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答弁本文情報

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平成二十二年六月二十二日受領
答弁第五六七号

  内閣衆質一七四第五六七号
  平成二十二年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員阿部知子君提出二次感染問題を中心としたMMRワクチン薬害事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出二次感染問題を中心としたMMRワクチン薬害事件に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 厚生労働省としては、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(MMRワクチン)による二次感染疑い事例(平成三年二月)に係る調査について」(平成二十年九月八日付け厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)及び「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(MMRワクチン)による二次感染疑い事例(平成三年二月)に係る再調査について」(平成二十二年六月一日付け厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)により、北海道庁に対して、御指摘の二次感染に係る検査を実施した北海道立衛生研究所の職員に対する聞き取り調査を依頼し、同庁から、当該職員は御指摘の二次感染に係る検査の結果について旧厚生省及び北海道庁に対する報告を行っていない旨の回答を得たところである。したがって、お尋ねのように「本件について調査を尽くしていない」とは考えていない。

一の(二)について

 一の(一)についてでお答えしたとおり、御指摘の二次感染に係る検査を実施した北海道立衛生研究所の職員は、当該検査の結果を旧厚生省及び北海道庁に対して報告していない旨回答しており、お尋ねの「どのような経路で、いつ知ったのか」については、現時点では明らかではない。また、御指摘の議事録は、作成されていない。

二について

 御指摘の二次感染に係る検査の結果について、厚生労働省において確認した限りでは、国立予防衛生研究所からの旧厚生省に対する報告の有無については確認できておらず、また、先の答弁書(平成二十年六月二十四日内閣衆質一六九第五五七号)一の(二)についてでお答えしたとおり、山田章雄氏は、旧厚生省に対して御指摘の二次感染の事実を報告したかどうか分からないとのことであり、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三の(一)について

 平成元年九月十一日に開催された中央薬事審議会生物学的製剤特別部会生物学的製剤調査会の議事概要においては「ワクチンとしての有用性に疑いはない」、「緊急安全性情報とする必要はない」とすると記載されている。
 また、平成元年十二月十八日に開催された中央薬事審議会生物学的製剤特別部会生物学的製剤調査会の資料には「医薬品としての有用性を認めうる限界近くに位置」との記載があるが、その意味するところは、当時の認織として無菌性髄膜炎のリスクは存在し、使用上の注意の改訂による注意喚起での対応を検討したものの、ワクチンとしての有効性との比較衡量による「医薬品としての有用性」はあるとの見解を示したものである。
 したがって、当時、御指摘のような認識はなかったものと考えられる。

三の(二)について

 平成五年四月二十七日の公衆衛生審議会伝染病予防部会の「MMRワクチンについての当面の取扱いについて(意見)」において、MMRワクチン接種については、当面、実施を見合わせることが適切であるとしたのは、財団法人阪大微生物研究会の自社株MMRワクチンに係る無菌性髄膜炎の発生頻度が、他の株に比べて明らかに低く、この点について、市町村からの発生報告に漏れがないかについて調査を行う必要があり、また、統一株MMRワクチンに係る占部株については、二次感染の報告がなされており、他に同様の事例がないか調査する必要がある旨が記載されており、お尋ねのように「二次感染の事実のほうが接種見合わせの理由として重要視された」ということはないものと考えている。なお、御指摘の議事録は作成されていないため、その記載を確認することはできない。

四の(一)、(四)及び(五)について

 御指摘の五件の事案、御指摘の研究者グループにおいて御指摘の認識があったこと及び御指摘のワクチン株を同定したことについて、昭和六十三年六月から平成五年四月までの間に開催された中央薬事審議会常任部会、生物学的製剤特別部会及び同部会生物学的製剤調査会並びに公衆衛生審議会伝染病予防部会で検討されたかどうかは、これらの議事概要等からは確認できない。
 また、御指摘の二例の髄膜炎については、MMRワクチンの承認申請書の添付資料には記載されていなかったが、当該添付資料には、ワクチンに起因する可能性があると判断されたものを記載したことが記述されており、御指摘の「臨床とウイルス、第十七巻二号、平成元年六月刊」にあるとおり、「野生株ウイルスによるものであることが判明した」とされていることから、当該髄膜炎について記載がなかったものと考えられる。

四の(二)について

 平成元年九月十一日に開催された中央薬事審議会生物学的製剤特別部会生物学的製剤調査会の議事概要において、「これまでの研究結果からみて、鑑別法として適当なものであるとの可能性は高いと考えられる。ただし、今回発表した方法を、正式な鑑別法として認知するには、今後さらに検討を加える必要がある」と記載されており、国立予防衛生研究所が導入したPCR法について検討されたと考えられるが、お尋ねのように、国立予防衛生研究所の研究者が、MMRワクチン接種後にワクチン由来の髄膜炎が発生することを想定し、信憑性に疑問があったプラークサイズ法にかわる株鑑別法としてPCR法を応用する必要があるとの認識があったかどうかは、当該議事概要からは確認できない。

四の(三)について

 占部株から製造されたおたふくかぜワクチンが含有されたMMRワクチンについて、カナダにおける自主的な製造及び販売の中止に関する正式な情報を入手した時期は不明であるが、平成元年十月二十五日及び同年十二月十八日に開催された中央薬事審議会生物学的製剤特別部会生物学的製剤調査会並びに同月二十日に開催された公衆衛生審議会伝染病予防部会予防接種委員会において、カナダでの当該ワクチンの自主的な製造中止について審議が行われている。御指摘の文献について検討がなされたかどうかは、当該調査会及び当該委員会の議事概要等からは確認できない。

五について

 各行政機関の行政文書ファイル管理簿(行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令(平成十二年政令第四十一号)第十六条第一項第十号に規定する帳簿をいう。)に記載されている行政文書ファイル(能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存の目的を達成するためにまとめられた、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間が一年以上であって、当該保存期間を同じくすることが適当であるもののうち、当該保存期間の満了日前のものに限る。)の集合物をいう。以下同じ。)の名称に、お尋ねの(一)から(十二)までの予防接種、医薬品又は疾病の名称が含まれるものとしては、それらを保存する行政機関別に、内閣法制局において(十二)が一冊、総務省において(七)が二冊、法務省において(十二)が二冊、外務省において(七)が百三十八冊、(十二)が一冊、文部科学省において(七)が二冊、厚生労働省において(二)が六冊、(三)が百十八冊、(四)が四十冊、(五)が七冊、(六)が七冊、(七)が四百七十一冊、(十)が九冊、(十一)が四冊、(十二)が二十七冊、経済産業省において(十二)が二冊、国土交通省において(十二)が二冊、環境省において(三)が一冊、防衛省において(九)が一冊確認された。
 ただし、例えば、外務省で確認されたほとんどの行政文書ファイルは、国際協力に関するものである等、これら行政文書ファイルの中には、(一)から(十二)までの各事件に関連しないものがあり得ること、また、これら行政文書ファイルの名称に、お尋ねの(一)から(十二)までの予防接種、医薬品又は疾病の名称が含まれない行政文書ファイルであっても、(一)から(十二)までの各事件に関連する可能性があるものがあり得ると考えるが、それを確認するための作業が膨大なものとなることから、その数をお答えすることは困難である。

六について

 厚生労働省としては、御指摘の薬害研究資料館の設立については、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」(平成二十二年四月二十八日)を踏まえ、今後、検討してまいりたい。



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