衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十二年三月三十日受領
答弁第二七一号

  内閣衆質一七四第二七一号
  平成二十二年三月三十日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員山口俊一君提出国家公務員法等の一部を改正する法律案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山口俊一君提出国家公務員法等の一部を改正する法律案に関する質問に対する答弁書



一について

 今国会に提出している国家公務員法等の一部を改正する法律案(以下「国公法等改正法案」という。)においては、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第十八条第一項に規定する事務次官及びこれに準ずる官職、同法第二十一条第一項に規定する局長及びこれに準ずる官職並びに同項に規定する部長及びこれに準ずる官職は、同一の職制上の段階に属するものとみなすこととしており、これらの官職の間の異動を転任とする、幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入しているところである。
 国公法等改正法案の規定に基づき転任される幹部職員の給与については、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条の二の規定に基づき、転任後の官職に応じて定められる号俸に給与が決定される。
 また、国公法等改正法案は、幹部職員人事の内閣一元管理や幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入し、内閣総理大臣、内閣官房長官及び各任命権者が協議の上、適材適所の人事を行うこととするものである。
 このような仕組みは、任命される職員の国民全体の奉仕者としての性格には影響を与えるものではなく、公務員の中立性は確保されるものと考えている。

二について

 内閣人事局の設置及び幹部職員人事の一元管理の実現に関する事項について、国公法等改正法案が第百七十一回国会に内閣から提出され廃案となった国家公務員法等の一部を改正する法律案と異なっている主な点は、一についてで述べた幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入したこと、幹部職員の昇任等についての任命権者と内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議における内閣総理大臣及び内閣官房長官の主導性を明確にしたこと並びに国家公務員制度改革基本法(平成二十年法律第六十八号。以下「基本法」という。)第十一条に規定されている基本法の施行後一年以内を目途として講ずるものとされている法制上の措置のうち、総務省や人事院その他の国の行政機関からの機能移管等、国公法等改正法案により措置されるもの以外の法制上の措置は公務員の労働基本権の在り方を含む公務員制度の抜本的な改革の中で検討することが適当と考え、基本法の施行後三年以内を目途として講ずることとしたことである。
 後段のお尋ねについては、政府部内の検討過程における詳細について、個々にお答えすることは差し控えたい。

三について

 国公法等改正法案においては、内閣官房長官が幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を適格性審査において判定し、審査の合格者について幹部候補者名簿を作成すること、任命権者が幹部候補者名簿に記載されている者の中から、人事評価等に基づき、任命しようとする幹部職についての適性を判断して任用を行うこと並びに幹部職員の任免を行う場合の内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者による協議の仕組みを導入することにより、適正に人事が行われるよう配慮しているところである。

四について

 国と地方公共団体とでは組織の在り方等が異なることから、お尋ねの点について、政府としては、必ずしも、地方公共団体において国と同様な仕組みが導入されるべきであると考えているわけではない。

五について

 「国家公務員の総人件費を二割削減」という目標については、地方分権推進に伴う地方移管、国家公務員の手当・退職金等の水準や定員の見直し、公務員制度改革後の労使交渉を通じた給与改定等により、平成二十五年度に達成するよう努力することとしている。また、基本法第十二条の規定に基づく国民に開かれた自律的労使関係制度の措置については、基本法第四条の規定により、基本法の施行後三年以内を目途として法制上の措置を講ずるものとされており、当該規定を踏まえて対応してまいりたい。
 地方公務員の人件費については、各地方公共団体において、安全かつ良質な公共サービスが、確実、効率的かつ適正に実施されるよう、引き続き自主的に行政改革に取り組むことが必要と考えている。また、地方公務員の労働基本権の在り方については、基本法附則第二条第一項に基づき、政府が国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討するものとされており、当該規定を踏まえて対応してまいりたい。

六について

 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)については、制定時の提案理由説明において、「職員の政治的行為の制限の違反に対しては、懲戒処分により地方公務員たる地位から排除することをもって足る」との見地から罰則を付さないこととされている。
 政治的行為の制限は、基本的人権にも関わる問題であり、慎重に考えるべき問題であると認識している。

七について

 お尋ねの点については、我が国における公務員の人件費に相当する経費の先進諸外国における金額等については把握していないことからお答えすることは困難であるが、経済協力開発機構の「National Accounts of OECD Countries Volume IV General Government Accounts 1996 - 2007」によれば、一般政府総支出における雇用者報酬(公務員以外の者に係る雇用者報酬を含む。以下同じ。)の額及び人口一人当たりの一般政府総支出における雇用者報酬の額は、それぞれ日本が二千六年のデータで三十一兆三千六百四十億円、二十四万五千円、アメリカ合衆国が二千七年のデータで一兆三千九百十八億ドル、四千六百十ドル、連合王国が二千五年のデータで千三百八十一億五千万ポンド、二千二百九十ポンド、フランスが二千七年のデータで二千四百三十二億七千万ユーロ、三千九百四十ユーロ、ドイツが二千七年のデータで千六百七十九億五千万ユーロ、二千四十ユーロであるものと承知している。
 なお、我が国における国家公務員の人件費は平成二十二年度予算で約五兆千七百九十五億円であり、平成二十二年度地方財政計画における地方公務員の給与関係経費は約二十一兆六千八百六十四億円である。

八について

 国家公務員の総人件費の削減に当たり、政府としては、公務員が意識を変革し、共に改革に取り組み、国家を支える中枢としての誇りを取り戻せるよう、公務員の意欲を高めることや、優秀な人材の確保に意を用いつつ、公務員制度の抜本的な改革を進めることとしている。

九について

 現在進めている公務員制度改革は、適材適所の人事を柔軟に行うことを可能とするとともに、能力及び実績に応じた処遇の徹底を図ることにより、意欲や能力の高い公務員が、さらに意欲を高め、能力を発揮できるようにするものであり、御指摘の鳩山内閣総理大臣の発言はこのような改革の趣旨を述べたものである。いずれにしても、政府としては、平成二十一年九月二十九日の閣議における「公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備するなど公務員制度改革を速やかに実施していくこととしております」等との内閣総理大臣の発言を踏まえ、今後、早期退職勧奨の取扱いを含め、定年まで勤務できる環境等の整備の具体的な在り方について検討することとしている。

十について

 国公法等改正法案においては、三についてで述べたように、適正な人事が行われるよう配慮しており、御懸念は当たらないものと考える。
 また、今年度から導入している人事評価制度における人事評価の基準については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及び人事評価の基準、方法等に関する政令(平成二十一年政令第三十一号)等に基づき、人事評価は、能力評価及び業績評価によるものとしており、具体的には、能力評価は、職員が発揮した能力の程度を評価することにより、業績評価は、職員が果たすべき役割を果たした程度を評価することにより、それぞれ行うものとしている。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.