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平成二十五年七月二日受領
答弁第一二〇号

  内閣衆質一八三第一二〇号
  平成二十五年七月二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員山井和則君提出年金積立金運用や限定正社員に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出年金積立金運用や限定正社員に関する質問に対する答弁書



一について

 一般的に、国債と株式とでは、株式の方が運用リスク(運用による収益率の変動の大きさをいう。以下同じ。)は高いと考えられているものと承知している。

二について

 年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)が平成二十二年三月に作成した第二期中期計画において定めた基本ポートフォリオの当該中期計画作成時に推計された運用リスクの水準については、国内債券並みであり、GPIFが平成二十五年六月に変更した当該中期計画において定めた基本ポートフォリオの当該中期計画変更時に推計された運用リスクの水準についても、国内債券並みである。

三について

 お尋ねについては、リスク分散投資効果により、運用リスクは高まらないことがあるものと承知している。

四について

 お尋ねについては、国家公務員共済組合連合会が、国家公務員共済年金に係る積立金について、株式への投資を抑制し超長期の国内債券への投資を行うとの考え方に基づきその運用方針を定めていることによるものと考えている。

五について

 国家公務員共済年金に係る積立金の基本ポートフォリオの策定については、国家公務員共済組合連合会が自ら定めた運用方針にのっとり適切に対応していると考えている。なお、GPIFが平成二十二年三月に作成した第二期中期計画において定めた基本ポートフォリオの平成二十五年六月における変更は、平成二十四年十月に会計検査院から参議院に対して報告された「年金積立金(厚生年金及び国民年金)の管理運用に係る契約の状況等に関する会計検査の結果について」において、「暫定ポートフォリオが安全、効率的かつ確実かなどについて、中期目標期間中に定期的に検証することを検討する」こと等の指摘を受けたことを踏まえて実施されたものであり、同院から同様の指摘を受けていない同連合会とは事情が異なるものと考えている。

六について

 御指摘の「有識者会議」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、政府としては、「日本再興戦略」(平成二十五年六月十四日閣議決定。以下「再興戦略」という。)に基づき、公的年金、独立行政法人等が保有する金融資産(公的・準公的資金)の運用等の在り方について検討を行い、平成二十五年秋までに提言を得ることとしている。

七について

 お尋ねの「国債価格」及び「国内株式の株価」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、例えば、GPIFによる厚生年金保険及び国民年金に係る積立金(以下「年金積立金」という。)の運用における国債のインデックスであるNOMURA‐BPI国債の変動幅については、過去二年では約二十・〇、過去五年では約四十四・九、過去十年では約六十四・三及び過去二十年では約百六十八・〇であり、国内株式のインデックスである東証株価指数(配当込み)の変動幅については、過去二年では約七百九十・八、過去五年では約八百六十三・三、過去十年では約千二百七十八・〇及び過去二十年では約千二百七十八・〇である。NOMURA‐BPI国債及び東証株価指数(配当込み)の過去三十年のデータについては、存在しておらず、その変動幅については、お示しすることができない。

八について

 お尋ねの「年金の保険料を払っている加入者の意向、つまり国民の意向を確かめる」ことが具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、GPIFの基本ポートフォリオの変更は、GPIFの中期計画の記載事項の変更として、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)等の規定により、GPIFに設置されている経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験を有する者をもって組織される運用委員会の議を経た上で行うこととされており、GPIFの運用委員会の委員には、労使により推薦された者が含まれている。

九について

 年金額の水準は、おおむね百年程度の財政均衡期間を通じて年金財政の均衡が保たれるよう、将来に向けて調整していく仕組みとなっており、一般論としては、年金積立金の運用実績が将来の年金額の水準に影響を与えることはあり得るが、この場合における運用実績は、長期間の動向により判断されるべきものである。年金額は、物価又は賃金の変動に応じて改定される仕組みとなっており、お尋ねの「ポートフォリオをよりリスクの高いものに変更した結果」として単年度において「損失が多く出た」としても、そのことを理由として年金額が改定されるものではない。また、お尋ねの「損失が多く出た場合その責任」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないことから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、年金積立金管理運用独立行政法人法の規定等に基づき、GPIFは、年金積立金を適切に運用する責任を有しており、厚生労働大臣は、GPIFを適切に監督する責任を有している。

十について

 年金の支給開始年齢の引上げについては、現在、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)附則第八条の二の規定に基づき、男子は平成三十七年までかけて、女子は平成四十二年までかけて、特別支給の老齢厚生年金(同法附則第八条の規定に基づき支給される老齢厚生年金をいう。)の支給開始年齢が段階的に六十五歳へ引き上げられているところであり、政府としては、年金の支給開始年齢の在り方については、中長期的な課題と認識している。

十一について

 お尋ねの「名目賃金上昇率」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、平成十六年の年金制度改正以降、年金額の改定に用いている国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第二十七条の二第二項に規定する名目手取り賃金変動率(以下「名目手取り賃金変動率」という。)については、平成十七年度から平成二十五年度までの九年間しか数値が存在しないため、過去十年間の平均の名目手取り賃金変動率をお示しすることは困難である。
 また、お尋ねの「物価上昇率」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、年金額の改定に用いている総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数の変動率の平成十五年から平成二十四年までの十年間の平均値については、マイナス〇・一パーセントである。

十二について

 お尋ねについては、十一についてで述べたとおり、過去十年間の平均の名目手取り賃金変動率の数値が存在しないため、お答えすることは困難である。
 なお、年金財政に係る将来推計については、専門家の意見を聴きながら設定した合理的な前提を基に行うべきものと考えており、政府としては、国民年金法等の規定に基づいて少なくとも五年ごとに行う財政検証については、こうした前提の基に行っているところであり、たとえ機械的な試算であっても、政府としてお尋ねの試算を行うことは適切でないと考えている。

十三について

 お尋ねについては、平成二十六年度の年金額の改定に用いる平成二十五年の年平均の全国消費者物価指数が確定していない現時点において、お答えすることは困難である。

十四について

 お尋ねの「解雇される可能性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、期間を定めずに雇用している労働者に対して、使用者はいつでも労働契約の解約の申入れをすることができることから、御指摘の「限定正社員」であるか否かによって、使用者から労働契約の解約の申入れがなされる可能性が高いかどうかについては、一概にお答えすることは困難である。また、使用者が労働者を解雇し、当該労働者から当該解雇の効力を争う訴訟が提起された場合に、解雇無効の判決が出る可能性については、個別の事案に応じて司法判断がされるものと考えており、一概にお答えすることは困難である。

十五から十七までについて

 産業競争力会議の構成員は、産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進について調査審議を行うという同会議の目的に鑑み、優れた識見を有する者を指名している。規制改革会議の委員は、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革に関する基本的事項について総合的に調査審議を行うという同会議の目的に鑑み、優れた識見を有する者を任命している。また、労働政策に関する重要事項については、労働者を代表する委員、使用者を代表する委員及び公益を代表する委員で組織される労働政策審議会において調査審議することとなっている。

十八について

 政府としては、再興戦略に掲げられた取組等のうち、労働政策審議会で検討等を行うこととなるものについては、再興戦略に基づき、同審議会において検討等を行った上で、適切に対応することとしている。

十九及び二十について

 労働者派遣制度の在り方については、現在、厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」において、幅広い観点から検討しているところであり、平成二十五年八月末までにその議論を取りまとめ、その後、労働政策審議会で検討を行う予定であるため、現時点において、お尋ねの「再び改正される可能性」及びお尋ねの「検討課題になる可能性」については、いずれもお答えすることは困難である。

二十一について

 一般用医薬品のインターネット販売については、再興戦略等において、「一般用医薬品については、インターネット販売を認めることとする。その際、消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールの下で行うこととする。」等としたところであるが、お尋ねについては、個々の状況によって様々であり、一概にお答えすることは困難である。

二十二について

 政府としては、七十歳から七十四歳までの各医療保険制度の加入者の医療費の一部負担金等の軽減に係る特例措置の在り方については、世代間の公平や高齢者に与える影響等について、低所得者対策等と併せて検討し、早期に結論を得ることとしている。

二十三について

 政府としては、七十五歳以上の後期高齢者医療の被保険者の医療費の一部負担金の在り方については、医療保険制度全体に関する社会保障制度改革国民会議等の議論を踏まえ、検討してまいりたい。

二十四について

 診療報酬改定については、物価・賃金の動向、医療機関の経営状況等も勘案して、予算編成過程において全体の改定率を決定することとしており、平成二十六年度の診療報酬改定についても適切に対応してまいりたい。

二十五について

 政府としては、社会保障に係る費用については、社会保障制度改革推進法(平成二十四年法律第六十四号)の規定及び社会保障制度改革国民会議における議論を踏まえつつ、自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べるとの基本的な考え方に基づき、持続可能な社会保障制度の構築を図る観点から、適切に対応してまいりたい。

二十六について

 お尋ねについては、介護保険制度に関する社会保障制度改革国民会議等の議論を踏まえ、検討してまいりたい。



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