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平成二十五年四月二十六日受領
答弁第五三号

  内閣衆質一八三第五三号
  平成二十五年四月二十六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員照屋寛徳君提出国を被告とする自衛官人権裁判等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員照屋寛徳君提出国を被告とする自衛官人権裁判等に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「いじめ、パワハラ、セクハラ等」、「身体的負傷、精神疾患などの被害」及び「海外派遣中の自衛官が職務中に巻き込まれた事件・事故等」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、防衛省が現在保存している関係書類によって把握できる限りでは、自衛隊内におけるいじめ、パワー・ハラスメント又はセクシュアル・ハラスメントが原因で自衛官が自殺し、負傷し、又は精神疾患にり患したとして国を被告として損害賠償を請求した訴訟及び海外に派遣中の自衛官が職務中に犯罪や事故の被害に遭ったとして国を被告として損害賠償を請求した訴訟のうち、判決が確定したものの件数は合計五件、係属中のものの件数は合計九件である。
 これらの訴訟について、@事件名、A提訴の年月日、B原告の被害を受けたとする自衛官との続柄及び原告の数、C訴状に記載された訴訟物の価額、D請求の趣旨及び理由の概要、E判決が確定しているもの及び係属中のものの別(判決が確定しているものについては判決確定年月日、訴訟が係属中のものについては係属している裁判所名及び直近の裁判の経過)並びにF判決が確定しているものについては当該判決の概要をお示しすると、次のとおりである。
 @戦死自殺の国家責任を問う賠償請求等事件 A平成十三年六月七日 B父及び母、二名 C一億百九十万円 D自衛官が自殺したのは当該自衛官の上司らによる侮辱的な言動等の構造的ないじめが原因であるなどとして、合計一億円の損害賠償、謝罪及び国民が参加する「軍事オンブズマン制度」の創設を請求 E確定(平成二十年九月九日) F当該自衛官の直属の上司による侮辱的な言動と自殺との因果関係を認めて合計三百五十万円の支払を命じ、原告の主張する構造的ないじめ等は認めず、その余の請求を棄却
 @損害賠償請求事件 A平成十四年六月二十四日 B父、一名 C六百万円 D自衛官がビルから転落死した際、その原因は当該自衛官が所属していた海上自衛隊の学校でのいじめであると疑われたのに、同学校がその遺品を短時間で片付けるなどしたため当該自衛官の死亡の原因を知る権利等を害されたなどとして、六百万円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E確定(平成十五年十二月二日) F原告が侵害されたと主張する権利は法律上保護されるものではないなどとして請求を棄却
 @損害賠償請求事件 A平成十九年五月八日 B本人、一名 C千百十五万千四百十四円 D女性自衛官が勤務時間中であった同僚により性的暴行を受け、さらに、被害者である当該自衛官への配慮を欠いた上司の言動や退職の強要により精神的苦痛を受けたなどとして、千百十五万千四百十四円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E確定(平成二十二年八月十三日) F当該自衛官が勤務時間中であった当該同僚に性的暴行を受け、さらに、当該上司がその後適切な対応をとらず、当該自衛官に退職を強要したことを認めて五百八十万円及び遅延損害金の支払を命じ、その余の請求を棄却
 @損害賠償請求事件 A平成二十年四月十四日 B妻、長男、父及び母、四名 C一億千八十九万六千円 D自衛官が自殺したのは同僚による暴力、暴言等のいじめが原因であり、また、国は安全配慮義務を怠ったなどとして、国及び当該同僚に対し、合計一億千八十九万六千円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E確定(平成二十三年七月二十六日) F当該同僚による暴言等と当該自衛官の自殺との因果関係を認めて国に対し八千十五万四百五十四円及び遅延損害金の支払を命じ、国の安全配慮義務違反は認めず、当該同僚に対するものも含めてその余の請求を棄却
 @損害賠償請求事件 A平成二十二年八月三日 B父及び母、二名 C九千二百万千三百九十四円 D徒手による格闘の訓練中に自衛官が死亡したのは指導教官等による訓練を逸脱した有形力の行使及び安全配慮義務違反が原因であるなどとして、合計九千二百万千三百九十四円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E確定(平成二十五年四月十三日) F当該自衛官の死亡と当該指導教官による注意義務違反との因果関係を認めて六千四百九十五万五千五百四円及び遅延損害金の支払を命じ、当該指導教官等による訓練を逸脱した有形力の行使は認めず、その余の請求を棄却
 @損害賠償請求事件 A平成十八年四月五日 B父及び母、二名 C一億三千二百八十七万八千九百八十四円 D自衛官が自殺したのは上司によるいじめが原因であるなどとして、国及び当該上司に対し、合計一億三千二百八十七万八千九百八十四円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(東京高等裁判所、平成二十五年三月二十五日に第十回口頭弁論)
 @損害賠償請求事件 A平成二十年五月三十日 B本人、一名 C三千四百五万五千八百七十八円 D自衛官が護衛艦に乗艦中、教育係の自衛官等による暴行が原因で精神疾患にり患したなどとして、三千四百五万五千八百七十八円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(札幌高等裁判所、平成二十五年三月七日に第二回口頭弁論)
 @損害賠償請求事件 A平成二十一年七月二十七日 B本人、一名 C千六十一万五千円 D自衛官が上司等による差別的取扱いや嫌がらせ等により精神的苦痛を受けたなどとして、訴訟に至った事実の公表並びに九百一万五千円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(名古屋地方裁判所、平成二十五年三月十五日に第十三回弁論準備手続)
 @損害賠償請求事件 A平成二十二年七月十二日 B父及び母、二名 C九千四百三十九万九千三百八十円 D自衛官が自殺したのは、上司による暴行により精神疾患にり患したことが原因であり、また、国は安全配慮義務を怠ったなどとして、合計九千四百三十九万九千三百八十円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(前橋地方裁判所、平成二十五年三月六日に第十五回弁論準備手続)
 @損害賠償請求事件 A平成二十三年六月十七日 B本人、一名 C千五百三十二万八千八百八十四円 D自衛官が上司からの嫌がらせにより精神疾患にり患し、更に国が安全配慮義務を怠ったことによりこれが悪化したなどとして、千五百三十二万八千八百八十四円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(京都地方裁判所、平成二十五年二月五日に第十一回口頭弁論)
 @損害賠償請求事件 A平成二十三年十二月二十七日 B本人、一名 C千百二十六万七千五百八十一円 D自衛官が上司らによりセクシュアル・ハラスメント行為をねつ造されるなどのパワー・ハラスメントを受けたことにより精神疾患にり患した上、その意思に反して退職を強要されたなどとして、千百二十六万七千五百八十一円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(札幌地方裁判所、平成二十五年四月十五日に第六回口頭弁論)
 @損害賠償請求事件 A平成二十四年九月二十六日 B本人、一名 C一億二千三百五十二万千三百六十五円 D自衛官が海外に派遣されていた際に交通事故により負傷したのに適切な治療を施されず、後遺障害を負うとともに、帰国後も、自衛隊内でパワー・ハラスメント及びいじめを受けた上、退職を強要されたなどとして、一億二千三百五十二万千三百六十五円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(名古屋地方裁判所、平成二十五年三月十五日に第二回口頭弁論)
 @国家賠償請求事件 A平成二十五年一月二十九日 B本人、一名 C千三百六十一万八千五十円 D自衛官が、自己の妻がカウンセリングを職務とする隊員によるカウンセリングを受けた際に当該隊員から職務を逸脱する行為を受けたことを上司に相談をしても適切な対応がなされなかったため精神疾患にり患したなどとして、千三百六十一万八千五十円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(神戸地方裁判所姫路支部、平成二十五年三月十八日に第一回口頭弁論)
 @損害賠償請求事件 A平成二十五年三月七日 B本人、一名 C千八百七十六万五百二十九円 D自衛官が、自己の妻の体調が急激に悪化した際に上司により帰宅の許可を受けられず、それが原因で精神疾患にり患したなどとして、千八百七十六万五百二十九円の損害賠償及び遅延損害金の支払を請求 E係属中(秋田地方裁判所、第一回口頭弁論は未実施)
 お尋ねの「係る事件数に対する政府の見解」については、個々の訴訟の背景となる事情が様々であることから一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、引き続き、自衛隊における規律の保持に努めてまいりたい。

二について

 陸上自衛隊において訓練を実施している徒手による格闘は、自衛隊が、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛すること等、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三条に規定する任務を遂行するために必要なものであると認識している。

三について

 御指摘の裁判において原告による損害賠償請求の理由とされた平成十八年の真駒内駐屯地における事故を踏まえ、陸上自衛隊では、格闘の訓練を受ける隊員の基礎体力を練成し、当該隊員が受け身を確実に実施できるようになってから投げ技等の次の段階の訓練を実施することなどを盛り込んだ段階的訓練要領を策定し、これに沿った訓練を実施すること、段階的訓練要領による訓練の実施に際しては、当該訓練を受ける隊員が受け身を確実に実施できるなど次の段階の訓練を行うのに十分な技能を習得したことを教官だけでなく指揮官及び訓練企画者においても確認すること、当該訓練を受ける隊員の疲労度について訓練前、訓練中、休憩時及び訓練終了後にそれぞれ確認し、それに応じた適切な措置を採ること、指揮官及び訓練企画者が当該訓練を行う現場に赴き、当該訓練を受ける隊員の体調や当該訓練の安全管理の状況を把握し、それに応じた適切な措置を採ること及び当該訓練の教官の選考に当たって適任者を確保することにより、同種事故の再発防止を図っている。

四について

 自衛隊における格闘の訓練がいつから行われるようになったかについては、資料が残っていないためお答えすることは困難であるが、当該訓練は、二についてで述べた自衛隊の任務を遂行するために必要な技能に習熟することを目的とし、そのために必要な範囲で実施しているものである。
 また、陸上自衛隊においては、平成二十年度から、格闘に関する技量の向上を図るため、訓練の対象を従来の四十歳未満の隊員から全隊員に変更するとともに、訓練の内容として習得が容易で有効な技を追加するなどした新しい格闘教育訓練基準を策定し、これに基づく訓練を全ての隊員に対して実施している。

五について

 陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊における徒手による格闘の訓練において自衛官が死亡した事案については、現時点において把握している範囲では、陸上自衛隊で一件、海上自衛隊で一件、航空自衛隊で零件である。
 これらの事案について、@発生時期、A陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の別並びにB当該事故の原因をお示しすると、次のとおりである。
 @平成十八年十一月二十一日 A陸上自衛隊 B訓練の指導及び安全管理の態勢が不十分であったため
 @平成二十年九月九日 A海上自衛隊 B訓練の指導及び安全管理の態勢が不十分であったため
 また、徒手による格闘の訓練において自衛官が負傷した事案の件数は、把握している範囲でお示しすると、海上自衛隊においては平成二十年四月から平成二十五年三月までの間に零件、航空自衛隊においては平成二十一年四月から平成二十五年三月までの間に九十一件、陸上自衛隊においては、平成十年四月から平成二十五年二月までの間に、徒手によるもの以外の格闘の際のものも含めて六百五十一件であるが、これらの詳細については、公にすることにより特定の個人が識別され、又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあることから、お答えすることを差し控えたい。
 お尋ねの「発生件数と係る訓練の連関性」については、個々の事案における事実関係が様々であることから一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、自衛隊において訓練を実施するに当たっては、引き続き、安全に配慮してまいりたい。



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