会での議論等介護報酬の改定に要するスケジュールを考慮した上で最新のデータを調査する必要があることから、介護報酬の改定を決定する前年度の三月としている。

三について

 お尋ねについては、関係医療機関への協力要請、看護職員による臨時の夜勤体制の構築、看護職員等による夜間の連絡体制の確保などの対応を採った上で実際に喀痰吸引を行った事例の数を把握していないため、お答えするのは困難であるが、重度化対応加算を取得している施設の割合は平成十八年十一月現在で六十三・八パーセントとなっており、これらの施設においては、看護職員等による夜間の連絡体制の確保等による喀痰吸引への対応が可能な体制にあると考えている。

四について

 本年八月二十日に署名された経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(以下「日インドネシア経済連携協定」という。)に基づく介護福祉士候補者の受入れ人数の上限については、これらの者の円滑かつ適正な受入れを行うことができるかどうか、我が国の労働市場に悪影響を及ぼさないかどうかといった点や、昨年署名した経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(以下「日フィリピン経済連携協定」という。)に基づく介護福祉士候補者の受入れ人数の上限である六百人という数字等を考慮して設定したものである。

五について

 日インドネシア経済連携協定においては、インドネシアにある大学の看護学部を卒業した者又はインドネシアにある大学から修了証書V以上の学位を取得し、一定の研修の修了後、インドネシア政府により必要な技術を有する介護福祉士としての資格を与えられた者であること等の要件を満たすとともに、日本における一時的な滞在の間に介護福祉士としての資格を取得することを目的として、日本語の語学研修を含む六か月間の研修の終了後に介護施設において、介護福祉士の監督の下での研修を通じて必要な知識及び技術を修得する活動等に従事しようとする者であること等の要件を満たす場合には、一年間(三回を限度に一年間ずつ更新することができる。)、インドネシア人の入国及び一時的な滞在が許可されることとなっている。このため、これらの要件を満たすインドネシア人については、六か月以上(六百時間程度)の養成課程と同等の必要な知識及び技能を修得していると考えたものである。

六について

 経済連携協定の下で介護福祉士の受入れに関して協議を行うこととしている国としては、タイ王国がある。同国との経済連携協定においては、同協定の効力発生の後、可能な場合には一年以内に、遅くとも二年以内に結論に達することを目的として、タイの介護福祉士の日本国による受入れの可能性について交渉を開始することとされているが、同協定は現時点で未発効であることから、交渉は開始されていない。
 また、介護福祉士の経済連携協定による受入れについては、今後とも、特例的な受入れとしての位置付けを損なわず、また、我が国の労働市場に悪影響が及ばない範囲内で対応することとしている。

七について

 お尋ねの「国民の理解を得られている」の意味が必ずしも明らかではないが、日フィリピン経済連携協定の締結については、昨年十二月六日に国会において承認されたところである。
 なお、経済連携協定に基づく介護福祉士の資格取得を目的とした外国人の受入れに当たっては、円滑かつ適正な受入れが行われるよう、その趣旨や仕組みについて国民への周知を図ってまいりたい。

八について

 准介護福祉士については、第百六十六回国会に提出した社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)において、介護福祉士となるため介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない旨を規定し、介護福祉士の資格を取得する途中段階の資格としての位置付けを明確にするとともに、介護福祉士養成施設(以下「養成施設」という。)における教育課程についても拡充することとしている。これらの点を踏まえると、改正法案において准介護福祉士の制度を導入することが、介護福祉士の質を低下させることにはならないと考える。

九について

 現在、三年以上の実務経験により介護福祉士の受験資格が付与されるが、実務経験のみでは利用者の状況に応じて必要な介護を考える思考プロセスや利用者等への説明能力等について制度的・理論的面での十分な教育を受ける機会に欠けているとの指摘もあったことから、改正法案による介護福祉士の資格の取得方法の見直しにおいては、介護福祉士の受験資格については三年以上の実務経験に加え、養成施設における介護福祉士として必要な知識及び技能の修得を要することとし、その修得に必要な理論的・体系的な学習を行うためには六か月以上の教育課程が必要であると考えたものである。

十及び十一について

 認知症の者に対する介護の需要の増加など、近年の介護サービスに対する国民のニーズの多様化・高度化に対応し、介護福祉士の資質の向上を図っていくためには、介護福祉士の資格を取得するすべての者が一定水準以上の教育課程により介護福祉士として必要な知識及び技能を修得する必要があると考えており、こうした観点から、介護福祉士試験の受験者が履修すべき教育課程の内容の拡充・平準化を図った上で、当該教育課程において必要な知識及び技能を修得したかどうかを試験を通じて確認する仕組みとすることとしたものである。
 また、厚生労働省としては、これらの取組により介護福祉士の質の向上を図るとともに、本年八月に告示した「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(平成十九年厚生労働省告示第二百八十九号)に基づき、介護福祉士の人材確保のための取組についても推進していくこととしている。

十二について

 厚生労働省としては、平成十七年五月十八日の答弁書(内閣衆質第一六二第六二号)十についてでお示しした、身体拘束を行わずに介護することを可能とする対応策や工夫についての一般的な事例から、三対一の人員配置の場合にも身体拘束を行わずに介護を行うことが可能であると考えたものであるが、認知症介護研究・研修仙台センターが平成十七年二月に実施した調査の結果からは、それが可能であることの説明及び具体例の提示ができなかったところであり、改めて、それを可能とする方策についての調査研究を行うこととしているところである。

十三について

 認知症対応型グループホームは、地域密着型サービスの一つとして市町村長が指定の権限を有しており、その指定拒否数についても、各市町村がその区域内における事業者の参入意向を示すものとして介護保険事業計画の作成の際に利用すればよいものであることから、厚生労働省としては把握していない。
 また、参酌標準は、市町村が介護保険事業計画において介護サービスの種類ごとの利用量の見込みを定める際に参酌すべきものとして、国が定めているものであり、これを定めるに際しては、介護サービスの利用量に直接関係する要介護者の状況や介護サービスの利用状況、高齢者数の推移等を把握すれば足りるものである。



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