答弁本文情報
平成二十二年六月十一日受領答弁第五三六号
内閣衆質一七四第五三六号
平成二十二年六月十一日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員木村太郎君提出新たな食料・農業・農村基本計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員木村太郎君提出新たな食料・農業・農村基本計画に関する質問に対する答弁書
一について
米穀に係る契約及び販売は、出荷又は販売の事業を行う者の間で行われるものであり、その動向は、米穀の需給状況を反映したものである。このため、米穀の需給及び価格の安定のためには、広く関係者の間で情報共有を図ることが重要であることから、米穀の流通状況及び価格動向の情報、戸別所得補償モデル対策への加入動向等について、米穀の生産者、出荷業者、卸売業者等による、「米の流通に関する情報交換会」を開催しているところである。
米穀については、主食用の消費が減少し続ける中で、水田における潜在的な生産可能数量が需要量を大幅に上回る需給ギャップが存在しており、需給と価格の安定を図るためには、適切に需給調整を実施する必要がある。
しかしながら、これまでの需給調整は、稲作を基本とした農業を展開する農家にとって、需給調整に参加することに対する明確なメリットがなく、需給調整に参加している人と需給調整に参加しない人との間で不公平感があること等の問題点があり、必ずしも需給調整の実効性が確保されてこなかったと認識している。
このため、米穀の生産数量目標に即した生産を行う者に対して所得を補償するという強力なメリットがある措置を講ずる米戸別所得補償モデル事業を導入することにより需給調整の不公平感の解消を図り、同事業への加入を促進することにより、米穀の需給を引き締める効果が発揮されるよう努めているところである。
米戸別所得補償モデル事業は、生産数量目標に即した生産を行う者に対して所得を補償するという強力なメリットがある措置を講ずるものであり、これにより米穀の需給を引き締める効果が期待できるものである。このため、平成二十二年産の米穀の需給については、同事業への加入を促進することによって生産数量目標を超える米穀の生産を抑制していくことを基本としており、同事業を確実に実施することが重要と考えていることから、同事業について、平成二十二年度予算において新たに約三千三百七十一億円を措置しているところである。
新規需要米は、米穀の需給及び価格の安定を図るため、定められた用途に適切に供され、主食用米として流通しないことが不可欠であると考えている。
このため、新規需要米に係る取組の認定に当たっては、その定められた用途に適切に供され主食用米として流通しないことを担保する観点から、農業者及び需要者が販売契約を締結することが義務付けられている。
また、平成二十一年十一月に、米穀の出荷販売事業者が遵守すべき事項を定める省令(平成二十一年農林水産省令第六十三号)が制定され、同令により、用途限定米穀の用途外使用が禁止されたことに加えて、同年四月に米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(平成二十一年法律第二十六号)が制定され、同法により、米穀の譲受け、譲渡しに関する記録及び産地情報の伝達が義務付けられたところであり、これらを的確に運用することによって、新規需要米の適正な流通を確保していくこととしている。
平成二十三年産の米穀の需給調整については、平成二十二年度の戸別所得補償モデル対策の実施状況も踏まえ、戸別所得補償制度の本格実施と併せて検討していくこととしているが、その際には、平成二十二年産の米穀の生産状況を踏まえる必要がある。
平成二十二年三月に閣議決定された、新たな「食料・農業・農村基本計画」に基づき実施される施策については、その手順、時期、手法及び目的を明らかにしつつ、また、国民のニーズの変化なども踏まえて実施することとしている。