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平成二十年十二月九日受領
答弁第二九〇号

  内閣衆質一七〇第二九〇号
  平成二十年十二月九日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員吉井英勝君提出宇宙の軍事利用目的に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出宇宙の軍事利用目的に関する質問に対する答弁書



(一)について

 御指摘の昭和四十四年五月九日の国会決議(以下「昭和四十四年国会決議」という。)によって我が国の宇宙の開発及び利用(以下「宇宙開発利用」という。)が立ち遅れたか否かを一概にお答えすることは困難である。

(二)及び(四)について

 昭和四十四年国会決議及びその解釈については、国会において御議論いただくべきものと考えており、お尋ねについて、お答えすることは困難である。
 なお、宇宙基本法(平成二十年法律第四十三号)第二条の規定により、我が国の宇宙開発利用は、宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われることとされ、同法第十四条の規定により、国は、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進するため、必要な施策を講ずることとされているところ、同法の国会審議においては、同法の提案者から、専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、昭和四十四年国会決議の文言及び趣旨に反するものではない旨の説明がなされているものと承知している。

(三)について

 防衛分野における宇宙開発利用については、宇宙基本法第二十四条の規定により、宇宙開発戦略本部が作成することとされている宇宙開発利用に関する基本的な計画(以下「宇宙基本計画」という。)においてその方針を定めることとしており、現在、政府において、所要の検討を行っているところであるため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、防衛省・自衛隊が宇宙開発利用を行う場合にも、宇宙基本法第四条の規定により、我が国の宇宙開発利用は、我が国の宇宙産業その他の産業の技術力及び国際競争力の強化をもたらし、もって我が国産業の振興に資するよう行われなければならないこととされているものと承知している。

(五)から(八)までについて

 防衛省・自衛隊の情報収集に関する具体的な内容については、今後の情報収集活動に支障を生じるおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
 また、宇宙基本法第二条の規定により、我が国の宇宙開発利用は、宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われることとされており、個別具体的な衛星の保有等については、これらの規定の趣旨を踏まえつつ、その都度、検討が行われるべきものと考えている。
 なお、御指摘の「ASAT(対衛星兵器)」及び「キラー衛星」については、いずれも確立した定義があるとは承知していない。

(九)について

 防衛省の宇宙開発利用推進委員会(以下「委員会」という。)は、宇宙基本法の成立を踏まえ、防衛省として我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進するために設置されたものであり、委員長である防衛副大臣、委員長代理である防衛大臣政務官、副委員長である事務次官並びに委員である大臣官房長、防衛政策局長、運用企画局長、経理装備局長、法制・IT等担当防衛参事官、総合取得改革担当防衛参事官、技術監、統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長、情報本部長及び技術研究本部長により構成される。
 委員会の下には、宇宙開発利用の基本方針の策定に資する検討を行うために、基本方針作業チームが置かれ、同チームは、作業チーム長である防衛政策局次長、作業チーム長代理である防衛政策局防衛政策課長並びに作業チーム員である防衛政策局防衛計画課長、防衛政策局調査課長、運用企画局情報通信・研究課長、経理装備局技術計画官、防衛政策局防衛政策課宇宙・海洋政策室長、統合幕僚監部防衛計画部防衛課長、統合幕僚監部防衛計画部計画課長、陸上幕僚監部防衛部防衛課長、海上幕僚監部防衛部防衛課長、航空幕僚監部防衛部防衛課長、情報本部計画部長及び技術研究本部技術企画部企画課長により構成される。

(十)について

 御指摘の発言は、宇宙基本法を踏まえ、米国、欧州諸国等における宇宙開発利用の例を参考にしつつ、我が国の安全保障に資する宇宙開発利用の重要性について述べたものである。

(十一)について

 御指摘の委員会第二回会合においては、慶応義塾大学総合政策学部教授の青木節子氏から、法制面から見た防衛目的での宇宙開発利用の可能性について、文部科学省宇宙開発委員会委員の池上徹彦氏から、我が国における宇宙関連技術の動向について、社団法人日本航空宇宙工業会技術顧問の中田勝敏氏から、防衛目的での宇宙開発利用の技術的可能性について、それぞれ講演していただいた。

(十二)について

 (十一)についてで述べた講師の招へいのうち、文部科学省宇宙開発委員会委員である池上徹彦氏の招へいについては、防衛大臣から文部科学大臣に対する依頼に関し文書による決裁が行われた。他の二名の講師の招へいについては、文書による決裁は行われていないが、委員会の委員長の職務上の権限において行われたところである。
 なお、これらの講師に対する謝礼金については、受領を辞退した講師を除き、その支払に関し文書による決裁が行われた。

(十三)について

 宇宙開発戦略本部の構成員は、すべての国務大臣である。
 宇宙開発戦略専門調査会の構成員は、慶應義塾大学総合政策学部教授の青木節子氏、株式会社読売新聞東京本社専務取締役論説委員長の朝倉敏夫氏、国立大学法人東京大学法学部教授の北岡伸一氏、リコーソフトウエア株式会社取締役会長の國井秀子氏、大同工業大学学長の澤岡昭氏、株式会社日立製作所取締役会長・社団法人電子情報技術産業協会会長の庄山悦彦氏、特例財団法人日本総合研究所会長の寺島実郎氏、元宇宙科学研究所所長の西田篤弘氏、特定非営利活動法人気象キャスターネットワーク副代表の藤森凉子氏、株式会社みずほフィナンシャルグループ取締役社長の前田晃伸氏、株式会社バンダイ社外取締役の松永真理氏、国立大学法人京都大学総長の松本紘氏、漫画家・特例財団法人日本宇宙少年団理事長・特例社団法人中央青少年団体連絡協議会会長の松本零士氏、キヤノン株式会社代表取締役会長の御手洗冨士夫氏、日本科学未来館館長の毛利衛氏及びトヨタ自動車株式会社取締役社長の渡辺捷昭氏である。
 宇宙開発利用体制検討ワーキンググループの構成員は、慶應義塾大学総合政策学部教授の青木節子氏、リコーソフトウエア株式会社取締役会長の國井秀子氏、国立大学法人東京大学大学院理学系研究科教授の佐藤勝彦氏、国立大学法人東京大学大学院情報学環教授の田中明彦氏、特例社団法人日本航空宇宙工業会常務理事の田中俊二氏、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授の中須賀真一氏、国立大学法人京都大学大学院公共政策連携研究部教授の中西寛氏及び特例社団法人日本経済団体連合会常務理事の椋田哲史氏である。
 宇宙活動に関する法制検討ワーキンググループの構成員は、慶應義塾大学総合政策学部教授の青木節子氏、三菱重工業株式会社航空宇宙事業本部宇宙機器部部長の淺田正一郎氏、特定非営利活動法人大学宇宙工学コンソーシアム事務局長の川島レイ氏、デジタルハリウッド大学教授の小菅敏夫氏、上智大学法学研究科教授の小塚荘一郎氏、スカパーJSAT株式会社経営企画本部経営企画部長の佐々木学氏、東京海上日動火災保険株式会社航空保険部宇宙保険室長の白井恭一氏、特例社団法人日本航空宇宙工業会常務理事の田中俊二氏、衛星測位システム協議会事務局長の西口浩氏、株式会社パスコ衛星事業部副事業部長の福永哲雄氏及び特例社団法人日本経済団体連合会常務理事の椋田哲史氏である。
 これらの構成員の方々については、宇宙開発利用に関して、それぞれの知見に基づき、幅広い観点からの御意見をいただけるものと期待している。

(十四)について

 宇宙基本計画については、平成二十一年五月を目途に宇宙開発戦略本部において作成する予定であり、その際、必要に応じ、委員会の検討結果も踏まえることとなるものと考えている。

(十五)について

 現行の「平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成十六年十二月十日安全保障会議決定・閣議決定)については、策定の五年後には、その時点における安全保障環境等を勘案し検討を行い、必要な修正を行うこととされており、また、現行の「中期防衛力整備計画(平成十七年度〜平成二十一年度)について」(平成十六年十二月十日安全保障会議決定・閣議決定)については、平成二十一年度までがその対象となっていることから、平成二十二年度以降の防衛力の在り方については、現在、政府において、所要の検討を行っているところであり、お尋ねの点を含めその内容について現時点でお答えすることは困難である。

(十六)について

 宇宙開発戦略本部、宇宙開発戦略専門調査会、宇宙開発利用体制検討ワーキンググループ及び宇宙活動に関する法制検討ワーキンググループ(以下「宇宙開発戦略本部等」という。)については、率直な意見交換を行っていただくため非公開とし、宇宙開発戦略本部等における発言者の氏名及び発言内容のすべてを公開することは差し控えているが、宇宙開発戦略本部等における議論の透明性を確保する観点から、主な発言内容等を記録した議事要旨を公開し、配付資料についても、原則として、公開することとしている。

(十七)について

 宇宙開発戦略本部等における構成員以外の有識者からの意見聴取については、個別具体の状況に即して、その都度、宇宙開発戦略本部等において決定することとしており、あらかじめ一概にお答えすることは困難である。

(十八)について

 委員会については、率直な意見交換を行うため非公開とし、委員会における発言者の氏名及び発言内容のすべてを公開することは差し控えているが、委員会における議論の透明性を確保する観点から、主な発言内容等を記録した議事要旨を公開し、配付資料についても、原則として、公開することとしている。

(十九)について

 委員会においては、必要に応じ、部外有識者を招へいすることとしており、その招へいに当たっては、防衛省としての宇宙開発利用の検討に有益な法制、技術等に係る専門的知見を有していること等を考慮することとしているところである。

(二十)について

 平成二十年十一月四日開催の宇宙開発戦略専門調査会の会合で配付された資料における「宇宙機関」については、今後、宇宙基本計画の作成過程において、宇宙基本法附則第三条の規定による宇宙開発利用に関する機関についての検討状況も踏まえつつ、必要に応じ、その都度、個別具体に判断するものであり、あらかじめ一概にお答えすることは困難である。
 また、宇宙開発戦略専門調査会における検討の対象となる行政組織については、必要に応じ、その都度、個別具体に判断するものであり、あらかじめ一概にお答えすることは困難である。

(二十一)について

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構については、現在、政府において、所要の検討を行っているところであり、お尋ねについて、あらかじめお答えすることは困難である。
 また、宇宙基本法附則第三条に規定する「独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発利用に関する機関」については、同法の国会審議においては、同法の提案者から、宇宙開発の実施を担う独立行政法人宇宙航空研究開発機構及び独立行政法人情報通信研究機構等が考えられる旨の説明がなされているものと承知しているが、その具体的内容については、今後検討を行う中で、個別具体に判断するものであり、あらかじめ一概にお答えすることは困難である。

(二十二)について

 宇宙基本計画については、平成二十一年五月を目途に作成する予定である。
 また、宇宙活動に関する法制については、「宇宙の開発及び利用の推進に関する件」(平成二十年五月九日衆議院内閣委員会決議)及び「宇宙基本法案に対する附帯決議」(平成二十年五月二十日参議院内閣委員会)を尊重し、宇宙基本法の施行後二年以内を目途に整備するよう努めてまいりたいと考えている。

(二十三)について

 諸外国においては、衛星の打ち上げ目的の詳細は明らかにされない場合があることから、お尋ねに一概にお答えすることは困難である。

(二十四)について

 御指摘の「軍事用」及び「民生用」の区分が必ずしも明らかではなく、御指摘のような宇宙開発利用に関する予算の区分は行っていないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

(二十五)について

 お尋ねのような自衛隊の個別の活動に伴う通信及び情報収集を目的とする衛星の具体的な利用状況については、今後の自衛隊の活動に支障を生じるおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
 いずれにしても、防衛省としては、自衛隊の活動に伴う衛星の利用については、宇宙基本法の規定に基づき、必要な検討を進めていくこととしている。

(二十六)について

 防衛省としては、防衛省・自衛隊による宇宙開発利用は、国民の生活や権利を不当に侵害することがないよう行われることは当然であると考えている。
 また、これまでに、衛星を打ち上げるためのロケットの発射に際し、自衛隊が当該ロケットの打ち上げ射場の警備を行ったことはない。

(二十七)について

 御指摘の「提言」については承知しているが、民間団体の会報に掲載された記述の内容について政府として見解等を述べることは差し控えたい。

(二十八)について

 準天頂衛星については、衛星測位に関する技術実証及び利用実証を目的とした人工衛星として、平成二十二年度の打ち上げを目指し、初号機の開発を進めている。当該初号機は、その目的とする測位の機能を発揮するために必要な通信機能以外の通信機能は有していない。また、当該初号機から送信される測位信号は、広く一般の利用者が受信できるものである。



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