答弁本文情報
平成二十二年二月十九日受領答弁第一〇六号
内閣衆質一七四第一〇六号
平成二十二年二月十九日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員馳浩君提出全国学力・学習状況調査に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員馳浩君提出全国学力・学習状況調査に関する再質問に対する答弁書
一及び二について
全国学力・学習状況調査(以下「本調査」という。)については、平成二十二年度においても、全国的な児童生徒の学力等の状況を把握し、国及び地方の教育施策の結果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実にいかすという目的には変更はない。
本調査の目的を達成するための調査の方式については、悉皆調査から抽出調査に切り替えるとともに、抽出調査の対象外の学校については、その設置者が希望すれば、抽出調査と同一の問題の提供を受け、本調査を利用できる方式(以下「希望利用方式」という。)を導入することとしている。本調査により、抽出調査の対象となった学校においては、当該学校の各児童生徒の学力等の状況を把握し、当該学校の教育指導を充実することが可能となる。また、抽出調査の対象外の学校においては、三年間の悉皆調査の結果によって蓄積された全国及び各地域別等の信頼性の高いデータ、平成二十二年度の抽出調査の結果を参考にしつつ、地方公共団体や各学校における独自の調査の結果、さらに必要があれば希望利用方式による調査の結果も活用することによって、当該学校における各児童生徒の学力等の状況を把握し、当該学校の教育指導を充実することが可能となると考えている。
現在、文部科学省において学校設置者に対し希望利用方式の調査の希望について照会し、一部の学校設置者から回答を待っているところであり、お尋ねの数について現段階でお答えすることは困難である。
抽出調査における採点等は、国全体及び都道府県別の学力等の状況を把握するための基礎データを得るために行うものであることから、国が一括してこれを行うこととしている。これに対し、希望利用方式の調査については、その結果を抽出調査の基礎データとするために行うものではなく、その結果を各学校設置者が自らの判断で管理し、その後の当該学校における教育指導にいかすために行うものであることから、各学校設置者の責任と費用負担により、採点等を行うこととしているものであり、「不公平さが存在する」との御指摘は当たらないものと考えている。
なお、文部科学省としては、希望利用方式の調査についても、問題の作成、印刷及び学校への配送は全額国費で行い、また、各学校設置者による採点に資するよう、設問ごとの出題の趣旨、正答の条件、予想される解答の類型等をまとめて、各学校設置者に配布する予定である。
教育行政における国と地方公共団体の役割については、公立学校の運営の責任は基本的に地方公共団体が負い、国は教育水準の維持等に責任を負うものと考えている。文部科学省としては、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上を図るための施策の一つとして、今後とも、地方公共団体や学校の協力を得ながら本調査を実施し、国及び地方の教育施策の結果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実にいかしてまいりたい。
文部科学省においては、本調査の結果から明らかになった課題等を踏まえて、学習指導要領の改訂等を行うとともに、本調査の結果を多面的に分析した上で、学校における教育指導や教育委員会における教育施策の改善等に役立つよう、「授業アイディア例」等の情報の発信に努めているところである。また、すべての都道府県及び政令指定都市において本調査の結果を活用して「学校改善支援プラン」が作成されるなど、各教育委員会における本調査の結果の活用も進められているところである。さらに、本調査の結果を踏まえて、例えば、教員配置を増やして少人数指導を充実させたり、非常勤講師やボランティア等を配置して補習学習を充実させたり、また、学習教材の充実や家庭学習の定着を図るなど、地域や学校の実情等に即した取組が行われているところである。
文部科学省としては、本調査により、国や地方公共団体において、児童生徒の学力等の状況を把握し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る取組が、着実に推進されていると評価しており、今後とも、「教育振興基本計画」(平成二十年七月一日閣議決定)を踏まえ、本調査を実施するとともに、その結果の活用を推進してまいりたい。