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平成二十年六月二十四日受領
答弁第五五六号

  内閣衆質一六九第五五六号
  平成二十年六月二十四日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員前原誠司君提出航空を取り巻く諸課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前原誠司君提出航空を取り巻く諸課題に関する質問に対する答弁書



一について

 我が国においては、各国からの乗り入れ要望が最も強い首都圏空港(成田国際空港(以下「成田空港」という。)及び東京国際空港(以下「羽田空港」という。)をいう。以下同じ。)について物理的な容量の制約があることから自由な増便が可能とならないため、相手国に対して国際線の自由な乗り入れを認めることは困難である。このため、空港の容量に制約のある我が国の首都圏空港の関連路線を除き、お互いに、路線及び便数の制約をなくす航空自由化を推進することとしている。

二について

 首都圏空港の容量については、羽田空港の再拡張事業及び成田空港の平行滑走路の北伸整備を行っても、おおむね十年後には再び満杯になると予想されるため、政府としては、管制、機材、環境、施設等のあらゆる側面において可能な限り空港の容量を拡大するための施策を検討することとしている。なお、その際には、空港の容量の拡大に伴う騒音問題等の社会的コストの負担の在り方についても留意が必要である。また、東京都心の上空を恒常的に通過して離着陸するような抜本的な飛行ルートの変更については、騒音に係る周辺自治体との既存の合意の見直しの可能性を考慮すれば、困難であると考えている。

三について

 成田空港においては、過去の日米航空関係の経緯から、少しずつ改善してきてはいるものの、依然として米国航空企業が大きな発着枠(二十五パーセント)を既得権として占有している一方で、本邦航空企業の発着枠は四十二パーセントに留まっている。こうしたことも踏まえ、平成二十二年に成田空港の国際線について約二万回の増枠を行うに当たっては、成田空港の全体の発着枠に占める本邦航空企業の発着枠の比率が増加するように対応していきたいと考えている。

四について

 成田空港の周辺市町は、成田国際空港株式会社(以下「成田会社」という。)に対し、空港の容量拡大の可能性についての説明を求め、成田会社より、環境面、施設面及び運用面の制約が解消されれば、最大年間三十万回まで成田空港の容量拡大の可能性がある旨の説明を受け、現在、それも踏まえ、成田空港を核とする都市づくりの検討を行っているものと承知している。
 政府としては、成田空港が周辺地域の騒音対策が不可欠である大規模な内陸空港であることや、これまでの空港建設の経緯にも配慮しつつ、地元のこうした動きを見ながら、適切に対処してまいりたい。

五について

 成田空港においては、平成二十二年にB滑走路が現在の二千百八十メートルから二千五百メートルに延長されるが、周辺地域における騒音問題への配慮から滑走路ごとに発着回数の上限が設定されていること、B滑走路を利用する航空機の就航距離や就航機材の制約は現在よりは緩和されることとなるものの引き続き残ること等から、直ちに滑走路別の発着枠の配分を廃止することは困難であると考えている。

六について

 平成二十二年の羽田空港の第四滑走路の供用開始以降の増枠は、管制官及びパイロット双方の慣熟により安全を確保しつつ段階的に実施する必要がある中で、供用開始当初の増枠分をできる限り国際線に振り向けて約三万回を就航させることとしており、供用開始当初における国内線の増枠は必要最小限となっていることから、平成二十二年の供用開始当初に、これ以上昼間時間帯(六時から二十三時までの時間帯をいう。以下同じ。)の国際線の発着回数を増加させることは困難である。
 しかしながら、平成二十二年の供用開始以降については、羽田空港の昼間時間帯は、国内線需要に適切に対応しつつ、国内、国際双方の需要の伸びを勘案して、都心に近いという羽田空港の利便性を活かせる路線を中心として国際線の増加を推進していくこととしている。

七について

 平成二十二年の羽田空港の第四滑走路の供用開始当初の昼間時間帯の国際線の発着回数は年間約三万回、一日約四十便であり、仮に現在の羽田=ソウル金浦チャーター便(一日八便)、羽田=上海虹橋チャーター便(一日四便)と同様に一都市に一日四便ないし八便ずつ就航するとすれば就航できる都市数は数都市程度となる。このように就航できる都市数が限られる中、各国との航空交渉を円滑に進めるためには合理的な基準が必要であるため、政府としては、都心に近いという羽田空港の利便性を活かす観点から、近距離のアジア・ビジネス路線を就航させるとの考え方を示しているものである。

八について

 成田空港と羽田空港を一体的に活用することにより国際航空機能を最大化する観点から、平成二十二年に、昼間時間帯は、成田空港と世界各地との豊富な国際線ネットワークを更に強化するとともに、羽田空港からも近距離のアジア・ビジネス路線を香港まで就航できるようにし、また、騒音問題により成田空港が閉鎖されている二十三時から六時までの深夜早朝時間帯に加え、他の時間帯と比較して相対的に発着枠に余裕がある六時台及び二十二時台についても、成田空港と羽田空港の国際線機能が途切れないようにするために、羽田空港への国際線の就航を可能とすることにより、これらの時間帯に羽田空港から欧米や東南アジアを含めた世界の主要都市に国際線の就航を可能とし、首都圏空港の二十四時間化を実現することとしている。

九について

 羽田空港の再拡張事業による発着回数の増加については、国内航空需要に適切に対応して羽田空港と地方を結ぶ国内線ネットワークを充実するとともに、成田空港と羽田空港を一体的に運用して首都圏空港の国際航空機能を最大化することにより、両方があいまって地域の活性化に結びつくものと期待している。

十について

 我が国では、空港整備が概成しつつある一方で、引き続き航空需要の着実な増大が見込まれるため、今後は、既存の空港を十分に活用するとともに、多様化・高度化する空港利用者のニーズに的確に対応し、空港のより適確な運営を図っていく必要がある。このため、個別の空港の収支を明らかにし、その運営状況を分かりやすく把握できるようにすることが重要になっていると考えている。今後は、空港の運営のために用いられる経費と、航空交通管制のために用いられる経費に共通する部分の取扱い等技術的な課題を整理し、個別の空港の収支を公表できるよう努めてまいりたい。

十一の@について

 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第百七条の三第一項の規定に基づき、混雑空港の発着枠の使用については国土交通大臣の許可に係らしめているところであるが、当該許可に当たっては、公平かつ合理的な判断を担保する観点から、航空法第百三十六条の規定に基づき、両議院の同意を得て国土交通大臣が任命する学識経験を有する者等の委員からなる合議制の機関である運輸審議会に諮っているところである。
 また、御指摘の「第三者委員会」については、運輸審議会に諮問するに当たり、行政のみによる判断によることとせず、幅広い見地に基づく意見を踏まえつつ発着枠の配分を行うことが望ましいとの趣旨から、学識経験を有する者等の委員からなる第三者委員会による検討を行っているものである。なお、この第三者委員会における議論及び資料については、客観性及び透明性を確保する観点から、原則として公開しているところであり、委員の選定についても、専門分野等を勘案しつつ行っているところである。
 今後とも、混雑空港の発着枠については、客観性及び透明性のある方法により、これを適正に配分し、その有効な利用を確保するとともに、利用者の利便の一層の向上を図ってまいりたい。

十一のAについて

 路線の廃止に係る運航計画の変更については利用者の利便に多大な影響を与えることから、航空法第百七条の二第三項において届出期間を法定し、利用者の利便の確保のための措置を講じるために必要な期間を確保することとしている。
 このような制度の趣旨にかんがみ、政府としては、航空運送事業者が路線を廃止する場合には関係自治体等との間で十分な協議を行うことが必要であると考えている。
 御指摘の文書が何を指すのか必ずしも明らかではないが、仮に「航空法第百七条の二第三項の規定に基づく届出について」(平成十九年九月二十八日付け国空事第四百三十五号)を指すのであれば、これは航空運送事業者から路線の廃止に係る運航計画の変更について届出がなされた際に、当該航空運送事業者と関係自治体との間の協議が整っていなかったことから、航空路線の廃止が当該航空運送事業者の経営判断に基づいて行われるものであることを前提とした上で、引き続き協議の継続を求めたものである。

十一のBについて

 国際線の発着枠の配分に際しては、例えば、平成二十二年における成田空港の国際線の増枠の配分に当たり、滑走路の延伸を踏まえた長距離路線の充実、需要の伸びの著しいアジア諸国との国際ネットワークの拡充、高需要路線については毎日運航できるようにすること等の観点を考慮することとしているなど、利用者の利便性の向上や競争促進の観点も考慮に入れていくこととしている。

十一のCについて

 首都圏空港においては、成田空港が国際拠点空港、羽田空港が国内拠点空港としての役割を果たしているところであるが、羽田空港が成田空港の国際航空機能を補完することにより、首都圏空港を一体として、国際、国内の航空需要に適切に対応していくことが重要であると考えている。
 このような観点から、成田空港においては、平成二十二年の約二万回の増枠を国際線に充当し、世界各地との豊富な国際線ネットワークを更に強化するとともに、平成二十二年以降は、成田新高速鉄道等の空港アクセスの進展を踏まえて、国内線も充実していくこととしている。
 羽田空港においては、平成二十二年に、昼間時間帯は、近距離のアジア・ビジネス路線を香港まで就航できるようにし、また、騒音問題により成田空港が閉鎖されている二十三時から六時までの深夜早朝時間帯に加え、他の時間帯と比較して相対的に発着枠に余裕がある六時台及び二十二時台についても、成田空港と羽田空港の国際線機能が途切れないようにするために羽田空港への国際線の就航を可能とすることにより、これらの時間帯に羽田空港から欧米や東南アジアを含めた世界の主要都市に国際線の就航を可能とし、首都圏空港の二十四時間化を実現することとしている。
 このように、首都圏空港においては、成田空港と羽田空港を一体的に活用することにより、国際航空機能の最大化を図るとともに、国際、国内の航空需要に適切に対応していくこととしている。

十二について

 成田会社は、平成十六年四月に旧新東京国際空港公団を民営化して設立された特殊会社であり、民間の経営手法を導入し、健全な経営体制の構築と経営の効率化に努めているものと承知している。
 成田会社の役員の選任に関しては、代表権を有する社長等について閣議口頭了解を要する等の手続があるものの、基本的には、株式会社として、成田会社自らが、能力、経験等を評価して、適材適所の人員配置を行っているものであり、また、施設保全、警備、消防等の多岐に及ぶ空港運営事業の特性を踏まえ、関連子会社も活用しつつ、適正かつ効率的な経営に努めているものと承知している。
 いずれにしても、政府としては、我が国を代表する国際拠点空港である成田空港の独占的かつ代替不可能な事業特性に留意しつつ、成田会社の健全かつ効率的な経営の確保に努めてまいりたい。



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