答弁本文情報
平成二十年二月二十九日受領答弁第一〇六号
内閣衆質一六九第一〇六号
平成二十年二月二十九日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出国連の先住民族権利宣言を受けての我が国政府の取り組みに関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出国連の先住民族権利宣言を受けての我が国政府の取り組みに関する第三回質問に対する答弁書
一について
先の答弁書(平成二十年二月十九日内閣衆質一六九第六三号)四についてで述べたように、「先住民族」の定義については、長年にわたる国際連合(以下「国連」という。)での議論が収れんしておらず、政府としては、将来「先住民族」の定義について国際的な議論がなされる機会があれば、議論に参加していきたいと考えているが、現在のところそのような機会が生じるかどうかは予断できない。
国連において「先住民族」の確立した定義はないことからも、御指摘の記念スピーチや研修用視聴覚資料等で用いられた「先住民族」の意味について、政府として論評することは困難である。
国連の国際人権条約に関連する委員会が我が国の政府報告に対して提示した最終見解において、アイヌの人々への言及があることは承知している。個人資格の専門家から構成されるこうした委員会の見解はいずれも法的拘束力を有するものではないが、その内容等を十分に検討した上で、政府として適切に対処していきたいと考えている。
外務省は、御指摘の委員会から最終見解が出された後に、関係省庁に最終見解を周知した。
御指摘のオーストラリア政府のアボリジニに対する謝罪については、オーストラリアの内政に関する事項であり、政府としての評価は差し控えたい。
御指摘については、在オーストラリア日本国大使館より外務本省に対し報告され、政府部内で情報を共有した。
「先住民族」については、現在のところ、国際的に確立した定義がなく、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(以下「宣言」という。)においても、「先住民族」の定義についての記述はないことから、宣言において述べられた権利をアイヌの人々に適用すべきかについて、お答えすることは困難である。
政府としては、北海道が実施している「アイヌの人たちの生活向上に関する推進方策」に協力しており、また、平成七年三月に内閣官房長官の下に設置された「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」において具体的施策の在り方等について総合的な検討が行われ、平成八年四月に報告書が提出され、この報告書の提言を受け、内閣が提出し、成立したアイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成九年法律第五十二号)に基づき、国土交通省及び文部科学省においてアイヌ文化振興等に関する施策を推進しているところであり、このような施策への協力又は施策の推進を着実に実施していくことが肝要と考えている。