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答弁本文情報

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平成二十四年四月六日受領
答弁第一五六号

  内閣衆質一八〇第一五六号
  平成二十四年四月六日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員服部良一君提出原子力発電所の安全に対する認識等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員服部良一君提出原子力発電所の安全に対する認識等に関する質問に対する答弁書



一の1及び2並びに三の3及び4について

 定期検査で停止中の原子力発電所の安全性については、平成二十三年七月十一日に内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣において取りまとめた「我が国原子力発電所の安全性の確認について(ストレステストを参考にした安全評価の導入等)」(以下「三大臣取りまとめ」という。)において、安全上重要な施設・機器等が設計上の想定を超える事象に対し、どの程度の安全裕度を有するのかという点について、欧州諸国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続やルールに基づく安全評価(以下「一次評価」という。)を原子力事業者が行い、その評価結果について、経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)が確認し、更に内閣府原子力安全委員会(以下「原子力安全委員会」という。)がその確認の妥当性を確認することとなっている。これらの確認を行った上で、定期検査で停止中の原子力発電所の運転再開については、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣(以下「四大臣」という。)が、原子力発電所の運転再開に当たっての安全性に関する判断基準に基づき、地震・津波による全電源喪失という事象の進展を防止するための安全対策が既に講じられていることや、原子力事業者が更なる安全性・信頼性向上のための実施計画を明らかにしていること等について確認した上で、住民の理解や国民の信頼が得られているかという点も踏まえ、その可否を総合的に判断していくこととしている。また、三大臣取りまとめを踏まえ、保安院においては、同月二十一日に、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画」(以下「実施計画」という。)を取りまとめ、その中で、原子力事業者が定期検査中で起動準備の整った原子炉に対して一次評価を実施し、保安院がその内容を評価し、当該評価結果については原子力安全委員会に報告し原子力安全委員会の確認を求めることとしているところ、原子力安全委員会においては、同日に、実施計画を妥当と判断している。
 他方、三大臣取りまとめにおいて実施することとしている総合的な安全評価(以下「二次評価」という。)は、運転再開の可否とは別に、各原子力発電所の安全性・信頼性の継続的な向上を図るために行われるものであり、班目原子力安全委員会委員長は、こうした観点から、二次評価によって不断の信頼性の向上に取り組むことが重要である旨を発言したものと承知している。

一の3から5まで及び7について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、原子力発電所の安全性については、いわゆる安全神話に陥ることなく、原子力技術に係る新たな研究成果等を踏まえた最新の科学的知見に基づき、不断に向上させるべきものであると考えている。

一の6について

 御指摘の証言については、政府が当事者でない訴訟において、当時原子力安全委員会委員長の職になかった班目春樹氏が個人としての認識を証言したものであるが、いずれにせよ、原子力発電所の安全については、いわゆる安全神話に陥ることなく、最新の科学的知見に基づき、不断に向上させるべきものであると考えている。

一の8について

 お尋ねについては、保安院において、公開の会議で外部の専門家の意見を聴きつつ、そこで提起された各論点に対して保安院の考え方を示すことにより、透明性を確保しつつ審査を行い、その上で、保安院において審査結果を取りまとめたものであり、適切な検討過程を経たものと考えている。

二の1について

 原子力安全委員会及び保安院は、現行法令下において、原子力の安全の確保について所掌し、そのための組織、人員を確保している。

二の2について

 政府としては、東日本大震災における原子力発電所の事故による災害の結果損なわれた我が国の原子力の安全に関する行政に対する内外の信頼を回復し、その機能の強化を図るため、規制と利用の分離及び原子力の安全の確保に関する規制の一元化の観点から環境省に原子力発電所の安全の確保に関する規制等を担う原子力規制庁を設置するほか関係する組織を再編するとともに、原子力の安全の確保に関する規制その他の制度について、最新の知見を踏まえた基準を既設の原子炉施設等にも適用するものとすること、重大事故対策の強化を図ることその他の所要の措置を速やかに講ずる必要があると考えており、国民の不安を和らげるためにも、一日も早く新たな原子力安全規制制度と防災体制を整えることが急務であると考えている。

三の1について

 お尋ねについては、平成二十四年三月二十三日に原子力安全委員会が取りまとめた「関西電力株式会社大飯発電所三号機及び四号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する原子力安全・保安院による確認結果について」において、「自然現象として地震及び津波ならびにそれらの重畳、安全機能の喪失として全交流電源喪失及び最終ヒートシンク喪失を対象とし、これらに起因して炉心(燃料)損傷に至るまでの事象(炉心損傷シナリオ)を同定し、これを対象として裕度を評価していることを、保安院が確認したこと」等について確認しているとしているところである。

三の2について

 御指摘の文書においては、まず事業者が評価を行い、その結果について保安院が確認し、更に原子力安全委員会がその妥当性を確認することとされている。

四の1及び2について

 定期検査で停止中の原子力発電所の運転再開については、一次評価を事業者が行い、これを保安院が確認し、更に原子力安全委員会がその確認の妥当性を確認した上で四大臣が、住民の理解や国民の信頼が得られているかという点も踏まえ、その可否を総合的に判断していくとしているが、いまだ運転再開の可否を判断しておらず、お尋ねにお答えすることは困難である。

四の3及び4について

 保安院が平成二十四年三月二十八日に取りまとめた「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について」等を踏まえると、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の原子炉については、平成二十三年東北地方太平洋沖地震の発生直後において、その安全機能を保持できる状態にあり、津波による全交流電源喪失が事故進展の直接的な原因となったものと推定している。また、これまでに得られた知見に基づき、関西電力株式会社の大飯発電所の三号機及び四号機の各原子炉において、福島第一原子力発電所を襲ったような設計上の想定を上回る地震や津波が来襲しても、福島第一原子力発電所の事故のような状況に至らせないための対策が講じられていることを確認できると考えており、そのように判断した根拠については、保安院の「関西電力(株)大飯発電所三号機及び四号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書」に示しているところである。
 なお、大飯発電所の三号機及び四号機については、御指摘の「断層の三連動」を考慮した地震動に対しても、一次評価で確認された安全裕度の範囲内に収まるものと考えているが、仮に御指摘の「耐震バックチェック」により新たな知見が得られた場合には、当該知見を踏まえて対応を検討することとなる。



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