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平成二十二年六月二十二日受領
答弁第五九一号

  内閣衆質一七四第五九一号
  平成二十二年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員宮本岳志君提出大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員宮本岳志君提出大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問に対する答弁書



一について

 政府としても、若手研究者や博士課程修了者の雇用の確保は科学技術の振興を図る上で重要な課題であると認識している。

二から四まで及び十について

 御指摘の「若手研究者ポスト」の意味するところが必ずしも明らかではないが、理工系の博士課程修了者が社会の多様な場で活躍することは重要であると考えており、公務員について必要な採用を行っているほか、文部科学省において、研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て准教授等のより安定的な職を得る仕組みを導入する大学等を支援するとともに、国内外における産業界等の実社会の要請に適合した研究者の育成に取り組む大学等を支援するなどしているところである。今後とも、このような施策を推進してまいりたいと考えている。
 「新成長戦略(基本方針)」(平成二十一年十二月三十日閣議決定)においては、理工系人材の重要性にかんがみ、「理工系博士課程修了者の完全雇用」に言及したものである。文部科学省としては、人文・社会科学分野の博士課程修了者についても、社会の多様な場で活躍することは重要であると考えており、体系的な教育の実施等を通じて、知識と理論を実務にいかすことのできる能力を備えた人材の育成を図る取組等を行っているところであるが、今後とも、このような施策を推進してまいりたいと考えている。

五について

 三十五歳未満の大学教員の数の減少については、様々な要因があると考えられるが、国立大学法人については、国立大学法人への運営費交付金の削減や、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七号。以下「行政改革推進法」という。)第五十三条第一項の規定に基づく人件費削減の対応による影響があるとの指摘が、文部科学省において行っている国民からの意見募集や各国立大学法人からの意見聴取等においてなされていると承知している。

六について

 御指摘の「若手研究者ポスト」の意味するところが必ずしも明らかでなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。

七について

 行政改革推進法第五十三条第一項は、国立大学法人に対し、役員及び職員に係る人件費総額の削減について義務付けているが、その手段は各国立大学法人の判断に委ねられているところである。

八について

 現在、国立大学法人及び独立行政法人は、行政改革推進法第五十三条第一項の規定に基づき、平成二十二年度末までに達成すべき目標を掲げ、人件費の削減に取り組んでいるところである。なお、平成二十三年度以降の取扱いについては、国会における御議論等を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えている。

九について

 教員及び研究者の採用については、各大学の設置者及び独立行政法人の自主的な判断に委ねられるものであるが、文部科学省としては、国立大学法人及び独立行政法人への運営費交付金の交付並びに私学助成について、業務効率化への取組を求めつつ、各大学及び研究機関における業務の実施に必要な経費について適切に対応してまいりたいと考えている。

十一及び十二について

 文部科学省としては、民間企業における博士課程修了者の雇用の実態については把握しておらず、御指摘のような調査を行う予定はないが、博士の学位を授与された者又は博士課程に標準修業年限以上在学して所定の単位を修得した上退学した者のうち、大学又は公的研究機関において任期付きで研究業務に従事している者(教授、准教授、講師、助教、主任研究員等の職にある者を除く。)についての調査を行っているところである。今後とも機会をとらえて、産業界に対し博士課程修了者の採用の促進を要請してまいりたい。

十三について

 教員及び研究者の雇用については、各大学の設置者及び独立行政法人の自主的な判断に委ねられるべきものであり、御指摘のような制度を設けることは困難と考えるが、今後とも、二から四まで及び十についてで述べた施策を推進してまいりたいと考えている。

十四及び十五について

 博士課程(後期)在学者を対象とする研究奨励金の平成二十一年度予算における支給対象人数は四千六百人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は六・三パーセントである。大学院在学者を対象とする御指摘のティーチング・アシスタントによる平成二十年度実績での支援対象人数は七万九千三十四人であり、大学院在学者数に占める割合は三十・一パーセントである。大学院在学者を対象とする御指摘のリサーチ・アシスタントによる平成二十年度実績での支援対象人数は一万三千四百十人であり、大学院在学者数に占める割合は五・一パーセントである。独立行政法人日本学生支援機構の大学院在学者を対象とする無利子貸与事業による平成二十年度実績での奨学金貸与者数は六万三千二十九人であり、大学院在学者数に占める割合は二十四・〇パーセント、同機構の特に優れた業績による大学院修了者を対象とする奨学金返還免除の平成二十年度実績での対象者数は九千五百七十九人である。国立大学の大学院在学者を対象とする授業料免除の平成二十年度実績での対象人数は二万四千五百九十一人であり、国立大学の大学院在学者数に占める割合は十七・五パーセントである。私立大学等経常費補助金のうち授業料減免事業等支援経費による平成二十一年度実績での支援対象人数は私立大学の大学院全体で二千五百六十八人であり、私立大学の大学院在学者数に占める割合は二・七パーセントである。
 文部科学省としては、こうした経済的支援の拡充に今後とも努めてまいりたいと考えている。

十六について

 文部科学省としては、博士課程(後期)在学者への経済的支援については、「科学技術基本計画」(平成十八年三月二十八日閣議決定)を踏まえ、研究奨励金の拡充、競争的資金を活用した大学による博士課程(後期)在学者の研究補助者等としての雇用促進等により、その拡充に努めてまいりたいと考えている。
 いわゆる給付型の奨学金については、高等教育を受ける者と受けない者との負担の公平や財源の確保等に関する課題があり、諸外国の例も参考にしつつ、検討してまいりたい。

十七について

 奨学金の返還を猶予する期限が五年とされていることが、博士課程進学者数の減少の大きな原因となっているかは明らかでなく、現時点において、奨学金の返還を猶予する期限を変更することは考えていない。
 なお、御指摘の制度については、奨学金の返還者の所得を確実に把握する必要があることなどの課題もあると考えている。

十八について

 御指摘の「高学歴ワーキングプア」の意味するところが必ずしも明らかでなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十九について

 国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校における非常勤講師の総数は、平成十九年十月一日現在で延べ二十万三千八百九十三人であり、全教員数に占める割合は五十二・七パーセントである。このうち本務を持たないものは、延べ八万四千九百十三人であり、全教員数に占める割合は二十一・九パーセントである。非常勤講師の賃金等の労働条件、研究・教育条件、生活実態等に関する事項については、各大学等の設置者の責任において決定されるべきものであり、文部科学省として一般的な調査を行うことは考えていない。

二十について

 大学の非常勤講師等の労働条件等については、各大学の設置者等が、当該非常勤講師等の業務内容等を踏まえ、関係法令に従って定めるべきものであると考えている。

二十一について

 文部科学省としては、経済協力開発機構の加盟国における公財政支出の状況を参考の一つとしつつ、必要な教育予算について財源を措置し、特に高等教育については、教育研究水準の維持向上や修学の機会の確保等を図るため、教育投資を確保することとしているところである。



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