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答弁本文情報

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平成二十年十二月九日受領
答弁第三〇三号

  内閣衆質一七〇第三〇三号
  平成二十年十二月九日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員長妻昭君提出死亡事故を起こしたシンドラー社製エレベーターをはじめ警察に押収された事故を起こした製品の調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出死亡事故を起こしたシンドラー社製エレベーターをはじめ警察に押収された事故を起こした製品の調査に関する質問に対する答弁書



一について

 国土交通省としては、御指摘の事故に関し、特定行政庁である東京都から、警視庁により事故現場への立入りが事故発生当初禁止されている旨の報告を受けたこと及び当該事故機が警視庁により捜査のため押収されたことを踏まえ、事故発生から本年九月までの間、警視庁に対して同省による事故機の調査に関する要請を行わなかったところである。

二について

 お尋ねの点については、これまで警視庁による捜査を優先してきたものであり、政府としては適正な対応を行ってきたと考えている。
 国土交通省としては、御指摘の事故の発生から約二年半が経過しても事故原因が明らかになっていないこと等を踏まえ、本年十月に、警察庁を介して警視庁に対し、事故の再発防止の観点からの社会資本整備審議会による事故機の調査について要請したところ、捜査当局から調査は可能である旨の回答があったことから、調査することとしたものである。

三について

 警視庁によると、御指摘の事故機を押収した後、国土交通省から事故機の調査に関する要請を受けたことはなかったところ、本年十月に、同省から当該要請を初めて受けたことから、これに応じることとしたとのことである。

四の1及び2について

 国土交通省において、過去五年間に発生したシンドラーエレベータ株式会社製エレベーターに係る人身事故として把握しているものは、「本事故以前」である平成十五年八月一日から平成十八年六月三日までの間に発生した一件の事故及び「本事故後」である平成十八年六月四日から平成二十年八月二十日までの間に発生した三件の事故であり、それぞれの事故の発生日及び態様は、特定行政庁によれば、次のとおりである。なお、御指摘の事故と類似の態様のものはなく、また、これらの事故の原因については把握していない。
 (1) 「本事故以前」
  @平成十八年一月十四日 かごの着床位置のずれ
 (2) 「本事故後」
  @平成十八年六月二十四日 かごの着床位置のずれ
  A平成十八年十月二十九日 かごの着床位置のずれ
  B平成十九年九月十二日 主索のすべり
  また、お尋ねの「事故機と同機種を現在も使用しているケース」の安全性については、先の答弁書(平成二十年十月二十四日内閣衆質一七〇第一二五号)三についてでお答えしたとおりである。

四の3について

 国土交通省において、過去五年間に発生したシンドラーエレベータ株式会社製以外のエレベーターに係る人身事故として把握しているものは、「本事故以前」である平成十五年八月一日から平成十八年六月三日までの間に発生した八件の事故及び「本事故後」である平成十八年六月四日から平成二十年八月二十日までの間に発生した十七件の事故であり、それぞれの事故の発生日、事故機のメーカー名等及び態様は、特定行政庁等によれば、次のとおりである。なお、これらの事故の原因については把握していない。
 (1) 「本事故以前」
  @平成十五年十月十七日 ナショナルエレベーター工業株式会社 戸のすき間からの転落
  A平成十六年七月八日 三菱電機株式会社 戸への挟まれ
  B平成十六年七月十五日 フジテック株式会社 戸のすき間等への引き込まれ
  C平成十七年一月二十七日 日本オーチス・エレベータ株式会社 戸のすき間からの転落
  D平成十七年五月七日 横浜エレベータ株式会社 戸を突き破って転落
  E平成十七年七月七日 フジテック株式会社 戸の開閉異常
  F平成十七年十一月十三日 株式会社日立製作所 閉じ込め
  G平成十八年三月二十七日 フジテック株式会社 閉じ込め
 (2) 「本事故後」
  @平成十八年七月八日 株式会社日立製作所 閉じ込め
  A平成十八年八月七日 個人 かご下面への挟まれ
  B平成十八年八月十四日 株式会社日立製作所 かごの着床位置のずれ
  C平成十八年八月十八日 日本オーチス・エレベータ株式会社 閉じ込め
  D平成十八年八月二十二日 三精輸送機株式会社 戸のすき間等への引き込まれ
  E平成十八年八月二十七日 日本オーチス・エレベータ株式会社 戸のすき間等への引き込まれ
  F平成十八年九月二十六日 株式会社日立製作所 戸に引っかかったひもによる指の切断
  G平成十八年十月二十五日 株式会社日立製作所 戸に引っかかったひもによる指等の切断
  H平成十九年四月十八日 株式会社日立製作所 戸の開放による転落
  I平成十九年六月五日 フジテック株式会社 かごの着床位置のずれ
  J平成十九年六月八日 フジテック株式会社 戸のすき間等への引き込まれ
  K平成十九年七月二十八日 株式会社日立製作所 戸のすき間等への引き込まれ
  L平成十九年九月十四日 日本オーチス・エレベータ株式会社 閉じ込め
  M平成二十年三月三日 三菱電機株式会社 かごの着床位置のずれ
  N平成二十年三月七日 東芝エレベータ株式会社 戸のすき間等への引き込まれ
  O平成二十年七月十六日 フジテック株式会社 戸のすき間等への引き込まれ
  P平成二十年八月十二日 株式会社日立製作所 戸のすき間等への引き込まれ

四の4について

 御指摘の「エレベーターメーカーや関連保守会社等」の対象範囲が明確でなく、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、平成十六年度から平成十八年度までの間に中央省庁の課長・企画官相当職以上で退職した国家公務員のうち、社団法人日本エレベーター協会の会員であって、同協会が把握している平成十九年度末におけるエレベーターの設置台数に占めるシェアが一パーセントを超える会社(三菱電機株式会社、株式会社日立製作所、東芝エレベータ株式会社、日本オーチス・エレベータ株式会社、フジテック株式会社、パナソニックホームエレベーター株式会社、クマリフト株式会社、シンドラーエレベータ株式会社、日本エレベーター製造株式会社及びサイタ工業株式会社)及びその関連会社であってエレベーターの保守点検等を行っている会社(三菱電機ビルテクノサービス株式会社及び株式会社日立ビルシステム)に再就職した者の人数をお示しすると、二名である。

四の5について

 御指摘の事故の再発を防止する観点から、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会の報告を踏まえ、建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)の改正等を行い、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第十二条第三項に基づく定期検査等の具体的な検査方法等を規定し、平成二十年四月一日に施行したところである。また、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)の改正を行い、駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合等において自動的にかごを制止する装置(以下「戸開走行保護装置」という。)の設置を義務付け、平成二十一年九月二十八日に施行することとしたところである。

四の6について

 シンドラーホールディングAG及びその関連会社が製造したエレベーターに係る海外における人身事故については、米国及び香港においてそれぞれ一件の事故があったと承知しているが、現時点においては、これらの詳細については把握していない。

四の7について

 お尋ねの諸外国における「二重ブレーキ」の設置の義務付けの状況については把握していない。なお、米国においては、米国機械学会が定めるエレベーターの統一的な規格において戸開走行保護装置の設置に係る規定が、欧州連合においては、欧州標準化委員会が定めるエレベーターの統一的な規格において「二重ブレーキ」の設置に係る規定がそれぞれ設けられていると承知している。

四の8について

 お尋ねは、建築基準法施行令の改正による戸開走行保護装置の設置の義務付けに関するものと思われるが、同改正は、かごの戸及び昇降路の戸が開いたままエレベーターのかごが昇降することによる事故の発生を防止するためのものであり、御指摘の事故が戸開走行保護装置により防げたものであったかについては現時点ではお答えできない。
 なお、当該事故発生前に、かごを主索で吊るエレベーターにおいて、当該事故と類似の態様の事故が発生していたとの事実は、把握していない。

五について

 警察庁としては、御指摘の事故については、警視庁において現在捜査中のところ、当該捜査の結果を御遺族に連絡する時期を現段階でお答えすることは困難であるが、警視庁において、捜査の進捗状況を、今後の見通しも含め、適時に御遺族に連絡しているものと承知している。
 なお、国土交通省としては、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会及び同部会のエレベーターワーキングチームにおいて、エレベーターの安全確保の観点から当該事故について審議を行い、その結果については、適時に、御遺族に説明してきたところである。
 また、政府としては、御指摘の事故に関し、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)に定める損害賠償責任を政府が負うものではないと考えている。

六について

 御指摘の「同種製品等で、再発可能性のある事故が発生した場合」が何を指すかについては必ずしも明らかではないが、警察庁においては、エレベーター等の工作物に起因する事故に関し、都道府県警察が押収した当該工作物の調査等に関する要請が国土交通省からなされた場合には、捜査に支障のない範囲で協力する必要があることについて、都道府県警察に対し、通達を発出する等により指導を行っている。



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