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答弁本文情報

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平成二十四年六月十二日受領
答弁第二七七号

  内閣衆質一八〇第二七七号
  平成二十四年六月十二日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員橘慶一郎君提出現下の法曹養成制度の問題点及び今後の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員橘慶一郎君提出現下の法曹養成制度の問題点及び今後の見直しに関する質問に対する答弁書



一の1について

 日本弁護士連合会の公表資料によると、弁護士として登録された者は、平成二十四年四月一日現在で三万二千百三十四人となっている。

一の2について

 平成二十三年十二月に司法修習を終えた第六十四期司法修習生のうち、弁護士としての登録をしなかった者(裁判官及び検察官に任官した者を除く。)の割合は、同月十五日現在で約二十・一パーセント、同日から約三か月が経過した時点で約五・五パーセントと承知している。

一の3について

 お尋ねの「就職未定者」の意味するところが必ずしも明らかでないが、司法修習を終えた直後に弁護士としての登録をしなかった者も、その後に相当程度弁護士としての登録をしているほか、一部は民間企業や官公庁等に就職していると承知している。

一の4について

 日本司法支援センター(以下「センター」という。)は、東日本大震災以後、その被災者に対し、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会等との共催による電話相談や民事法律扶助事業としての法律相談業務を実施してきたほか、宮城県及び岩手県に合計四か所の出張所を開設し、法律相談業務を実施するなどしてきたと承知している。
 また、センターは、平成二十四年四月一日に施行された「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律」(平成二十四年法律第六号)により、同法第二条第二項に規定する被災者に対して、その資力の状況にかかわらず同被災者を援助する法律相談業務を実施することができるようにされたことから、同被災者が一人でも多くこの援助を受けることができるよう取り組んでいるところであると承知している。
 さらに、原子力損害賠償支援機構においても、東日本大震災に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故による被災者に対し、電話相談や福島県内の仮設住宅等における訪問相談等を無料で実施しているほか、関係する地方公共団体等においても、弁護士等による無料の法律相談等の取組を実施していると承知している。
 御指摘のいわゆる「二重ローン問題」についても、センターは、各種の法律相談業務で対応しているほか、金融界や経済界等の関係者、学識経験者等で構成される研究会において、個人である債務者の私的整理に関する金融機関関係団体の自主的自律的な準則として策定された「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」の内容や同ガイドラインを利用して「二重ローン問題」を解決することができる紛争解決手続等についての一般的な情報提供業務を行っており、これらによりお尋ねの「相談業務」は一定の成果を上げていると承知している。

一の5について

 御指摘の選考による採用については、経済産業省において二名が採用され、企画、調整等に関する事務に、農林水産省において一名が採用され、法令、企画等に関する事務に、それぞれ従事している。なお、配属先は、特定の個人を識別することができることとなる事項であるため、答弁を差し控えたい。
 また、「今後の取り組み」についてのお尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、平成二十四年度から、司法試験合格者を国家公務員に採用するための制度として、国家公務員採用総合職試験の院卒者試験(法務区分)が実施されることとなったため、同試験等を通じ、弁護士を含む司法試験合格者(以下「弁護士等」という。)の国家公務員への採用について、着実に取り組んでまいりたい。
 なお、国家公務員への採用を含む弁護士等の活動領域の在り方については、内閣官房、総務省、法務省、財務省、文部科学省及び経済産業省の共催による「法曹の養成に関するフォーラム」(以下「フォーラム」という。)において検討を行い、平成二十四年五月十日、論点整理を行ったところであり、今後も、同論点整理等を踏まえ、必要な検討を継続していく予定である。

一の6について

 お尋ねの「ニーズ」については、フォーラムにおいて、弁護士等を採用している地方公共団体の関係者からヒアリングを行ったところ、争訟案件を担当するだけでなく、職員の政策形成能力を高めるとともに、専門性の高い法律実務を的確に処理していくため、弁護士等の存在が不可欠であるなどの意見が出されたところである。
 また、お尋ねの「地方公共団体にみられる法務アドバイザー(弁護士に委嘱)」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般的に、地方公共団体から委嘱を受けた弁護士は、地方公共団体から個別の依頼により、法務に関する指導及び助言を行うことを職務とするものと考えられるのに対し、地方公共団体で常勤の職員として採用された弁護士等は、地方公共団体からの個別の依頼を待つことなく、政策の企画立案における初期の段階から職員として広範かつ主体的に関与し、流動的な状況においても迅速かつ的確にその職務を行うことができるといった点において、異なる役割を担っていると考えられる。

一の7について

 お尋ねの「ニーズ」については、フォーラムにおいて、弁護士を採用している民間企業の関係者からヒアリングを行ったところ、民間企業において弁護士を採用するニーズとして、厳しい国際競争の中で業務を展開する上で、リスクを管理するなどの観点から、法務部門を強化する必要性があるなどの意見が出されたところである。
 また、お尋ねの「上場企業のコンプライアンスを巡る事件」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般的に、民間企業において、法令遵守の強化を図るため、弁護士等が役割を果たすことができる場面もあり得ると考えられる。
 なお、民間企業の分野を含む弁護士等の活動領域の在り方については、フォーラムにおいて検討を行い、平成二十四年五月十日、論点整理を行ったところであり、今後も、同論点整理等を踏まえ、必要な検討を継続していく予定である。

一の8について

 法科大学院に係る制度は、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要が量的に増大するとともに、質的にも多様化、高度化することを前提として整備されたものであり、新しい社会のニーズに応える幅広くかつ高度の専門的教育を行うという観点から、各法科大学院においては、例えば、具体的事例に則して法律相談等を行うことを学ばせることや企業、官公庁等の法務部門で研修を行うことを授業科目としており、法曹の活動領域の拡大を見据えた教育を実施するとともに、その充実に努めているところであって、文部科学省としても各法科大学院におけるこのような取組を促進してまいりたい。

一の9について

 法科大学院に係る制度は、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要が量的に増大するとともに、質的にも多様化、高度化することを前提として整備されたものであり、経済・金融の国際化がますます進展する中で、今後の法曹に必要な資質として、外国法の知見や国際的視野等が一層求められていることを踏まえ、各法科大学院においては、例えば、外国法や国際取引法等を授業科目としており、国際的な法務に対する需要の増加への対応も視野に入れた人材育成を行っているところであると承知している。

二の1について

 法科大学院協会からは、現在、法科大学院の修了者(以下単に「修了者」という。)から進路に関する情報の提供を求めているところであり、今年度内に、その結果を取りまとめることを目指していると聞いている。

二の2から4までについて

 修了者の進路の把握については、各法科大学院が修了者と連絡が取れないなどの理由により、その動向を把握し続けることには難しい側面があるが、御指摘の進路不明者の中には就職できていない者が含まれていると想定される。また、平成二十四年の司法試験の結果により、司法試験の受験資格を喪失する者が新たに生ずることも予想される。各法科大学院が修了者への適切な支援策等を検討する上でも、その進路の動向を把握することは重要であり、文部科学省としては、今後も、継続的にその調査を実施するとともに、各法科大学院に対して、修了者の進路を着実に把握するよう強く促してまいりたい。

二の5及び三の2について

 フォーラムにおいて平成二十四年五月十日に行った論点整理や、それを踏まえた今後の検討の動向を踏まえつつ、中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会において、課題のある法科大学院への対応や専門職大学院設置基準(平成十五年文部科学省令第十六号)第二十五条第一項に規定する法学既修者以外の者に対する教育の充実方策等、法科大学院教育の更なる改善方策について検討を進めていくこととしている。これらの取組を通じて、法科大学院については、法曹の養成を始め、広く社会で必要とされる法的素養や論理的な思考力を培うことができる教育機関として、若者を始め社会全体から信頼を得られるよう努めてまいりたい。

二の6について

 平成十三年六月十二日付けの司法制度改革審議会意見書においても、法科大学院においては、「研究後継者養成型の大学院・・・と連携して充実した教育研究が行われることが望ましい。」とされており、文部科学省としては、我が国の法学の教育や研究の充実に資する法科大学院の取組を支援してまいりたい。

三の1について

 フォーラムにおいて、法曹の養成に関する制度の在り方について検討を行い、平成二十四年五月十日、論点整理を行ったところであり、今後も、同論点整理等を踏まえ、具体的な改善方策について、必要な検討を継続していく予定である。

三の3について

 法曹の養成に関する制度の在り方については、御指摘の「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」の結果も踏まえ、関係省庁が連携しながら検討していく必要があると考えている。



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