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平成二十一年七月六日受領
答弁第六一一号

  内閣衆質一七一第六一一号
  平成二十一年七月六日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員吉井英勝君提出陵墓に指定された古墳の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出陵墓に指定された古墳の実態に関する質問に対する答弁書



(一)及び(二)について

 宮内庁としては、陵墓や陵墓参考地については、現に皇室において祭祀が継続して行われ、皇室と国民の追慕尊崇の対象となっているので、静安と尊厳の保持が最も重要なことであると考えている。このため、御指摘のトレンチの設定を含め、部外者に陵墓を発掘させたり、立ち入らせたりすることは、厳に慎むべきことと考えているが、御指摘の「古代史解明のための障害」が生じないよう、学術研究上の要請にこたえるため、陵墓や陵墓参考地の本義に支障を及ぼさない限りにおいて、保全工事に伴う調査の際の見学の実施や調査結果の公表等に努めているところである。

(三)及び(五)について

 宮内庁としては、古代の皇室の歴史については、歴史学者の間でも諸説あるものと承知している。

(四)について

 「日本書紀」等によれば、倭迹迹日百襲姫命は孝霊天皇の皇女とされているものと承知している。

(六)について

 倭迹迹日百襲姫命の薨去月日については、明確ではない。
 また、宮内庁としては、御指摘の「箸墓古墳」を含め、陵墓においては、皇室により、関係者が参列の上、例祭、式年祭及び正辰祭の祭祀が行われているものと承知している。

(七)について

 祭祀に要する経費は内廷費から支出している。内廷費については、御手元金として宮内庁の経理に属する公金とされていないため、その使途の具体的な内容については、お答えを差し控えたい。
 なお、祭祀の前後に行われる陵墓の清掃等の経費については、宮廷費から陵墓の管理一般に属する費用として支出しており、当該経費のみを取り出して算出することは困難である。

(八)について

 宮内庁の陵墓調査官は、陵墓の管理上、必要に応じて墳頂部へも立ち入ることがある。

(九)について

 宮内庁としては、御指摘の測量図については承知しているが、当該測量図に示された「斜めに走る線」が「通路」又は「生活用道路」であったか否かは承知していない。
 また、御指摘の「垣根」の設置時期等は確認できない。

(十)及び(十一)について

 御指摘の調査は、御指摘の「百舌鳥御廟山古墳」の保全工事に先立ち、宮内庁が調査を計画し、堺市に連絡したところ、堺市も時期を合わせて宮内庁の管理地外である周濠部分の調査を行うこととなったものである。
 また、宮内庁としては、堺市による調査現場の一般公開は、堺市の調査現場を公開したものであると考えているが、宮内庁の調査現場の一般公開は行っていない。
 トレンチについては、墳丘裾部に多数設定されたが、その詳細については、今年度末を目途に「書陵部紀要」において公表する予定である。

(十二)について

 お尋ねについては、国又は地方公共団体から、都市防災上の観点により必要不可欠かつ緊急性のある陵墓立入調査の要請があれば、静安と尊厳を損なわないよう配慮しつつ、検討することもあり得る。
 また、各陵墓の測量図の作成については、年次計画を立案し、順次実施中である。

(十三)について

 御指摘の「太田茶臼山古墳」、「西殿塚古墳」及び「市庭古墳」は、それぞれ第二十六代継体天皇三嶋藍野陵、同皇后手白香皇女衾田陵及び第五十一代平城天皇楊梅陵として治定している。
 宮内庁としては、陵墓の治定を覆すに足る陵誌銘等の確実な資料が発見されない限り、現在のものを維持していく所存である。

(十四)について

 宮内庁が古代高塚式の陵墓又は陵墓参考地として管理しているものは、百二十一である。
 また、お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、陵墓については、宮内庁として被葬者を治定しており、被葬者を特定するだけの確たる史料が得られていないが、文献等から皇室関係者が埋葬されていると考えられるものについては、陵墓参考地としている。

(十五)について

 宮内庁においては、陵墓に関する調査・考証のため、必要な遺物を所蔵している。
 これらの所蔵品については、学術研究上の要請にこたえるため、宮内庁内での展示、博物館等への貸出し、研究者の調査受入れ等に努めており、文化庁や地方公共団体に管理させることは考えていない。

(十六)について

 宮内庁としては、御指摘の「大山古墳」の築造年代については、諸説あるものと承知している。
 御指摘の「大山古墳」は、第十六代仁徳天皇百舌鳥耳原中陵として治定されている。

(十七)について

 明治五年当時に御指摘の「大山古墳」について学術的な調査が行われたかどうかは不明である。
 また、御指摘の「大山古墳」等の陵墓に対する学術的な調査については、現に皇室において祭祀が継続して行われ、皇室と国民の追慕尊崇の対象となっており、国民感情にも配慮する必要があるという事情を踏まえて検討すべきものと考えている。
 また、御指摘の「甲冑やガラス容器など」の所蔵については、承知していない。

(十八)について

 宮内庁としては、ボストン美術館に所蔵されている御指摘の「大山古墳から出土したと伝えられる」遺物は、その来歴についての異説があるものと承知している。

(十九)及び(二十)について

 御指摘の「津堂城山古墳」については、大正五年に歴代皇后等の陵墓の可能性があるとして、陵墓参考地とされているが、御指摘の「今のような区域に設定された経緯」は不明であり、出土品については、宮内省時代から引き続き管理しているものである。

(二十一)について

 御指摘の長持形石棺の大きさについては、「図説日本の史跡」(文化庁文化財保護部史跡研究会監修)に掲載されている記述に基づきお答えしたものである。

(二十二)について

 文化庁としては、御指摘の石室及び石棺については、これを十分に保存するためには現状のままとすることが適当であると考える。
 また、当該石室及び石棺については、発見当時に学術調査が行われ、これまで学会誌等で公表され、活用が可能な状況となっているものと承知しており、御指摘は当たらないと考えている。

(二十三)について

 御指摘の「津堂城山古墳」から出土した朱については、宮内庁で所蔵しているが、具体的な出土状況や大量の朱を副葬した目的については、明らかではない。

(二十四)について

 御指摘の「津堂城山古墳」から出土した朱は約十三リットルであり、書陵部庁舎の専用収蔵庫の木箱に収めて保管しているが、朱の科学分析を行ったことはない。

(二十五)及び(二十六)について

 御指摘の「津堂城山古墳」の史跡指定については、昭和三十一年三月二十七日の文化財保護審議会答申を受けて、昭和三十三年一月二十一日に告示されたものであるが、史跡指定範囲については、範囲を決定した根拠に関する資料が残っておらず、当時の状況は不明である。
 史跡に指定されていない内堤及び外濠・外堤に想定される部分については、大阪府教育委員会や藤井寺市教育委員会が開発行為に伴う事前の発掘調査を実施しているところであり、文化庁としては、今後、これらの調査結果を踏まえて、土地所有者等の財産権に配慮しつつ、史跡への追加指定について検討すべきものと考える。

(二十七)について

 史跡の名称については、地域で親しまれている名称など、当該史跡を最も適切に指すものを名称としており、文化庁としては、御指摘の史跡の名称を変更する必要はないと考える。

(二十八)について

 陵墓及び陵墓参考地の範囲については、それぞれの歴史的経緯があり、現在のようになったものである。
 また、周濠が範囲から外れている陵墓の例はないが、陵墓参考地については、土師ニサンザイ古墳(東百舌鳥陵墓参考地・大阪府堺市)、百舌鳥御廟山古墳(百舌鳥陵墓参考地・大阪府堺市)、ウワナベ古墳(宇和奈辺陵墓参考地・奈良県奈良市)、コナベ古墳(小奈辺陵墓参考地・奈良県奈良市)等の例がある。

(二十九)について

 文化庁としては、周濠部分も含めて、埋蔵文化財の調査については、文化財保護の観点から地方公共団体により適切な措置が採られるものと考えている。
 なお、お尋ねの陵墓については、把握していない。



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