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答弁本文情報

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平成十九年十月三十日受領
答弁第一三八号

  内閣衆質一六八第一三八号
  平成十九年十月三十日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出富山県における冤罪判決に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木宗男君提出富山県における冤罪判決に関する再質問に対する答弁書



一について

 先の答弁書(平成十九年十月十九日内閣衆質一六八第一一一号。以下「前回答弁書」という。)一についてで述べたとおり、個別具体的な事件の捜査を担当する検察官の官職氏名については、今後の捜査活動に支障をもたらすおそれがあり、答弁を差し控えたい。

二について

 「冤罪」については、法令上の用語ではなく、様々な意味で用いられることがあるものと承知しており、御指摘の長勢前法務大臣の答弁は、「冤罪」の意義の一例について述べたものと考えている。

三及び四について

 御指摘の「富山事件」において被告人とされた方の取調べを担当した検察官は、平成十四年四月十六日に送致を受けた強姦未遂等の事件(以下「未遂事件」という。)について、弁解録取の手続を行った後、未遂事件について少なくとも二回の取調べを行い、その後、同年五月七日に送致を受けた別の事件である強姦等の事件(以下「既遂事件」という。)について、弁解録取の手続を行った後、既遂事件について少なくとも一回の取調べを行い、同月二十四日に既遂事件につき起訴した後、未遂事件について少なくとも一回の取調べを行い、同年六月十三日、未遂事件につき起訴したものと承知している。この間の検察官による取調べの合計時間は、正確には把握できないが、おおむね合計約十時間前後であり、取調べを担当した検察官は一名であるところ、当該検察官が御指摘のような発言をした事実は認められていないものと承知している。
 また、最高検察庁が調査・検討したところによれば、被告人とされた方が「積極的に犯行状況について供述するのではなく、検察官が」同氏を「誘導することにより供述を得ていたことが窺われる」とされているものと承知している。

五について

 前回答弁書六及び七についてで述べたとおり、「富山事件」において被告人とされた方の取調べを担当した検察官については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項に規定する懲戒処分に該当する事由はなかったと認められる。

六について

 最高検察庁は、御指摘の「富山事件」の捜査・公判活動について調査・検討を行い、平成十九年八月十日に報告書を公表したものと承知している。

七及び八について

 最高検察庁としては、平成十九年八月十日に公表した報告書において、いわゆる消極証拠を含め収集した証拠を慎重に吟味すること、警察から送致を受けた事件についても検察官が早い段階から積極的に捜査に関与するなどして適切に警察と連携を図ること、事件を担当する検察官を指揮監督する立場にある検察官において適切な指揮・指導に努めること、適切な捜査態勢を確立すること等に十分留意すべきであるとし、今後も、適正な捜査・公判の実現に向けての協議・研修を実施することとしているものと承知している。
 また、長勢前法務大臣は、平成十九年二月十四日、検察長官会同において、適正な捜査の徹底に努めるよう訓示を行い、さらに、同年四月五日、検事長会同において、検察として今回の一連の事態を重く受け止め、十分検討した上で、国民に信頼される検察として責任を果たしていくべく格段の努力をするよう訓示を行った。
 御指摘の「富山事件」に関わった検察官及びその監督者については、前回答弁書六及び七についてで述べたとおり、処分する必要はないものと考えている。
 現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、被疑者と取調官との信頼関係を築くことが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因となり、その結果、真相を十分解明し得なくなるおそれがあるほか、取調べ中における組織犯罪に関する情報収集や関係者の名誉・プライバシーの保護に支障を生ずるおそれがあるなどの問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。



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