答弁本文情報
平成二十二年二月二十六日受領答弁第一四二号
内閣衆質一七四第一四二号
平成二十二年二月二十六日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員馳浩君提出中学・高校生の卒業クライシスに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員馳浩君提出中学・高校生の卒業クライシスに関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「子どもの貧困」は、様々な意味で用いられているものと承知しており、その定義について一概にお答えすることは困難である。なお、厚生労働省としては、子供の貧困に関する指標として、平成二十一年十月及び十一月に、経済協力開発機構の計算方法に基づき、我が国の子供に関する相対的貧困率を公表したところである。
文部科学省としては、お尋ねの処分の実情については把握していない。なお、文部科学省が実施した「平成二十年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によれば、平成二十年度に経済的理由で高等学校を中途退学した生徒の数は二千二百八人である。
文部科学省としては、すべての都道府県において、経済的理由により修学困難な国公私立の高校生を対象とする奨学金事業が実施されているほか、公立の高等学校における授業料の減免措置が採られ、私立の高等学校における授業料の減免措置に対しても補助事業が実施されているものと承知している。文部科学省では、この補助事業に対し助成を行っているほか、厳しい経済情勢を踏まえ、平成二十一年度第一次補正予算においては、「高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金」として約四百八十六億円を計上し、都道府県が実施している奨学金事業及び補助事業に対する緊急支援を行っているところである。
さらに、厚生労働省では、「高校生の授業料滞納に係る生活福祉資金(教育支援資金)の取扱について」(平成二十二年二月十二日付け社援地発〇二一二第一号厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)を各都道府県に発出し、各都道府県社会福祉協議会で実施されている生活福祉資金貸付制度において、平成二十一年度に限り、高等学校の授業料をやむを得ない事情により滞納している低所得世帯に対し、当該滞納額を貸し付けることを可能としたところである。
文部科学省としては、経済的理由により修学困難な高校生に対しては、各学校において奨学金事業等を活用しつつ、生徒の心情に最大限に配慮した対応を行うことが必要であると考えている。
文部科学省においては、学ぶ意欲のある高校生が経済的理由により修学を断念することがないようにするため、各都道府県教育委員会等に対し、「経済的理由により修学困難な高等学校等生徒への支援について」(平成二十二年二月九日付け二一文科初第五六一号文部科学大臣政務官通知)を発出し、授業料の減免措置等の施策について高校生や保護者等への周知を図るよう依頼するとともに、各学校において、生徒や家庭の実情を十分に把握した上で相談に応じるなど、きめ細かな対応が行われるよう配慮を求めたところである。
高等学校の定時制の課程における追加募集を含め、高等学校の入学者選抜に関する情報については、各都道府県教育委員会等において適切に周知が行われるものと考えている。また、公立の高等学校の入学定員については、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)第四条の規定に基づき、各都道府県において地域の状況等を踏まえつつ適切に定められ、私立の高等学校の入学定員についても、各学校の設置者によって適切に定められるものと考えている。