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平成二十六年十一月十八日受領
答弁第六八号

  内閣衆質一八七第六八号
  平成二十六年十一月十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員長妻昭君提出派遣労働者の労働災害等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出派遣労働者の労働災害等に関する質問に対する答弁書



一について

 事業主から所轄労働基準監督署長に提出された労働者死傷病報告及び総務省の「労働力調査」によると、平成二十五年の製造業における労働者千人当たりの一年間の休業四日以上の死傷者数(以下「年千人率」という。)は、派遣労働者が四・八人、全労働者が二・八人である。

二から四までについて

 派遣労働者の年千人率が全労働者の年千人率より高い要因としては、一般的に、派遣労働者は、業務の経験年数が短いことや派遣労働者の安全衛生教育の受講率が低いことが考えられる。
 安全衛生教育の受講率については、厚生労働省の「平成二十五年「労働安全衛生調査(実態調査)」」(以下「調査」という。)によると、「雇い入れられた・派遣されたとき及び作業内容が変わったときに安全衛生教育を受けていない」と答えた労働者は、「正社員」が三十四・八パーセント、「契約社員」が三十四・〇パーセント、「パートタイム労働者」が三十一・六パーセント、「臨時・日雇労働者」が三十五・四パーセント、「派遣労働者」が四十四・八パーセントである。このように、派遣労働者に対する安全衛生教育の受講率が他の雇用形態の労働者に対するものより低い要因としては、調査によると、事業主が派遣労働者を含む「非正規労働者に対する安全衛生教育を実施していない理由」として、「非正規労働者は危険な作業には従事していないため」が四十・九パーセントと最も多いことから、派遣労働者に対する安全衛生教育の実施の必要性に関する事業主の理解が必ずしも十分ではないことが考えられる。
 こうした状況を踏まえ、派遣労働者に対する派遣元事業主及び派遣先事業主による安全衛生教育の実施を促進するための対策として、同省において、「派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について」(平成二十一年三月三十一日付け基発第〇三三一〇一〇号厚生労働省労働基準局長通達)により派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保に当たり派遣元事業主及び派遣先事業主が各自、又は両者が連携して実施すべき重点事項等を示すとともに、派遣労働者の安全衛生教育等を派遣元事業主及び派遣先事業主が連携して効果的に実施する具体的な方法等を示した「製造業における派遣労働者に係る安全衛生管理マニュアル」を作成し、その普及を含めて派遣元事業主及び派遣先事業主に対して指導を行っている。

五について

 御指摘の「製造業の現場における派遣労働者の安全にかかる実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、製造業における派遣労働者の労働災害の発生状況及び安全衛生教育の実施状況について的確に把握し、製造業における派遣労働者の安全の確保に努めているところであり、御指摘の調査研究を行うことは考えていないが、今後、製造業における派遣労働者の安全の確保に向けた更なる周知の方法について検討してまいりたい。

六及び七について

 お尋ねの実態については把握していないが、政府としては、今後、その把握方法などについて検討してまいりたい。

八について

 独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成二十三年に公表した「年次有給休暇の取得に関する調査」によると、「正社員」の平均の「年休取得日数」及び「年休取得率」は、それぞれ八・一日及び五十一・六パーセントであるのに対し、「派遣社員」の平均の「年休取得日数」及び「年休取得率」は、それぞれ八・九日及び八十三・一パーセントであるものと承知している。

九から十一までについて

 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第五条の三第一項の規定により、労働者の募集を行う者は、労働者の募集に当たり、募集に応じて労働者になろうとする者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないこととされているとともに、同法第四十二条の規定により、当該募集に係る従事すべき業務の内容等を明示するに当たっては、当該募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならないこととされている。
 お尋ねについては、同法上「正社員」について確立した定義は存在しないため、具体的な労働条件、社会通念上の「正社員」の概念等に照らして判断されることとなることから、一概にお答えすることは困難である。
 なお、一般論としては、労働契約の期間の定めがある有期雇用派遣労働者の募集に当たり、「正社員」と表示することは適切とはいえないと考えている。

十二について

 お尋ねについて、派遣元事業主が、派遣先との間で労働者派遣契約を締結していない期間に派遣労働者に対してどのような措置を講ずるかについては、当該派遣元事業主に委ねられており、派遣労働者を休業させることについて法令上の規制はない。



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