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答弁本文情報

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平成二十四年八月三日受領
答弁第三五一号

  内閣衆質一八〇第三五一号
  平成二十四年八月三日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員木村太郎君提出脳脊髄液減少症対策に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員木村太郎君提出脳脊髄液減少症対策に関する再質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「後遺障害の認定及び等級における適切な処置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、慢性頭痛等の様々な症状を示す脳脊髄液減少症に対応できるよう、厚生労働科学研究費補助金による「脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究」(以下「確立研究」という。)は、これまでも、脳神経外科、神経内科、整形外科等の領域の専門家を研究分担者として実施している。厚生労働省としては、引き続き、確立研究により、脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に向けた研究を推進していきたい。

二について

 確立研究の平成二十三年度総括研究報告書によれば、患者の年齢は症例登録票の登録項目になっていないため、十八歳以下の症例が含まれていなかったかどうか確認できないことから、お尋ねの「十八歳以下の症例が一例も含まれていない」ことの理由について、お答えすることは困難である。
 また、同報告書によれば、確立研究では、脳脊髄液減少症のうち脳脊髄液漏出症による脳脊髄液漏出の検査手法として、放射性医薬品を腰部から脳脊髄腔に注入し当該放射性医薬品の漏出によって脳脊髄液漏出を診断するRI脳槽シンチグラフィーを採用しているが、脳脊髄液漏出症による腰部の脳脊髄液漏出と、放射性医薬品を腰部から脳脊髄腔に注入することにより発生する腰部の脳脊髄液漏出との鑑別は困難であるため、脳脊髄液漏出症の診断基準等の作成に当たっては、腰部の脳脊髄液漏出のみが認められる症例を研究の対象としなかったものである。なお、平成二十四年度の確立研究では、腰部の脳脊髄液漏出のみが認められる脳脊髄液漏出症の症例について、再検討を行う予定と承知している。

三について

 学校における脳脊髄液減少症への対応については、文部科学省としては、都道府県教育委員会等に対して「学校におけるスポーツ外傷等の後遺症への適切な対応について」(平成十九年五月三十一日付け文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課事務連絡)を発出し、毎年、都道府県及び政令指定都市の教育委員会の学校安全担当者が参加する会議等で、各学校に対してその趣旨の周知を図るよう要請するとともに、ホームページに当該事務連絡の内容を掲載するなど周知徹底を図っている。今後とも、周知内容や周知方法の改善について検討しつつ、これらの会議等の場を通じ、脳脊髄液減少症への適切な対応について周知を図っていきたい。

四について

 脳脊髄液漏出症については、平成二十四年六月一日から、硬膜外自家血注入療法が先進医療として認められ、保険医療機関が、厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準(平成二十年厚生労働省告示第百二十九号)第二第六十三号に掲げる施設基準に適合するものとして、地方厚生局長又は地方厚生支局長に届け出ることにより、当該医療技術を先進医療として実施できることとなっている。

五及び六について

 お尋ねについては、生活保護制度では、支援が必要な人に確実に保護を実施するという基本的な考え方に基づき、生活扶助等の必要な保護の実施に併せて、就労が可能な生活保護受給者については、就労に向けた支援を行っているが、就労が困難な生活保護受給者については、その体調等を把握し、医療機関への受診といった必要な支援につなげるなど、福祉事務所のケースワーカー等により、生活保護受給者の個々の状況に応じたきめ細かな支援を行っている。
 また、個々の労働者と事業主との間で解雇や退職に係る紛争が生じた場合は、都道府県労働局が、紛争当事者からの求めに応じ、助言、あっせん等の紛争解決の援助を行っている。また、厚生労働省では、解雇や退職に係る法の規定や裁判例の周知を図ることによって、紛争の未然防止に努めている。
 さらに、御指摘の抑鬱状態で苦しむ患者に対する精神的な支援については、保健所や精神保健福祉センターで、心の健康に関する相談を行っている。
 これらの取組により、御指摘の脳脊髄液減少症の患者も含め、支援が必要な人に対しては、必要な支援を行っていきたい。

七について

 お尋ねの事例については把握していないが、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による医療扶助のための医療は、原則として国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例によることとされており、硬膜外自家血注入療法は国民健康保険の適用対象となっていないため、医療扶助の支給対象としていない。また、一時的に保護を必要としなくなった場合等は、保護を停止することとなるが、その後、生活に困窮した場合は、再度必要な保護を行うこともあり得ると考えている。

八について

 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)による障害の認定については、障害の原因となった疾病等を問わず、同法別表に掲げる永続する機能の障害を有する者が対象となり、障害者については、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)上の一定の要件を満たす場合は、障害福祉サービス等を利用することができる。また、六十五歳以上の要介護者については、要介護状態の原因となった疾病等を問わず、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)上の一定の要件を満たす場合は、介護保険サービスを利用することができる。

九について

 自動車損害賠償責任保険については、被害者の症状について自動車事故との相当因果関係が認められる場合は、自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)に基づく保険金の支払の対象となっている。お尋ねの脳脊髄液減少症の患者への自動車損害賠償責任保険の適用については、確立研究による脳脊髄液漏出症の画像判定基準及び画像診断基準の活用等の取組を進めており、引き続き、確立研究等の成果を活用して対応していきたい。

十について

 硬膜外自家血注入療法の保険適用については、今後、先進医療専門家会議で検討を行った後に、中央社会保険医療協議会で当該医療技術の安全性、有効性等について科学的根拠に基づく評価を行い、その可否を検討していくことになるため、具体的な時期について現時点でお答えすることは困難である。



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