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答弁本文情報

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平成二十六年十月七日受領
答弁第一号

  内閣衆質一八七第一号
  平成二十六年十月七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員阿部知子君提出原子力発電所の再稼働に求められる安全性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出原子力発電所の再稼働に求められる安全性等に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない」という発言の趣旨は、原子力発電所の安全性について、いわゆる安全神話に陥ることなく、最新の科学的知見に基づき、不断に向上させるべきものである旨を述べたものである。
 一方、御指摘の「運転にあたり求めてきたレベルの安全性」が確保されることが確認されたという発言の趣旨は、原子力規制委員会が、九州電力株式会社(以下「九州電力」という。)から提出された九州電力の川内原子力発電所(以下「川内原子力発電所」という。)の発電用原子炉の設置変更の許可に係る申請(以下「設置変更許可申請」という。)について、設置変更許可申請が核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の三の八第二項において準用される原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項各号に規定する基準(以下「設置変更許可基準」という。)のいずれにも適合していることを確認したことを述べたものである。

二について

 川内原子力発電所の設置変更許可申請に係る審査において、九州電力は、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を検討し、川内原子力発電所の運用期間中において、噴火の規模を噴出物の総体積に基づき指数化した火山爆発指数七以上の噴火が生じる可能性は十分小さく、火山爆発指数六以下の噴火を考慮しても、火砕流等による敷地への影響はないと評価しており、原子力規制委員会はこれを妥当であると判断している。
 また、降下火砕物による敷地への影響については、九州電力は、川内原子力発電所の運用期間中に生じる可能性のある噴火の規模と川内原子力発電所の位置関係を踏まえ、約一万二千八百年前の桜島薩摩噴火によるものが最も影響が大きいと評価し、敷地において生じる可能性のある降下火砕物の層厚を十五センチメートルと評価した上で、原子炉の安全を損なわないことを確認しており、同委員会はこれを妥当であると判断している。
 なお、御指摘の「残余のリスク」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、火山爆発指数七以上の噴火の可能性が十分小さいことを継続的に確認することを目的として、九州電力は、火山活動のモニタリングを実施することとしている。

三について

 御指摘の「運転にあたり求めてきたレベルの安全性」が確保されることが確認されたこと、「再稼働に求められる安全性」が確保されることが確認されたこと及び原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の「規制基準に適合すると認められた場合」は同旨である。

四及び五について

 原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、設置変更許可申請について、設置変更許可基準に適合していることを確認することにより原子力利用における安全の確保を図るものである。
 設置変更許可基準には、地域防災計画に係る事項は含まれておらず、同計画については、原子力発電所が再稼働するか否かにかかわらず、住民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的として、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づき、都道府県及び市町村において作成等がなされるものである。なお、政府としては、原子力防災会議の下、関係府省庁による同計画の作成の支援等を行っている。
 また、一について及び三についてで述べたとおり、政府としては、同委員会が設置変更許可申請について設置変更許可基準に適合することを確認することにより、「再稼働に求められる安全性」が確保されることが確認されたものと考えている。

六について

 お尋ねについては、鹿児島県、関係市町及び関係府省庁が参加したワーキングチームにおいて、川内地域の避難計画を含めた緊急時対応が具体的かつ合理的なものとなっていることが確認され、その結果が、平成二十六年九月十二日の原子力防災会議に報告され、了承されたものである。

七について

 御指摘の「規制委設置法の条文」の意味するところが必ずしも明らかでないが、御指摘の「立法者の意思及び当時表明された政府の立場」を踏まえて制定された原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)においては、原子力規制委員会が原子力発電所の再稼働の判断を行うことは規定されておらず、「規制委が再稼働の判断をしないことは、・・・規制委設置法違反となるのではないか」との御指摘は当たらないと考えている。

八について

 個々の原子力発電所について、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合に、実際に再稼働を行うのは事業者である。また、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」こととしており、政府は、この方針に基づいて、再稼働を進めるものである。

九について

 原子力規制委員会においては、最新の科学的知見や国際原子力機関等の規制基準を参考にしつつ原子力発電所の規制に必要な基準を設定し、原子力発電所がその基準に適合しているか否かを確認することとしているところである。また、安全性の追求に終わりはなく、継続的な安全性の向上が必要であり、事業者においても、更なる安全性の向上に努めるべきであると考えている。その上で、万が一事故が起きた場合、原子力災害の拡大の防止等に必要な措置の実施や原子力損害の賠償等について、その一義的な責任は、事業者が負うこととなる。さらに、政府としても、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)等の関係法令に基づき、緊急事態応急対策等の実施のために必要な措置を講ずる等の責務を有するものと認識している。

十について

 政府は、エネルギー基本計画の方針に基づいて、「立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」こととしている。
 御指摘の「決議」及び「附帯決議」への対応については、関係者間の連携協力体制に関する諸外国の事例等の調査を実施しているところであり、原子力規制委員会の会見及び会合について、インターネット中継等により広く情報発信をするなど情報開示の強化等を行っている。また、川内原子力発電所の設置変更許可申請に係る審査の結果について、住民に対して説明を行うに際しては、具体的な実施方法を含め関係自治体と十分に調整し、対応してまいりたい。



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